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二次創作/夢
【MHA×WT】トリガーは引かないで―プロローグ





―かつて私が居た所は、未知の敵と戦うために造られた特殊機関があった。極秘事項とされる戦闘手段、それは人の中にあるという「トリオン器官」を源とするトリオンだ。一種の生命エネルギーであるトリオンを基にしてトリオン体と武器を形成し、各々が己に合ったスタイルで未知の敵―トリオン兵と戦ったのである。
B級の中でチームを組むことなくソロで活動していた私は、それこそ一匹狼というものに見えていただろう。それでも、孤独ではなかった。切磋琢磨できるライバルがいたし、頼りになる先輩もたくさんいた。今はこうして懐かしむ事しかできない遥か遠い世界の話だが―、そう、私はかつて、間違いなくあの場所に立っていた。生きていた。

―辺りを見回せば、異形の人々が普通に通り過ぎていくのが目につく。かつてなぎ倒してきたトリオン兵とはまた違う、れっきとした人間だ。まあ戦ってきた中には人型近界民(ネイバー)もいたし、何ならそれが前の死因ですらあるのだが。しかし、この世界ではああいった見た目でも"個性"の一言で説明がつく。人体に超常現象が起きてから幾ばくか、人々は普通ではない、特別であることに慣れ切っていた。すなわちそれが普通なのだ。

―私とて普通ではない。いわゆる前世とやらの記憶があるせいか何なのか、私にはある個性が宿っていた。それは少し異質で、でも私にとってはひどく馴染み深いもの。


「繁栄(しげさか)命(みこと)さん、あなたの個性はひどく珍しい物だ。検査の結果、あなたの心臓横に詳細不明のエネルギー器官が存在することが分かった。外見に表れていない異形型という分類になる…ここまでは分かるね?」

「はい」

「よろしい。今までは個性を変身するものとして捉えていたが、それは副次的な物であることも分かった。あなたのエネルギー器官から、謎の生命エネルギーが絶え間なく生成されている。そのエネルギーが、あなたが姿を変える源となっているんだ。それに…確か武器も出せるんだね?出してみてくれるかい」

「…これでいいでしょうか」

「うん、そうそう。これは変身では言い表せないものだ。君は自分の想像するものなら何でも構成できる?それともこれだけ?」

「いいえ、私が作り出せる武器には明確なイメージが必要です。これを含めて、自分の中でしっかりと理論立てられていなければこうして作り出すことはできないと思います」

「なるほど…。さて、個性名は変えなければならないね。このエネルギー器官も名称が必要だろう。何か希望は?」

「…先生、私はずっとこの力のことをこう呼んできました…"トリオン"と。許されるなら、正式な名前として登録して欲しいんです」

「もちろん君の個性だ、君に権利がある。なら、トリオン器官…それとそこから放出されるエネルギーをトリオン、後は変身体をトリオン体として登録しておこう。個性名は、そうだな……」


私の名前は繁栄命。
かつて界境防衛機関(ボーダー)の仲間と共に襲撃してくる近界民たちを撃破していた、B級ソロのオールラウンダー。
そして今の私には、個性がある。個性名「エネルギー生成」、そして昔から色々と世話になった副作用(サイドエフェクト)―「トリオン吸引体質」。これらに翻弄されつつも何だかんだと付き合いながら、私は私の思うまま、個性氾濫社会を生き抜いていく―…

これはそんなお話だ。









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