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詩集
砂漠
星の地平線をつくる
砂の丘の輪郭が千切られ
冷ややかな嘘を
あたたかな夜と間違えたまま
赤に染まりはじめた
ただ一握りの砂粒を
穏やかな笑みの中
砂漠は嘘に消した
赤い砂は
広大な地表に刺さる
手足のようなサボテンに語りかけながら
オアシスの水溜りに
取り残されたように
一本の波をつくった
孤独な波は砂に染められ
嘘に消えた
意味もなくつくられ
切り裂かれた波の声が
砂に覆われた歪んだ地表に沈み
蒸気にもならず
つぶれた喉をかばいながら
砂の底で涙に変わっていく
そこに悲鳴はない
誰も気付かない
堪えきれぬ音が漏れ
羽ばたかないことばを抱えたまま
いつか空の
扉を開けはなつように
空に舞い上がり
赤く染まることもなく
かき消えた
ゆるやかな嵐を受けて
砂は舞い上がり
一握りは消え
そしてまた
砂漠に吸い込まれていく
そこには時間がない
永遠だけが砂漠を赤く染める
いつか
永遠は赤い嘘にまぎれ
ゆっくりと消える
赤い砂漠のどこかには
本物の嘘が沈んでいる



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