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Children Record
メ*モモside

「お兄ちゃん……!!」

頭が真っ白になった。
「おい待て!! カノがいま向こうに行っている。今お前が出て行っても捕まるだけだ!!」
「でも……!!」
最悪の結末を想像した途端、目に涙が溢れてきた。
あんな兄でも私にとっては一人だけの兄だ。
引き籠りでニートでデリカシーがないけれど、それでも大事な家族なんだ!
「だれか、倒れてる……」
マリーちゃんが壁に寄りかかって座り込んでいる女の子を指差す。
あの服装は……
「ミキちゃん!?」
どうして、ここに!
「キサラギ! とにかく落ち着け。人質ってことはすぐに殺されたりはしない。とにかく状況がわからないとーーなんだ? 知り合いか?」
「はい、ええと、私の友達、です! お願いです、助けてあげたいんです!」
「…………わかった」
キドさんはそっと立ち上がり、ミキちゃんをひょいと持ち上げてこちらへ戻ってくる。
「キサラギ、いいか? むやみに突っ込んでもしょうがないだろ?」
「はい……すみ……ません……」
せっかく友達になれたとおもったのに。
友達も、兄も失うなんて嫌だ。
「こいつは気絶しているだけだろう。もうすぐに目を覚ますさ」
キドさんがミキちゃんの頭を撫でる。
「しかし軽いな……ちゃんと食ってんのか?」
キドさんはそう呟いて目を閉じる。
マリーちゃんは体を抱え込んで怯えている。

「うわっ……!」
「ひっ……!」
キドさんが前触れもなくいきなり体を揺らし、それに驚いてマリーちゃんは飛び跳ねた。
その原因はキドさんのパーカーに入っていた携帯が鳴ったせいだった。
「メール……!?」
キドさんが再び緊迫した様子で携帯を手にとった。
しかしその直後、呆れ返ったような表情に変わった。
この状況にミスマッチな表情に、マリーちゃんと2人でキョトンとしてしまう。
「あ、あの……誰からだったんですか?」
「……馬鹿からだ……」
そういうとキドさんは携帯を私たちに放り投げた。
画面には本文が表示されており、差出人を見るとカノさんからのメールの様だった。




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