Children Record
コ
「…………?」
まさか、と眼帯を外してみると、見えた世界はさっきまでとは全く違うものだった。
嘘? なに? 夢?
ガラガラと商品の棚が次々となぎ倒され、テロリストらしき男の一人が潰される。
銃声がしたかと思うと、私の視線は一人の少女に向けられていた。
『ごめんね』
あぁ、こういう事だったのか。
「ミキちゃん!」
「うわっ」
ふと気がつくと、見えていた景色はもどり、店の片隅にいた。
「モモ、ちゃん……?」
「ん? なぁに?」
文字を打ちつつもチラリと顔をあげて目が合う。
「作戦、だっけ……それ、えーと……うまくいくよ、うな気がする」
そういうと、モモちゃんは少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になった。
「やったね!」
くるり、とモモちゃんは携帯を渡した。
「できました!!」
「ふんふん……ってはぁ!? なんだこの途中で出てくるやつは!!」
「あ、その子は知り合いの子なんですけど……ええと書いてある通りで……」
「そんなもんがホントに……?」
「だ、大丈夫な……はず、です……きっと。と、とりあえずカノさんにそれを確認して貰いたくて!」
「わ……最後に私の名前もある……!」
「とりあえずこのままメール送ってもいいですか……!?」
女の人はちょっと考えてから、顔をあげた。
「いや、確かにそいつがいると仮定すれば、いい作戦だ。現在俺たちにできる唯一の対抗策かもしれない。……やるな、新入り」
「……はい! ありがとうございます! お、送りますね……!」
女の人がふと顔をこちらに向ける。
目があった。
「え、と、あの……」
「なんだ?」
「さっき『団長』とか『新入り』とか聞こえたんですけど……えーと、サーカスか何かですか?」
「俺たちが?」
目をパチパチさせる女の人。
無言で頷く私。
「いや……違うぞ、なんていうか、その……
まぁ、とりあえずサーカスではないからな。象とかそういうの扱えないからな!」
そのとき、モモちゃんのもっている携帯が震えた。
「ええと、大丈夫みたいです!」
「あぁ、そうか」
立ち上がる2人。
慌てて私とマリーちゃんも立ち上がる。
「バレないように近くまでって、大丈夫ですか?」
「人にぶつからない限り問題はない。ただくれぐれも油断するなよ、相手は銃をもっているからな」
「はい!」
そんなやりとりをききつつ周りをみる。
なんでばれないんだろう……はなしてるの私達だけなのに。
「こうやってみるとほんとに人質ですね……なんか初めて実感わきました」
「俺もだ。おい、マリーとお前。あんまり離れるなよ?」
「うん!」
「は、はいっ!」
ーー作戦開始の合図だーー
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