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It's a ShowTime!
 「さて、慎んでお相手申し上げまさぁ!」
 「おっと、俺も忘れないでくれよ家主さん!」


 後ろから駆けてきたゲインがバイコートの隣に並ぶ。視線で分かってますよと相槌をすると、2人は頷いた。


 「やれ!!!」


 少し焦げたアイモニターを押さえながら、大柄なロボットが二人を指差した。それを合図に動き出す軍人達。


 「これだから単細胞は困るんですよねぇ」


 算盤で警棒を受け止めながらバイコートがぼやいた。


 「何だと!?」
 「海賊の方がよっぽど怖いってことでさァ!」


  ガンッ!


 背負ったままだったもう一つの算盤を、取り出しざまに軍人の肩にめり込ませる。肩を押さえてうずくまる軍人。ヒュウ、と口笛の音が聞こえて振り向けば、ゲインが笑っている。


 「やるねぇ!」


 ライフルから放たれる銃弾をひらりひらりかわしつつ、手元でトランプを切っていた。余裕の笑みを浮かべながら、ざっと軍人の前に躍り出る。


 「イッツァショ―――ターイム!」


 まるでマジシャンのように、山札を引き延ばすようにシャッフルしてみせる。拍子抜けしている軍人の前で山札の一番上のカードをめくり、軍人の前に伏せたまま突き出した。
 に、と笑ってターン。向き直れば山札ごと消え去るカード。


 「さあ、どこに行ったか当ててみな?」
 「ふっ…ふざけるなァ!!」


  カチリ。

 踏み出した足が踏んだのはジョーカー。
 ゲインがばっと後ろに飛び退くと、閃光走る!


 「ビンゴ!」


  ドォン!
 爆発の後、煙が晴れたときには仰向けで倒れた軍人。手元に転がっていたライフルを蹴飛ばして、バイコートにサムズアップをしてみせた。


 「見事なモンですねぇ。それじゃああっしもとっておきを。」


 後ろから降り下ろされた銃身をかわしながら、バイコートは胸を開いた。ジャケットのように着ていた装甲の内側には無数の手榴弾がぶら下がっていた。一つ取り出して、手の中で弄ぶ。

 「これ、高いんですよぉ?」

 にぃいと口の端を吊り上げ、口で栓を抜くと、何の躊躇いもなくリーダーを支えていた軍人の方に投げた。
 手榴弾は着弾する前に空中で爆発し、下にいた二人はアイモニターのメインカメラを点のように小さく絞る。このままでは殺される。それも、間違いなく! 血相を変える軍人達。

 「とっとと帰らねぇとアンタら全員吹き飛んじまうぜ!」

 ゲインの言葉に狼狽えた軍人達は「これで済むと思うな!」と捨て台詞を吐いてのろのろと逃げ出した。


 「いやはや、最近の軍人は手癖が悪くて困ったもんです。」
 「そういうアンタもソートー悪いと思うけど。」
 「そりゃお互い様ってモンですよ旦那。」


 算盤をしまいながらバイコートが溜め息を吐いた。彼が上を見上げたので、ゲインも釣られて見上げてみる。見れば、ジャスライトが窓から身を乗り出して手を振っていた。


 「二人とも大丈夫かー!」


 「どっかの誰かさんのお陰で泥まみれになっちまいましたよ!」
 「それはすまなかった! 丁度風呂が沸いたから入るといい!」
 「こっちが必死にドンパチやってる間、旦那ときたらいいご身分なこって!」


 そのやり取りを聞いたゲインが噴き出して、腹を抱えて笑い出した。


 「仲良いなあアンタら!」


 ずかずかと家に入っていくゲインをバイコートが慌て追い掛ける。誰がいいって言ったんですか、泊めませんよ。ちょっと厄介になるだけだから気にするなって。気にしまさァ!
 快適に開いているドアから入っていくゲインを捕まえようとしたバイコートの腕を、二階から降りてきていたジャスライトが掴んだ。


 「ちょっ、まっ……旦那!」
 「良いじゃないか、皆で頑張ろう? それに、仲間が増えたんだから今日はお祝いしないとな!」


 爽やかな笑顔を横に、彼はふてくされたようにボディに顔を引っ込ませた。


 「へっ、口だけの祝い事でさァ!」


 それでも構わないさ、と背中を押し、するりと抜けて台所に向かう。申し訳程度の冷蔵庫の中には新しい卵と牛乳、それと野菜が少々。恐らくバイコートが買ってきたのだろう。
 ケーキは作れないけれど、フレンチトーストならできるだろうか。これからまた忙しくなると思いながら、ジャスライトはボウルに卵を割り入れた。


 不穏な影が刻一刻と迫っていることを、まだ彼らは知らない――。





→To be continued!



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あきゅろす。
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