Children Record
赤
「あ、気がつかれました?」
ここは病院だろうか。
白い天井に白い服。うん、病院だ。
心なしか視界が狭い気がするし、うまく距離感がつかめない。
「高城夏海さんのお姉さん、でしたよね?」
*******************
夏海は、即死だったらしい。
なんかよくわからない大切な臓器が破けてダメになっているし、骨も粉々。こんなにも酷いのはなかなかないらしい。
それに比べて私は左目を失明。これだけ。
あとは軽い打撲だ。
あり得ない、と横で看護師は呟いて、はっと口を抑えていたのをよく覚えている。
私も納得がいかない。
私の分の傷も夏海が背負った様な気がしてならない。
そしてーー
『日和っ、日和っ!!』
先ほどとはまた違った少年の様な声が頭に響く。
目を閉じれば、また同じような事故現場が鮮明に表される。幼い少女を鉄柱が貫き、少年が少女に手を伸ばす。
また、ユメなのだろうか。
でもユメをみるのはいつも寝ている時のはずだ。
『日和っ!!!!』
ここで、ユメは終わった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!