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きみのおともだちはだれですか?
 セントラル軍基地ではグラッジバルドが荒々しく資料を閉じ、上から拳を叩き付けた。


 「エストランドに、シェイディア。それにあのヤブ医者にレオハルトにグランハルト!!」


 憎々しげに叫び、誰もいない前を睨む。怒りに染まった水色が、ゆうらりと揺れた。

 「ふっ、副隊長殿、ストリートチルドレンの件はどうしましょう……。」
 「後回しだ! 今はエストランドの鎮圧を優先しろ! 反逆者の筆頭を捕え奴らの見せしめに処刑だ、そんなことも分からんのか貴様は!! 返事はどうしたァ!!」
 「さ、サー副隊長殿サーッ!!」

 エストランドではマグナムを筆頭に反乱が起きていた。これまで細々とは起きていたが、シェリフと軍によりことごとく鎮圧されてきた。
 だが今回は規模が違う。全土と言っても過言ではない範囲で行われているのだ。戦意を喪失させるには、彼らの指導者的地位にあるマグナムを捕え、殺してしまうのが一番手っ取り早い。捉えるだけでは、助け出そうと躍起になるものが現れる可能性がある。二度と立ち上がらないよう、完膚無きまでに叩き潰さなければなるまい。


 「雑草は生えすぎると手に負えなくなるということか……。」


 ギシ、と椅子に身体を沈め、肘掛けに肘を置いて指を組んだ。ストリートチルドレンの掃討作戦が進まないことには、被害件数と目撃情報が大幅に減ったことも原因だった。実害が減ったのであれば優先順位は下がっていく。エストランドの鎮圧に陸軍のほとんどを割いてしまうとなれば、作戦を同時に行うことは難しくなる。

 根回しをしたのは、ここの所外出が多いセントリックスであることは見当が付いていたが、証拠を探すのが難しく、裏付けるための決定打に欠けていた。グラッジバルドは喋りすぎる彼を嫌っていたので一度で押さえ込もうと考えていたが、証拠探しに手間取る羽目になった。彼は巧みに足跡を消し、尻尾を掴んだと思えばするりと抜けていく。

「だがそのうち必ずボロを出す……。その時が最期だジャンク共! ふふふ…ハハハハハハッ!!」










 ジャスライトはトタン板の前に立っていた。
 どうしても言わなければならない一言がある。返事は悪いかもしれない。承知の上だ。

 意を決して、ゆっくりと板を押し、足を踏み入れる。


 「バイコート、あの……」


 話を切り出す前に、彼は煙草の火を消して、つかつかと歩み寄る。俯くジャスライトの前に立つと、意外にも柔らかい笑顔を向けた。

 「お帰りなさい、旦那」
 「……えっ?」
 「晩飯までに来ねーんなら食っちまおうとしてたんですがね! あーあ、食い扶持が減っちまった!」

 大袈裟に言っていると、テーブルに着いていたゲインが笑いながら言った。

 「よく言うぜ! コイツ、アンタが来るまで食うの待ってたんだよ。」
 「ゲインの旦那、ありもしないこと言うのは止めてくだせぇ。危うく爆弾が落ちるとこでしたぜ。」
 「おお、こわあ。」

 ジャスライトにはそれが彼なりの許し方で、照れ隠しということが分かったので、それ以上は何も言わなかった。だから目一杯笑いながら夕飯を取り分けた。


 「ありがとう、2人とも。」


 返事は小さな頷きだけだったが、それで十分だった。





 今、反旗を翻した者達に不穏な影が迫る。それはどこまでも執拗に追い掛け、今息の根を止めようと鎌首をもたげた蛇ように獲物を狙う。
 だがそのことにまだ誰も気が付くいてはいなかった――。


→To be continued!


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あきゅろす。
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