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「おい、のー天気。」
双獺が挑発的に天侯に声を掛ける。
「んだよ、雀弐。」
天侯の言った雀弐と言うのは、双趨と双獺が雀の化身だからだ。双子で双趨が兄、双獺が弟だから壱、弐と呼んでいる。二人は雀界の長役でもあり、雀神という立派な神様だ。
「お天気のくせに、何であの方と暮らしてんだ!」
毎日の台詞。
「アイツに聞けよ。」
「アイツだと!?お前、何様のつもり、」
「双獺、止めなさい。」
殴り掛かろうとした双獺の後ろ襟を掴んで、双趨は制止をかける。
「でも、双趨、」
まだ渋る双獺の口を手で抑える。
「あの方がお決めになった事です。それに意見を言う立場ではありませんよ。それに──」
口では天侯を擁護する様な事は言ってるが、冷ややかな眼で天侯を見る。
双趨は双獺以上にシュンへ忠誠心のある奴だ。
「あの方が表情を現すのは、此れしか居ませんし。」
天侯を此れ扱いしながら、不服そうに言う。
天侯はどちらかと言うと、双趨のが苦手だ。
双獺の様に突っ掛かって来てくれた方が対処しやすい。
対して双趨は、冷ややかな眼で、言葉を巧みに使用して皮肉るので対処しにくい。
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