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《305号室 清見泰真》

「此処です。」
病室に着いたようだ。
「泰真、また来たよ。今日はお客さん連れなんだ。」
にっこりと話かける。
だが返事は無い。ただ目の前にあるのは、色々沢山の種類の管が手に刺さり、眠っている少年のみ、だ。
「─────おい。」
天侯さんは俺を呼びながら眉を顰める。
言いたい事は分かる。
知っていた俺は飄々と無言で受け流す。
「本当は…生きてるのが不思議なくらいなんです…。」
静かな病室でポツリと呟いた。
「医者にも言われました。あんな大事故だったのに、生きてる事自体が奇跡だって。───手術も成功して、取り敢えず一命は取り留めた。でも………脳の損傷が激しいから、もしかしたらこのまま一生植物状態かもしれないって……。」
ポタリと落ちる。
「泰真は……っ、俺を庇って、トラックにぶつかった…っ……泰真が居なくなったら俺、どうやって生きてけばいいか分かんない…!」
明るくしているのは空元気。
心の中ではずっと雨が降っている。
でもそれを気付かれる訳にはいかなくて、強がっていた。






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