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8 見参!三体合体エイディオン!!
 ダン、と地を蹴り高く飛び上がる三体。


 (俺は、仲間を信じる!)


 ファイヤーエイダーの胸のプレートが外れ、頭部がボディに収納される。両腕が折り畳まれ、上半身を形成する。


 (アタシ達なら必ず出来る!)


 ビークルモードに変形したレスキューエイダーが、中央から縦に二つに分かれ、腕部を形成。


 (私達が守らなくてはいけない!)


 続くガードエイダーがビークルモードに変形し、車体後部が中央から分かれ、下半身が形成された。


 腕がボディにドッキングし、結合部が固定される。
 胸と腰が繋繋がり、全体の形が形成されると、収納されていた脚部が伸展し、畳まれていた爪先が下ろされた。
 表裏が反転したファイヤーエイダーのプレートが胸にドッキングすると同時に、頭部が姿を表す。 胸に大鷲のエンブレムが輝くと、額の角飾りが開いて栄の文字を現した。

 力を込めた両の腕を振りかざし、緑の光が、炎のように瞳に灯る!


 「今と未来を守るため、熱き闘志が燃え上がる! 三体合体エイディオン、あなたの為に只今見参!!」


 エイディオンは高層ビルの上に着地する。しかし、彼にも飛行能力はない。

 「エイディオンだかハルジオンだか知らんが結局飛べないではないか! 地を這う不様な貴様等に一体何が出来る!! シャトートレイルズ、奴も蹴散らしてしまえ!」
 「ト――レトレトレトレトレ――――ッ!」

 またも無数のカッターか! と身構えれば、じわりと装甲が溶けた。

 「溶解液だ!」
 「ア、アジな真似してくれるぜチクショーがッ!」

 横転して避けたところへ、鋼鉄のカッターが飛来する! バーンテイラーとライジングは2枚のカッターを避けたが、すかさず鱗粉状のカッターが襲い掛かる。
 地上の二体に攻撃が集中している間に、エイディオンは得物を構えた。長い砲身を持つビームライフルが、シャトートレイルズを捉える。

 「もう少し耐えてくれ、二人とも! レスキューエイダー!」
 「とっくに終わってるわよ!」

 シャトートレイルズの分析結果をコンピュータが弾き出す。装甲が薄いのは、四枚羽の中央。弱点は内部にあるコア!

 「飛べないのならば、撃ち落としてみせよう! 指揮系統は俺が担当する!」

 しかし下方からでは羽の中央を狙うことはできない。ライフルの照準がシャトートレイルズの腹部を捉える。コアの真下にあたるポイント。同時に、エネルギーがチャージされていく。

 「運動機能は私に任せてください!」
 「調整はアタシがするわ!」

 チャージが完了し、照準がロックされる。この距離でも、腹部から貫通させることが出来る!



 「貫け! スパイラルブラスタ―――――ッ!!」



 「なっ、何だと!?」
 「トレトレ―――ッ!!」
 「ええい騒ぐなシャトートレイルズ!」

 高速を超えたスピードで赤、青、黄、三色のビームが回転しながらシャトートレイルズに向かって突き進む!


 「ワッ、ワタシハカゲロ―――――――――ッ!!?」


 刹那、寸分違わず光がシャトートレイルズの急所を貫いた!


 煙の昇る銃口を一吹き。轟音を立てて爆発するシャトートレイルズを背に、エイディオンは得物を下ろした。



 「任務、完了」



 光のように消えていくアレストフィールドの外、間一髪で逃げたイルリッツが高層マンションの屋上からその様子を見ていた。

 「くっ…またしてもか…。許さんぞ薄汚いロボット共…私をコケにした報い、必ず受けさせてやる!」
 「自信があったわりにこの程度か。しかも奴らに合体を許すとは、これいかに」

 いつの間にか後ろに立っていたダイペインに、イルリッツは睨みをきかせる。

 「お許し頂ければよいがなぁ。のぅ、小童」
 「貴様何が言いたい!?」
 「何がだと? 言葉通りのことよ。せいぜい弁解の言葉でも考えておけ、ハハハハハ!!」

 煙に包まれて消えるダイペイン。怒りをぶつける相手がいなくなり、煮え切らないまま苛立ちに変わる。小さく舌打ちをして、イルリッツもマントを広げ姿を消した。


 『リペアシステムの申請を受理しました。30秒後にリペア作業を開始します』

 今日はやけに素直ですね、とダージングが口にしかけたところを、レッシングがマスクの上から押さえ付けた。

 「エイダーズ、ちょーカッコよかったぜ!!」
 「ありがとう、マサくん!」
 「あらぁ、アタシはカッコいいよりキレイーとか美しいーの方がいいわぁ。ほらファイヤーちゃん! 褒めてくれてるんだから何か言ったら?」
 「……………あ、ありがとう…」

 言い慣れていないのか、俯きがちに言うファイヤーエイダーを物珍しそうに二体が見る。
 驚きから笑いに変わって、捩れそうな腹を必死に押さえているメンバーに「煩い!」と叫んでいると、後ろからバンテラーが話し掛けた。

 「よくやりました、とだけ言っておきましょうか」
 「…迷惑を、掛けてしまった。すまない、隊長」
 「まあ、合体の成功に免じて許しましょう」

 バンテラーに敬礼するエイダーズ。改まった行為に恥ずかしくなったのか、わざとらしい咳払いをして、厳しい口調に戻ろうとする。

 「但し、人間への干渉は程々に頼みますよ」
 「「「了解!」」」
 「特にそこの二人」
 えっ、と顔を上げたのはレッシングとダージング。

 「次建築資材でジェンガでもしてごらんなさい。ただじゃ済ませませんよ」
 「あ、あははは…」「た、隊長、見ていらしたんですか…」
 「当然です」

 さあ帰りますよ。というバンテラーの合図で、全員ビークルモードにチェンジする。
 これでまた、エイディオンという心強い仲間が増えた。バンテラー逹は明日の平和を守ることを心に誓うのだった。



 →To be continued!


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あきゅろす。
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