TickeT
待ち受ける壁(5)
冷や汗が出始めた頃、不意に体の周りにあった緊張が溶けていった。
気がつけば、目の前から感じていた人の気配が、いつの間にかなくなっていたのだ。
すると、体が急に動くようになり、自然と扉に向かって歩いていた。
「扉を開けても大丈夫なのか?」
そうも考えたが、それは刹那の気の迷いでしかなかった。僕はすぐに扉を開けてみた。
扉を開ける事によって僕の前に開いた世界の中に、人の存在を確認する事はできなかった。
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