4 地球人へ「正義」の裁きを!
「首尾はどうだ、ダイペイン」
「ハッ! 全ては順風満帆でございます、テイオルド様」
玉座に座っているテイオルドが満足そうに目を細め、安心したように深々と腰掛けた。
「ああ、それならいい。今度は失敗しないだろうな」
穏やかに、それでも滲み出る威圧感は非情な冷たさを含んでいる。ダイペインは一度上げた頭を再度地面に擦り付けるほど下げた。重なる失態に如何にしても歯止めを掛けなければならない。
「イルリッツ」
ぽつり囁くような低い響き。
「ハ、……ここに」
暗闇に赤いマントが翻った。イルリッツは姿を現すと、直ぐに立ち膝を付いて頭を下げる。
「テイオルド様、このイルリッツ、先刻の失態、お許しを乞いはいたしません。ただ、今一度、その、チャンスを、頂ければと……」
その声は恐怖で僅かに震え、いつもの態度に似合わずしどろもどろしていた。テイオルドは細く開けた目をさらに細めると、玉座に掛けた手に力を込めた。柔らかな表情ではなく、苛立ちを込めた睨み。ミシリと軋む音に二人は目を見開き、肩を震わせた。
「許しを乞わない姿勢は評価しよう。しかしイルリッツ、チャンスを与えてしまえば許したことになってしまうのではないか?」
低く響く彼の声に、イルリッツはがばっと顔を上げた。
「そっ、それは! 相応の、処罰を、覚悟している、から…でして……」
「……まあいい、お前の非を責めている暇はない。奴等が仲間を増やす前に我々は目的を達成しなければならない」
口籠もる部下を尻目に、目を見開き、二人を見据えて続ける。
「分かっているな」
『ハッ!!』
小さく頷き、テイオルドは握り拳を作り、わなわなと震えるそれを肘掛けに叩き付けて吼えた。
「我々はこの地球の再生を図るためにリセットを行う!! 自らを滅ぼさんとする愚かな人間共の粛正をするのだ!! 行けダイペイン、今度こそ奴等に制裁を加えるのだ!!」
「御意!!」
前へ次へ
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!