[携帯モード] [URL送信]






「そういえば、アイツが来た時に言ってた、"おばあちゃんの蜜柑を下さい"ってなんだったんだ?」
「ああ、あれですか?あれは、この世に存在するか分からない物を頼む時の合言葉みたいなものですよ。その言葉で何処から聞いたのか分るようになっています。」
「……どうゆう意味だ?」
首を傾げる。
「私が合言葉を使用するように言ったのは五人。全部内容は異なった物を言いました。つまり、合言葉を使用する事で何処からの紹介か分かる様になっているのです。念の為に依頼人には誰からの紹介か聞きますがね。」
「……つまり、今回のも君香からだって合言葉で分ってたのか。」
「いいえ。あの合言葉はツヤちゃんがうちの店を教えてもらった者の合言葉です。だからすぐ思いつかなかったんですよ。」
そう言って前髪を上げる。
暑いし、邪魔…。
取り敢えずどこでも良いから休みたい…。
「そこにコンビニあるから入ってろ。アイツが来たら呼ぶから。」
見計らった様に言った。
涼しい顔して言う彼奴が憎い。
だが、皮肉を言う気力すら残っていない。
アスファルトとビルからの太陽の照り返しでかなりの温度だ。

「お願い、します…。」

それだけ言って、ふらふらしながらコンビニとやらに入った。

弱ってる時は素直だ、と思ってる天侯の内心など全く知らずに。






[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!