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「お前ら、家族は?」
天侯さんは不思議に思ったのだろう。
「母さんは3年前に死んで、親父は母さんが居た時から付き合ってた愛人と結婚して居ないです…。」
在り来りではあるが、自分の身に降りかかったら嫌な事だ。
「……ソイツは?」
悪いと思いつつも聞かずにはいられなかったらしい。
「泰真は……」
愛しそうに横たわる少年の頭を撫でる。
「家族から…追い出された、とだけ聞きました…。」
天侯さんが息を呑む。
そんなの有りか…?
言いたい事が聞こえくる様だ。
「母さんが死んで、親父が出て行った時、暗闇の中で光を取り込んでくれたのが泰真でした。俺の家に来て、俺も家族に捨てられた。一緒に暮らそうって。……俺、母さんが死んでも、親父が出てっても泣かなかったのに、そう言われて泰真に抱き付かれて、気付いたら涙が出てた。そうなったら止める事が出来なくて、目が溶けるんじゃないかって程泣いた。その間泰真はずっと俺の背中を擦りながら、大丈夫だ、俺がずっと一緒にいるって言ってた……。俺、泰真にもらってばかりなんだ……。俺が泰真にしてあげられた事なんて何一つ無い……!」
涙が止めど無く流れる。


目を開けて。

俺を見て。

大丈夫だよって言って。



話したい事は沢山ある。












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あきゅろす。
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