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D.C.UD.W.
Dream:40
悠我「お土産良しっと♪楽しい時間ってあっという間だね。」


麻耶「本当にそうよね。」


悠我、麻耶、勇斗の三人はパレード組と別れ、さくらパークのゲートをあとにした。


悠我「勇斗くん、楽しかった?」


勇斗「うん、楽しかった!」


勇斗はそう言って笑顔を見せたが、おそらく体力的には限界だろう。


悠我「あはは♪そうかそうか。」


悠我【帰りのバスの中じゃ爆睡なんだろうなー。】


その様子が簡単に想像できたのか悠我は微笑を浮かべていた。


勇斗「また来ようね、お姉ちゃん。」


麻耶「そうね。また連れてきてあげる。」


勇斗「やったー♪」


悠我【うんうん。子供らしい反応で微笑ましいねー。やっぱり子供は子供らしくが一番だね。】


喜ぶ勇斗を見て、悠我はおとんのような心境になっていた。


麻耶「悠我、今日はありがとね。」


悠我「ん?お礼を言われるようなことはしてないよ。元々、俺の我が儘にみんなが付き合ってくれただけなんだし……って、今、悠我って?」


麻耶のお礼に悠我は気にすることないと言うが、名前を呼ばれたことに驚く。


麻耶「べ、別に良いでしょ!私たちだけのときはいつもそう呼んでるんだから!!」


そんな悠我の反応に麻耶は恥ずかしくなったのか怒鳴る。


悠我「そんな怒った言い方しなくても。ただ嬉しかっただけなんだからさ。普段でもそう呼んでほしいかな?」


麻耶「それはお断りするわ。……でも、残念。」


悠我「名前のこと?」


麻耶「違うわよ。」


悠我の返しに呆れたあと、麻耶は名残惜しそうにパークを振り返る。


悠我【夜のパレード……見たかったんだろうな。】


麻耶「一度で良いから見てみたかったな……」


悠我「また来るって勇斗くんとも約束したじゃん?」


麻耶「そうだけど……でも……」


麻耶は言い淀む。


悠我「麻耶の言いたいことはわかるよ。勇斗くんを連れてきたら今日と変わりないからね。ま、勇斗くんには悪いけど……勇斗くん抜きの今日のメンバーで行こうよ。」


悠我【本当は原作の義之みたいに冗談めかしでも良いから二人で行く?とか言ってみたいけど悠くんの本命がわからない以上、迂闊なことはできないからなー。もし、俺の軽はずみな言動で悠くんの本命に誤解でもさせたらどうなることやら。】


悠我は内心、この身体の持ち主に気を使っていた。


麻耶「そうね……悠我は本当にパレード見ていかなくても良いの?」


悠我「良いんじゃないかな?」


麻耶の質問に悠我は疑問系だったが即答した。


麻耶「え?」


悠我「さっきも言ったじゃん?また来るんだし。いつでも見れるから今日は良いよ。それにパレード見て遅くなったら音姉になにを言われるかわからないし。」


麻耶「相変わらず朝倉先輩には頭が上がらないのね。」


悠我「たぶんシスコンだからだよ。ついでにさくらさんにも頭が上がらないと思う。」


麻耶「シスコンでマザコン?救いようが無いわね。」


悠我「そう思わなくもないけど……なにもそこまで言わなくても良いんじゃないか?」


麻耶が意地の悪い笑顔で言うと悠我は苦笑していた。


勇斗「二人とも、なにしてるの?バス来ちゃうよ。」


遠くから勇斗が二人を呼ぶ。


悠我「そうだったね。バスの時間に合わせて出てきたんだ。これで乗り遅れたら意味が無いな。行こうか、麻耶。」


麻耶「うん。」


悠我たちは、夕日に彩られる中、さくらパークをあとにした。







勇斗「すー……すー……」


バスに乗り込み、座席に着くなり、すぐに勇斗は麻耶にもたれかかり寝息を立てていた。


悠我「くすくす……もう寝ちゃったか。はしゃぎすぎて疲れたんだな。」


勇斗「ん……すーすー……」


麻耶「勇斗は遊園地に行くのは初めてだったから。普段、いろいろと我慢してる分も遊んだんだと思うわ。ふぁ……」


麻耶は欠伸をして慌てて口を塞ぐ。


悠我「麻耶も眠たいんだろ?寝てて良いよ。着いたら起こしてあげるからさ。」


麻耶「ん、それじゃお言葉に甘えさせてもらうわ……すーすー……」


゛こてんっ゛


麻耶も限界だったのか素直に寝ると言い、悠我の肩に頭を置いた。


悠我【へー……あの堅物な麻耶がいとも簡単に寝顔を曝すなんて。やっぱり悠くんて、信頼されてるんだな。俺とはえらい違いだなー。俺の場合は無防備な姿さえ見せてくれないんだよな。】


麻耶「ゆう、が……」


悠我【それにしても本当に悠くんはどこにいるんだ?あのとき、嫉妬したのは俺の感情じゃなかったのはたしかだ。なら、この身体に眠っているのか?それとも欠片だけこの身体に残して、別の場所にいるのか?……枯れない桜にいるのならさくらさんにばれてるか……もし会えるなら一度でも良いから接触したいな。】


悠我は帰りのバスの中でひたすらこのD.C.Uの世界の相楽悠我について考えていた。バスが目的地に着き、いくら起こしても眠り続ける勇斗をおぶさり、麻耶の家まで送り届けたのだった。




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あきゅろす。
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