TickeT
響く足音(8)
「彼から言われたのは……七日間以内に『生』と『死』への分かれ道に出会うという事……」
「それだけですか?」
「いや……まだ……。分からない事があったら……名刺を裏返しにして……窓の側に置く事……」
言葉の取留めが段々なくなっていった。
「やっぱり」
僕は少し俯き気味になっていたが、その言葉を聞いてすぐに顔を上げた。
「彼はいつもそうなんですよ。行動の浅い所がいくつかあるんです。だから今回、貴方に渡すべきではないという事に気がつかなかったんでしょうね」
彼女は少し疲れた顔を見せたが、すぐに気を取り直してそのまま続けた。
「今そんな事を言っても仕方無いですよね。貴方にとっての『彼の存在』はもう消えたんですから」
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