TickeT
待ち受ける壁(4)
毎日ただ百歩歩き続ける事より、この一瞬は、扉に近付くための、たった一歩を踏み出す事の方が重く、遠く思えてしまった。
しかし、その一歩は僕にとって、確実に踏み出さなければならない一歩であった。
僕は懸命に泡を割って、始めの一歩を踏み出そうとした。
しかし中々足が動こうとしなかった、体が動こうとしなかった。
目の前から感じてくる雰囲気に体が、心が、押し潰されそうで居た堪らなかった。
「本当に、今居るここが僕の家なのか?」
「僕はこの場所に居てもいいのか? ここは僕の居るべき場所なのか?」
僕は雰囲気に溺れてしまい、そんな事さえ考えてしまった。
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