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チュンチュン。
雀が鳴いている。
でもまだ起きる気にはならず、少し身動きした。

「シュン。」

半分夢心地で天侯さんが呼ぶ声がする。
だが、瞼が重い。
身近な物に擦り寄る。

クスリ。
温かい笑いが聞こえた。
しかも擦り寄った物から笑いの振動が来た。

もしや……

目をゆっくりと開けると目の前には裸の胸。
勢い良く離れようとしたら、腰を抱かれ、上からこら、と叱りの声がする。

「おはよう。」

ニヤリと笑った顔。
いつも通り。

「おはよう、ございます。」

顔を見ながら挨拶するのが恥ずかしい。
少し顔が紅くなる。
何回抱かれても慣れない。
何故だろう?
学習力はある筈なのに。

「今、何時ですか?」

顔を見られない様にしながら話を逸す。

「…分からん。辰の刻は過ぎてるとは思うんだが。」

顔に手を添えながら言って来た。
止めろと言う制止をかける前にそっちに気が取られた。

「辰の刻……!?」

着替えねば。
情事の余韻に浸っている場合ではない。
急いで着替え出した俺を怪訝そうに見る。

「なんでそんなに慌てんだ?」
「ユウ君が後半刻で来るからですよ。」

今日の浴衣は何が良いかと、見ながら答える。
今日は水色のにしよう。


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