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3 本当にいたんだってば!
 「ホントだよ! 七不思議はホントだったんだ!! ボク見たんだよ、3丁目の幽霊!!」

 立之山小学校の昼休み、興奮冷めやらぬ様子のダイチが身振り手振りでマサに昨晩のことを訴えていた。しかし非科学的なことは信じようとしない友人はとにかくとりつく島もない。


 「はっはーん、ダイチぃ、さてはお前オレをビビらそうってんだな? わりーけどそうはいかねーぜ! いいか、幽霊ってのは科学で証明できるんだよ。火の玉はプラズマだし幽霊は思い込みだ!」

 怪談否定派番組の宣伝文句のような台詞をズバリ言い放ち、断固認めないマサ。その机にかじりつき、必死で訴えるダイチは「違うよホントだよ!マサの分からず屋ぁ!」と、もはや半泣きである。

 「アンタたち何やってんのよ! さっきからユーレイだのなんだのってウルサイわよ!!」

 同じく教室で他の女子とドラマの男優の話に花を咲かせていたアマネが、2人の騒がしさに堪えかねて大股で歩み寄ってきた。可愛らしい大きな目は吊り上がり、眉間にはしわが寄っている。

 「あっ、アマネちゃん!マサが幽霊信じてくれないんだよ! ボク、ホントにホントに見たんだよ!?」
 「ユーレイなんているわけねーよなぁアマネ!!」
 「アンタたちねぇ、いくつになってオバケだユーレイだなんて言ってるのよ?」

 いかにも呆れ顔のアマネは、話の馬鹿馬鹿しさに早く切り上げて戻りたいという様子だ。
それを察したのか、熱くなりすぎたのを反省したのか、二人は大人しくなった。それを見て彼女は溜め息を一つ吐くと七不思議の二つ目を教えた。



 夜に外を出歩いていると、どこからかサイレンの音が聞こえ、気が付くと赤い手にさらわれて、鬼に食べられてしまうのだという。



 話し終わると得意気な顔で二人を見て、マサの鼻面に指を突き付けた。

「分かったら遅くまでサッカーしてないで早く帰ることね!」

ふわふわした栗色の髪を揺らして踵を返すともと居たグループの所へ戻って行った。何事もなかったかのようにまた盛り上がっているアマネ達の様子を見て、マサは唇を尖らせ不機嫌な様子。

 「ちぇっ、なんでぇアマネのヤツ!絶対その鼻明かしてやるからな!!」
 ちらりと彼を見たアマネの顔が「出来るものならやってみれば?」と言っていたので、マサは地団駄を踏みそうな勢いでじたばた拳を振って声にならない抗議をした。


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