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4. 新たなる敵
 港へでは、マサカズを追ってきたショーコが船の周りで彼を探していた。
呼んでも返事をしない弟に、だんだん不安と焦りが増してくる。
 ふと見えた人影に、僅かな希望をかけて声をかけた。


「あっ、あの、男の子を見かけませんでしたか? 赤いジャケットに青いジーンズをはいているんですけど…」

「さあ、知らんな」


 振り向いたのは鈍く光る緑の甲冑。
悲鳴を上げるよりも早く刀を突き付けられ、喉の奥に声が飲み込まれた。
 見られたからには生かしておくわけにはいくまい。
ダイペインは刀を振り上げ、ショーコの首に狙いを定める。


「ダイペイン!」
「チッ、パラソーンがやられたか。小童、少しは強くなったか?」
「…!」


 アレストフィールドが解除され、出てきた矢先にあからさまに嘲笑されたファイヤーエイダーは、怒りに震える手でラダーライフルを構えた。
押さえようとするガードエイダーとレスキューエイダーを振りほどき、1歩前に歩み出る。


「止めてください!!」
「ねーちゃん!?」
「あ、貴方たちの喧嘩は、よくないと思います!」


 ファイヤーエイダーとダイペインの間に立ったショーコは、両腕をいっぱい広げ、ダイペインに向き直った。
 刀を向けても、ショーコは手を下ろさずにダイペインを見る。
切っ先がカタカタと小刻みに震え、彼は忌々しげに刀を降ろした。


「この女に感謝するんだな、小童!」


 そう言ってマントを翻すと、ダイペインは姿を消した。
良かった、助かった、自分の前から危険が過ぎ去ったことでショーコは緊張の糸が切れ、その場に倒れ込んでしまった。
 バンテラーから降りてきたマサカズがショーコに駆け寄り、肩を揺すった。


「ねーちゃん!!」
「問題ない、気絶しているだけだ」
「うん……」


 心配を隠せないマサカズだったが、ふと海を見ると、夕焼けの空に巨大な黒い物体が飛んでいるのを見付けた。
鳥にしては大きすぎるし、飛行機にしては形が違う。


「何、あれ…」
「隊長、あれはまさか…!?」
「間違いありません。ダ・アークの、移動基地です!」


 突如として現れた敵の基地に、銀河系警備隊の面々は固唾を飲んだ。
ショーコを抱きかかえるマサカズの手にも緊張で力が入る。


「まさか、貴方が来るというのですか……テイオルドォ!」


 巨大な敵を目の前にしようとしている絶望と、怒りの入り交じったバンテラーの声。
その声を受けても、敵はただ、空中に静止しているだけだった。



→To Be Continued!


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