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遭遇!黒いロボット 4
 マサがそう言った矢先だった。

 「トォラッ!」

 勢いよく踏みつけるトーラポス。

 そのままゆっくりと体重をかけていく。

 「う、ぅぐっ、ぁがっ…!!」

 「おっ、おい、大丈夫かバン…バンなんとかっ! 頑張れぇっっ!」

 慌てて駆け寄るマサ。


 「分かって、います…!」


 不思議と力が湧いてくる、そんな気がした。

 ガッ

 剣を抜きだし、トーラポスの足首に突き刺す。

 「トォオッ!!?」

 悲鳴を上げてひるんだ隙に抜け出した。

 体制を整えるついでに突き刺した剣を抜いた。

 (こんな生物に励まされるとは!)

 「トォオオオラアアアアアアアアッッ」


 「私を殴った上に踏みつけるとは、随分肝が据わっているとお見受けいたします」


 背中から銃を取り出し、力強い口調で言った。

 銃を構えて狙いを定める。

 「セット!」

 バンッ! バンッ! バシュンッ!

 銃から弾丸が発射される。

 直後、剣を構えながらトーラポスに向かって走り出す。

 マサは夢中になって叫んでいた。



 「いっけぇーっ!!!」



 「はぁああああああぁあああっ!!!」

 
 ザン、ッ!

 頭を縦に一線斬りつけると直ぐにトーラポスの後ろに立った。


 爆音と激しい炎とともに爆発するトーラポス。


 バンテラーはいたって冷静に剣を鞘に収めた。

 ぐしゃぐしゃになった法廷は瞬時に元に戻り、ザァッといつものオフィス街に戻った。

 「うっわ……。」

 驚きを隠せないマサはぽかんと口を開けて立ち尽くしている。

 そして今起こったことを整理してから、目を輝かせて言った。


 「すっげえええええええええええええええええええ!!!」


 「うん、助けてくれてありがとな! すっげぇ、かっこよかった! まじでまじで! うっわわ、どうしよ、えっへへ!」

 ばたばたと手を上下に動かしてバンテラーの足元でわいのわいのと歓声を上げる。

 「どういたしまして」

 返事はいたって平坦だった。

 そしてその目は、冷ややかにマサを見下していた。

 「さ、早くお帰りなさい。」

 「あ、……うん、…あ、あのさ。」

 「何でしょうか。」

 早く行け、と言わんばかりにバンテラーの目は訴えている。

 その視線は冷たく、瞳の奥には恐ろしいものがある、と子供ながらにマサはそう感じた。

 が、それに臆することはなかった。

 (何ビビってんだ!このチャンスを逃すもんか!)

 マサは朝の戦隊ヒーローやロボットアニメは絶対に見逃さないようにしている。

 そしてそこに出てくるロボットが大好きだ。

 喋ろうと喋らなくても、それが「ロボット」であることに意味がある。

 憧れにも等しい思いを抱くそれが、今目の前に、自分の目の前にいるのだ。この機会を逃せるわけが、ない。

 「行く当てとか、基地とか、そーゆーのあるのか?なかったらいい場所があるぜ!」

 ふむ、とバンテラーは顎に手を当てた。

 案外、すぐに考えがまとまったようだった。

 即座に車に変形する。

 先ほどの戦いで傷ついたのか、ボンネットなどに少々へこみやかすり傷が見られたが、元通りになればかなり高級そうな車だ。

 そして、ドアを開けて言った。

 「では、案内していただけますか。」

 「あ、ああ!任せとけ!」

 満面の笑みで返事をして、勢いよく乗り込む。

 「オレはマサ、岩浪マサカズだ、よろしくな!ばん、バン…なんだっけ。」

 「バンテラーです。」

 何故いきなり現れた自分に恐れを抱かないのか、この星の生き物はよく分からない、とバンテラーは内心思った。

 「おう!よろしくな、バッテラー!」

 「 バ ン テ ラ ー で す !」

 「お、おう、よろしくな、バンテラー…。」

 流石に凄まれて驚いたようだ。

 車から降りたら踏みつぶされるんじゃないのか?と考えたがそんなのはすぐにどこかへ飛んでいった。

 「えっへへ、これから楽しくなりそうだぜ!」

 「案内したら忘れて貰いますからね。」

 「やーなっこった!」

 からからと元気よく笑うマサの声が夕暮れに照らされる車内に響いた。


 To be continued!

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