見参!その名はバーンテイラー 3
「全く話を聞かない方ですね! アレストフィールド、展開ッ!」
「デットッパアァァアアアンッ!!」
キイィィィィィイイイィィィィィィン……!!
景色が変わるのとほぼ同時に、耳をつんざくようなハウリング音が空気を震わせた。
街中のようにガラスが割れることはなかったが、傍聴席の椅子がガタガタと揺れた。
「ぐっ……! こ、これでは近付けませんね……っ。」
側頭部を押さえつつバンテラーは言う。
「だ、大丈夫かっ!?」
「勿論!」
しかし、その口元は苦痛に歪んでいた。
「デットォッパァァンッ!!」
肩のスピーカーが開き、無数のミサイルが現れた。
「味な真似を……! 少年、少し揺れますよ!」
バンテラーが剣を構えながら言った。
「お、おう!」
ドシュドシュ! ドシュッ! ドシュンッ!!
ミサイルが発射された。間隔を見つけて縫うように避ける。
「少々、数が、多すぎ、ますねッ!」
背面で爆発するミサイルの爆風に、足元がすくわれた。
ガシャンッ!
傍聴席の椅子を巻き込んで盛大に転ぶ。
ドシュッ! ドシュシュシュシュッ!
体勢を立て直す間もなく降り注ぐミサイルの雨。
「うああぁぁぁぁぁっ!!」
「バンテラーーッ!!!」
シートベルトを握りしめながら、マサは身を乗り出して叫んだ。
諦めたら、そこで試合終了です。
そんな言葉が頭を過ぎった。
「あ、諦めんな!頑張れ、バンテラー!!」
「当たり前です! 何処の世界に始まって直ぐに負ける正義がいますかッ!!」
「ヘラズグチ叩けるくらい元気ならだいじょーぶだな! 父ちゃんがよく言ってる!」
マサが笑ったことが分かったのか、バンテラーも口元を緩めた。
立ち上がろうと脚に力を入れた瞬間。
「デトッパアァァァァ!!」
椅子と床を粉々に砕きながら衝撃波が進んできた。
「くっ!!」
横に反転して回避はしたが、肩を掠めた。
「私のボディを傷付けるとは…この代償は高く付きますよッ!」
とはいえ、敵の攻撃を避けるのが精一杯で、隙があっても反撃する余裕がない。
万一反撃できたとしても、サイズが違いすぎて致命傷が与えられない。
「デットパン?」
観念したか、と言うかのように語尾を上げ、ドシンと一歩近付いた。
「一か八か、勝負に出ましょう。」
「勝負に出るって何するんだよ! 合体でもするってか?」
「まさに、その通りです!」
じわじわと近付いてくるデトパーンを見つめながら、両拳をぐっと握る。
そして上を向いて、叫んだ。
「デイィィィンッロォォォダァァァァアアアッ!!!」
すると突如、どこからともなく暗雲が立ち込め、辺りが暗くなり雷が鳴り始めた。
遠くから何かが走ってくる音がする。
「トォウッ!」
バンテラーが飛び上がると、走って来たデインローダーが立ち上がり上部のウイングを展開した。
完全に起き上がると巨大な鎧のように変形し、ビークルモードに変形したバンテラーがその中に収まる。
そして額の飾りが左右に展開し、胸のエンブレムが輝き、瞳に光が灯った。
「合体完了!! バァァァァァンッテイィッラァァァァァァァ!!!」
ダン!
片足を前に出して、歌舞伎役者のように威勢良くポーズを決めた。
「あッこの華の大江戸八百屋町で悪事を働こうなんざァふてェ野郎だァ! お天道様が許してもこのバーンテイラーが許しゃあしねぇ!! さぁさぁ覚悟しやがれィ!!」
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