■
「あ、あの、シュン?」
おどおどしながら声を掛ける。
「…………何でしょう。」
ショックで顔を上げられずに返す。
「……………新しい着物買ってやる。」
その言葉にはっと天侯さんを見る。
「…………ほんとう、ですか?」
目には少し涙が溜まっていた。
「あ、ああ。」
狼狽えたのは、あまり表情の変えないシュンの顔がころころと変わるから。
「嬉しい……。」
着物を握り締めながら、自然と零れた綺麗な笑み。
こんなに喜ぶならもっと早くからプレゼントするんだったと、少し後悔。
でもこれからそうすれば良いのだ、と贈り物をする味を占めた。
そして、朝からもう一度襲ってやろうかと考えてる時だった。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!