二次創作/夢 おまえのせいで目が死んでる 教室が静かだったのは、クラス全員で私を待っていたかららしい。 「皆あなたを見てみたいって言ってたの。私は蛙吹梅雨、梅雨ちゃんって呼んで」 「アッハイ…ツユチャン……」 可愛い。梅雨ちゃん可愛い。 しかしどういうことだ、なぜ私みたいな一介の普通科生徒に興味を抱くのか……って言ってもどう考えてもお前しかいないけどな!!原因!!! 誰かって?フッ…もう分かってんだろ……?(イケボ)男子で集まってコソコソ話してるそこのお前だよ轟焦凍ォ!!!!!!!!!!!! 抵抗むなしく教室に連れ込まれてしまった意味が分からん。そもそもなんでコイツは私みたいな普通科生徒をヒーローの卵たちに見せようと思ったのか。血迷ったんだなふふふ…じゃなきゃクラス中静かで射抜くような視線で貫かれるはずがねーよ……ウッ刺さる……… 悲壮にくれている私を憐れんだのか梅雨ちゃんが話しかけてくれた。天使すぎる。これから崇め奉るねツユチャン…… 「…え、ねえ聞いてる?」 アッしまった天使を偶像崇拝ならぬ実物崇拝してたら聞いてなかった。すみません申し訳ない。 「なんでしょう」 「アナタの名前を教えてほしいわ、轟ちゃんはアナタを自慢しても名前とかクラスは頑なに教えてくれないんだもの」 エッ自慢?あいつ何やってんの?馬鹿なの??死ぬの??? 何の自慢だよ、俺の中学からの腐れ縁はこんな没個性でクソみたいに仏頂面で目も当てられないってか。新手すぎる自慢だなオイ。 内心突っ込みが止まらないがせっかく問いかけてくれた天使を無碍には出来ないので応えることとしよう。この際ヒーローがどうとかは目をつむる。 「岸川朔です、普通科の」 「朔ちゃんね、分かったわ。」 アッすごい普通科って言っても何ら動揺なく返してくれた。やはりヒーロー科なだけあるね…ヒーロー科は人格者の集まりなのかな?あっやっぱり違うわ轟焦凍除く。アイツは実力が抜きん出ていようが人格者とは認めない。 天使の素晴らしさに浸っていると、他の女子たちも集まってきた。おぉふ…天使イッパイ……ここが桃源郷…… 「私麗日お茶子っていうんだ!よろしくね!!」 「私は葉隠透だよー!!個性は見ての通りだよ〜」 眩しすぎて目つぶれるかと思ったわ。なんなの。今ならあのツートーンカラーの腐れ縁に感謝できる気がする。 …しかし、キャッキャとヒーロー科の女子たちと親交を深めている間も教室の隅に集まって何やら会議してる男子が気になる。いったい何の話を…… 「朔」 そう思っていたら声をかけられた。 「何かな轟くん…」 こっちへこい、と手招きをされる。 なんなんだ…そっち男子しかいないじゃないか…ダイオウイカ…… 仕方なくまわりに断りを入れ、轟のほうへと向かう。横に並んだ途端、二の腕あたりを掴まれて引き寄せられる。意図せずして寄りかかる形になり、背中に細身ながらも逞しい筋肉を感じた。残念ながらときめくはずもなく、目が死にゆくことしか感じない。ほんとなんなの。嫌がらせか。 「こいつが話してた奴だ」 「(お前絶対悪口だろそれ)」 先ほど梅雨ちゃんが自慢してたとかなんだとか言っていたが…悪口に違いない。だってこいつピンポイントで私がしてほしくないことしてくるし。マラソン後の凄まじい汗をかいている時に背中からのし掛かられた衝撃は今でも忘れない。汗かいている時には絶対臭いから誰も近づけたくないって言っただろうが…!!と憤慨したのを覚えている。 面倒になって体重を轟の方にかけた。心なしか後ろの奴の体が強張った気がしないでもないが知らん。重いのは百も承知である。 すると、そんな私たちを凝視していた男子たちの内の一人が声を上げた。 「轟…ソイツが…!!」 「ああ」 エッ、私が何か。 そう思って声をかけてきた人物を見る。異様に小さいブドウみたいな頭をしている奴だった。何故か目をひんむいている。 「俺の嫁だ」 …エ、ナニ? 目の前の変な髪型の男子を凝視していたら何か変なこと聞いた気がする。気のせいかな。気のせいだよね。 しかし周りがなんか…騒々しいな……女子はなんか悲鳴上げてても天使だけど…一部床をたたいている男子はなんなの。見苦しいんだけど。 チラリと背中側に目を向けると、すごいドヤ顔と対面した。 轟焦凍おまえなんなの。 おまえのせいで目が死んでる (とりあえずスマホ返してよ) * * * * * 塾の休み時間忙しない(右手が) [*前へ][次へ#] [戻る] |