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6 それが自分達の使命だ!
 比較的高いビルが立ち並ぶ上空に、四枚の羽を羽ばたかせて滞空するシャトートレイルズの姿があった。狙いを定めて鋼鉄の鱗粉を飛ばし、ビルを破壊する。
 高層ビルの貯水タンクの上では、イルリッツが腕を組んでその様子を見ていた。今回の目的は街の破壊と敵を誘き寄せること。必要以上の破壊をせず、しかし確実に破壊の輪を広げていく。作戦通りの展開に腹の底から笑いが止まらない。

 「敵を発見次第構わず倒せ! 人間共に気をとられてここではまともに戦えまい、あの厄介な空間に連れ込まれる前に奴等を叩きのめすのだ!!」

 下を見れば、早速敵――ガードエイダーを見付けた。人間達を誘導している彼を見て、イルリッツはしめたとばかりに目を細める。片手を上げ、シャトートレイルズに合図を送ると、その手を敵に向けた。

 「やれ、シャトートレイルズ!!」


 号令とともに鱗粉型のカッターがガードエイダーに向かって放たれた!


 「うわっ!!?」

 気付くのが遅れた彼は、振り返って両腕を盾代わりにして難を逃れた。
 しかしその大部分は、彼ではなくその背後にあったビルを直撃していた。斧を入れられた大木のように、ビルは不安定にぐらつき、ばらばらとコンクリートが崩れ落ちている危険な状態である。
 彼の足元にはまだ人間が残っていた。彼等の避難が終わるまでここを動くわけにはいかない。崩れそうなビルが彼の不安を煽る。

 「おかあさん、かばんなくなっちゃった!」
 「シホちゃん、今はそれどころじゃないのよ!?」
 「あのかばんじゃなきゃやだ!!」

 母親がぐずる女の子の手を引いている最中、ビルが大きくぐらついた。嫌な予感が的中した――ビルの最上階の一階分が音を立てて崩れてきた!


 「危ない!!」


 寸手のところで、母子とビルの間にガードエイダーが滑り込んだ。コンクリートが砕け散る衝撃音とともに、辺りはにもうもうと土埃が立ち込める。
 しんと静まり返った空気。瓦礫の山に何一つ動きがないことを見ていた人間達がざわめき始める。もう駄目なんじゃないか、どちらも助からなかった、そんな声が囁かれ始めたとき、瓦礫の山から巨大な腕が姿を見せた。
 瓦礫を押し退けて全身を現すと、彼の足元には先ほどの母子の姿があった。女の子の腕には小さなショルダーバッグが抱えられている。二人を掌に乗せて状態のいい道路に降ろした。

 「お怪我はありませんか?」
 「ありがとうロボットさん!」
 「どういたしまして! 皆さん、早くここから離れてください!!」

 深々と頭を下げる母親に笑顔を返し、彼は空を仰いだ。このままでは街が危険に晒されるだけだ。せめて隊長かファイヤーエイダーがいれば、アレストフィールドが使えるのだけれど。


 「ガードエイダー!」
 「助太刀に来ました!」


 視界に入る黄色と黒は、レッシングとダージング。駆け付けた仲間にガードエイダーはぱっと顔を明るくした。

 「ありがとうございます!」

 味方が来てくれたことにより、士気が上がる。何としても、守り抜かなければ。

 同じ時、ファイヤーエイダーは火災現場での消火活動を行っていた。燃え盛る炎に向かい、消防士達が懸命に放水する。
 ある者は救助を行い、ある者は助かった者を宥め、またある者は仲間への指示を出している。怪我人の手当てをする者もいれば、救急車へと運ぶ者もいる。

 「ちょっと、全然消えないじゃない!」
 「消火弾はどうした!?」
 「さっき使ったので最後よ!」

 地球人に手を貸してはいけないと、規則では定められている。しかし。

 「下がっていろ」

 沈黙を守っていたファイヤーエイダーが、沈黙を破った。今は規則だのと言っている場合ではないと、彼は判断したのだ。
 ロボットモードにチェンジすると、ラダーライフルを肩にセットする。唖然としている人間達に構うことなく、彼は炎に向かった。


 「消火活動を開始する!」


 病院では、レスキューエイダーが怪我人を搬送していた。ちょうど最後の患者を運び出したところで、彼は中にいた救急隊員に言う。

 「一段落したなら、アタシ行かなきゃならないとこがあるのよね。ちょっと降りてくださるかしら?」
 「へっ」
 「あぁら、ご協力感謝するわね!」

 ポンッ、とまるでボールでも投げるように運転手達を放り投げ、彼女はエンジンを噴かして走っていった。
 今やらなければいけないことがあるのだから。


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あきゅろす。
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