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二次創作/夢
僕の全てで君を愛したい!!←空回り気味(影浦成り代わりと彼氏犬飼とセコム/リオン様)






「…絡むんじゃねぇ」


「まあまあそういうこと言わずに朔ちゃん?」


「肩に腕を回すな気色悪ぃなこのクソ野郎」


「もーそんな口悪いと嫁の貰い手無くなるぞ!!もちろん俺が朔ちゃんの名字を犬飼に変えるけど」


「……最悪の未来だな」


「えっそんなに顔歪める位嫌なの!!!?俺たち付き合って
るでしょ!!!!!!??!?!?」



本当に付き合ってんのかあそこは…という視線を浴びている二人は、ラウンジを突っ切って影浦隊の隊室へと向かっていた。もちろんその向けられている視線に込められた感情を理解している朔はその場を早く去りたくて仕方がないのだが、行く手を阻むように絡みついてくる一応…一応彼氏である犬飼が邪魔でたまらない。彼が満足するような返答をしない限りはずっとこの状態が続くだろうと思った彼女は、顎下のマスクを引き上げながら小さくため息をつく。




「…私が交際を了承したのはそういうことだって何度言えばわかるんだ馬鹿が。
結婚に関していえばその時まで私らが続いているかもわからないのに不確定なことは口にするな」


「えっやだ朔ちゃんてば…そんなにしっかり俺とのこと考えてくれてたんだね……」


「あれか?お前の脳にはカニ味噌でも入ってんのか?ほじくり出して食ってやろうか?…いやまずそうだからやっぱいいわ」


「え?俺と体内で混ざり合って一つになりたいって?そんな…実は俺も同じ事考えてたんだ……やっぱり俺たちいいカップルだね!!」


「てめー本気で気持ち悪いぞつーかんなこと考えてたのかよ勝手に食われて死ねこのカニ味噌野郎」




ここまで来るともう救いようがない。

鋭い瞳にさらに冷たさを乗せた眼差しで犬飼(暫定彼氏)を睨み付け、足取り荒く歩を進める。慌てて後をついてくる足音と彼から自身に向けられる感情にむず痒さを感じ、朔は中途半端に上げていたマスクで完全に口元を覆い隠した。
ふと温かくなった左手に目をやれば、自分よりも一回り大きな手が包み込むように握りこんでいる。ちらと視線を上げると口元がゆるゆると締まりのない形になっている犬飼の顔が見える。目が合うとへにゃん、と擬音が付きそうなくらい間抜けに笑った彼に胸は確かに高鳴るのだ。どうしようもないくらい馬鹿で色々とうるさい奴でも、恋に落ちたほうが負けである。妙に悔しい気もするが、ごくたまには素直になってやっているのだから棘のある物言いは許してほしい。実際そういう言い方しか出来ない彼女を好きだと言って迫ってきたのは紛れもなく犬飼だが、まあ今くらいはと握られた手に力を込める。ゆるく握り返されたことに軽く目を見開いた彼は、人がいる所では滅多に素直になってくれない彼女の珍しい行動に更に頬を緩めた。



「…へへ、やっぱり俺朔ちゃん好きだな」


「ふん。勝手に言ってろ」



口では喧嘩みたいなやり取りしかしないのに突然手をつなぎ始めた二人を周りはざわめきながら見送る。あまりにも幸せそうな犬飼の顔としっかりと絡められた手とを交互に眺めた彼らは、思い思いの言葉を漏らすのだった。



「いやあれは…意外とバカップルかもしれんな……」


「見せつけられた気分しかしない」


「それな」


「まじそれ」


「彼女ほしー…」






































「帰ったぞ」


「お、カゲ…うわ」


「なんだ犬飼か〜」


「ちょっと隊長なんでその人連れてきたんですか」


「この影浦隊の俺に辛辣な感じ辛い」


「ハッ日頃の行いのせいだろ」


「俺の彼女がこんなに冷たい…澄晴君泣くよ?ねえ泣くよ??」



ソファにどっかりと座り込んだ朔に後ろから覆いかぶさるように寄りかかった犬飼は、がくがくと彼女の肩を揺らす。最早だる絡みだと思って相手にしていないのか彼女は全く表情を変えずに北添にコーヒーを頼んでいた。それに便乗する形で、あーゾエ俺も俺もーと厚かましく注文する男の姿に、絵馬は一人眉をひそめる。



「…そもそも、俺はまだ隊長と付き合うこと認めてませんから。ランク戦で隊長にぼこぼこにやられた奴なんて彼氏としてどうなんですか」


「痛いとこ突かれたけど”まだ”ってことはいつか認めてくれるってことだよね!!」


「やっぱり撤回します絶対に認めません」


「え〜許してよユズル〜〜」


「馴れ馴れしい人は余計にダメです」



ツンと冷たく言い放った絵馬の反応を楽しみながら返事をする彼氏を、朔は呆れたような目で見やる。性質的に当真と似た所がある所為か、絵馬は影浦隊の中でも特に犬飼へのあたりが強い。仁礼もなかなかのものがあるが、彼の犬飼への嫌悪っぷりはいっそすがすがしい程だ。
なぜこれほどまでに隊員達の悪感情の矛先が犬飼に向くのかといえば、それは彼が彼らの隊の長たる朔の彼氏という座に収まっているからである。サイドエフェクトの中でも殊更特殊なものを有する彼女は、容姿や態度からは想像できないほどの精神的な脆弱さを持つ。それ故、普段から共に過ごすことの多い彼らは強く弱いという隊長のギャップにまんまとやられ、過保護と化していたのだった。



「よしよく言ったユズル!!いい加減離れろこの顔面18禁ヤロー!!!」


「ちょっと…ねぇほんとになんで毎回お邪魔するだけでこんなにがりがり精神削られなきゃいけないわけ?ゾエなんとかしてよー」


「犬飼が目のつくところにいなければ二人とも落ち着くと思うんだけど……」


「えっねえそれやんわりと出て行けって言ってない??」



湯気の立ち昇るマグカップを二つ持ってきた北添は申し訳なさそうな顔をしているが、言っていることは中々えげつない。顔をひくりと引き攣らせた犬飼は、ため息をつきつつコーヒーを飲んだら退散しようとしぶしぶ考えた。朔の肩から手を放し、隣に座るべく彼女の前を通ろうとする。その時ちょうど彼女が組んでいた足を組み替えたのだが、そこで事件は起こった。



「え?うわっ、と」


「ひゃ…!?」



え、何今の悲鳴超かわいい…と彼が思ったのも束の間、犬飼は自身の手が掴むものを求めたせいで起こった事態を把握し始めていた。

朔が足を組み替えようとした瞬間に犬飼がその前を横切り、ついでに足を引っかけたせいで彼はぐらりとよろめいたのである。そこで支えを求めて掴んだのは彼女の肩であり、二人は勢いのままソファに雪崩れ込んだ。その結果は………言わずもがなである。



「…っはやくどけ馬鹿!!!!!」



顔を真っ赤にした朔との距離は鼻先が触れるか触れないか、というくらいギリギリの近さだ。互いの胸は触れあっている上、室内にいるため薄着だった二人の体温が混ざり合いじわじわと服を温くしていく。愛しの彼女がなんともかわいい顔で自分の下にいるという事実は、思春期男子高校生の脳内容量を軽く突破した。



「アアアアアアアアアアアアア朔可愛いいいいいいいいい!!!!!!!!!!!!」


「いっいやーーーーーー!!!!!!!!」



据え膳を前にして我慢できなかった犬飼は、がばっと勢いよく朔に飛び掛かる。羞恥心が限界を突破していた彼女は、思わず衝動のまま叫び声をあげた。
その声にフリーズしていた影浦隊の面々はハッと意識を取り戻す。猛獣に襲われている我らが愛しの隊長のためにすべきことは、ただ一つだった。



「そっ総員確保ォオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!!!!」



































「一週間接触禁止…だと……」


「当たり前だ馬鹿。

なんだ…もっと増やされたいのか?いっそのこと一ヶ月いくか?このド変態」


「荒船の眼光が鋭すぎて怖い!!すいませんでした!!!!!でも男は皆変態だと思うんですけど!!!!!?!?!?!!?」



ラウンジ近くの通路で正座させられていた犬飼は、同級生の容赦ない言葉の数々に身を縮こまらせていた。彼の前には同じく同級生である当真や村上、穂刈が勢ぞろいしている。皆総じて体格のいい方なので下から見上げると威圧感が半端じゃないな、と彼は場違いにもそんなことを考えていた。気もそぞろになった犬飼の様子に目ざとく気が付いた荒船は、聞いてんのかと威圧するような低い声で呼びかける。



「荒船、血管切れるぞあまり興奮すると」


「しっかし、朔もかわいいとこあるよな〜。なんたってあの仏頂面が!顔真っ赤にしてんだぜ?」


「当真、その言い方は良くない。朔は少しきつい印象を受ける顔をしているだけだ。ちゃんといつもかわいい」


「おいこら当真、鋼。あいつがかわいいのはわかりきってんだろ馬鹿か自明の理だ。

今はこの目の前の変態の話だろーが」


「ああ…」


「おうそうだったな」


「ねえちょっと!!??」



いくら自制心が弱かったからといって、さすがにここまでの扱いを受ける謂われはない。そう思った犬飼は、我慢ならないと言わんばかりに声を上げた。そんな彼をいぶかしげに見た四人は、次の言葉を待った。



「俺はすっっごく嫌だけどさ、朔の彼氏になったと想像してみてよ!それでさ、普段は全く表情筋動かないうえにすごい口悪いわけじゃん?そんな彼女がさ、段々恋人関係に慣れてきてちょっとずつ距離縮めんのももちろん楽しいしめっちゃときめく!!!けど!!!!!

俺だって健全な男子高校生だから!!!!!!!!!!!!!」


「おいなんかすげえ必死だぞこいつ」


「まあ聞いてやるか」



あまりの剣幕に若干引き気味の荒船を、当真が笑いをこらえたような表情で(というより実際こらえている)なだめながら犬飼に先を促す。村上や穂刈は意味が分からないとでもいうような色を表情に乗せていた。



「そこでお前らに聞くけどさあ、手をつなぐ以外のボディータッチ無しで今まで過ごしてきた愛しの彼女と物理的に距離縮める機会が来たらどうするよ……?」


「…チャンスをモノにするな」


「まー当然そうだよな」


「なあ穂刈、これはきすとかのことを言ってるのか…?」


「そのままでいてくれ、村上は」



村上や穂刈はさておき荒船と当真の反応は思い描いたものだったらしい犬飼は、ほらあ!!!と大きな声を出した。つまり彼が言いたいのはあの時は状況が悪かっただけで、自分じゃなくても他の誰かが自分と同じ立場にあってもおかしくないということなのだろう。
まあ一理ある、とその場にいた彼らはほぼ全員が首を縦に振った。所詮彼らも思春期真っ只中の男子高校生ということである。その場にツッコミは誰一人としていなかった。



「…だが犬飼、だからといって今回の件が水に流されるわけではないからな」


「そうそう。まあ気持ちはわかるけどな〜おとなしく接触禁止令守っといた方がいいぜ」


「悪かったと思うんだな、運が」


「…よくわからないが、一週間がんばれ犬飼」



再び弁明の余地なくそう口々に告げられてしまった犬飼は、がっくりと肩を落として呻るようにわかったよ…と返す。彼自身急き過ぎたと思っているので異存はない。のだが、やはり彼女に触れられないのは辛い。せっかくここまで頑張って距離を詰めてきたのに、この一週間でその努力が無駄になったらどうしよう、と深く重いため息をつくのだった。





---実はこの一週間後、意外と寂しがりである朔から抱き着かれるという新たな事件が発生するのだが、彼はそんなことを知る由もない。










































僕の全てで君を愛したい!!←空回り気味

(あーーーかわいかったなあ……ハァ)





















* * * * * * * * * * * *


申し訳ありませんだいぶ……いやかなーーーり遅くなりました!!!!お待たせして申し訳ないです!!!!!!!

さて影浦成り代わりで彼氏犬飼が隊室でラッキースケベのちセコムたちと…?というお話でしたが、いかがでしたでしょうかリオン様……気に入らなかったらできるだけお早めにお申し出くださいね!直しますので!!

おそらく今後も更新が不定期になるかと思いますが、リクエストは必ずやり終えますのでどうか温かく見守ってやってください!!








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