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D.C.UD.W.
Dream:26
舞佳「悠我君。」


舞佳はゆっくりと悠我に迫る。


悠我「お、俺……///その、初めてだから優し――」


゙スパーンッ×2゙


悠我「いたっ!!」


悠我が馬鹿なことを口走ると義之と舞佳がどこからともなくハリセンを取り出し叩く。


美夏「どこからハリセンを……」


義之「気にするな。」


美夏「気にするぞ。」


美夏の疑問に義之は答える気は無いようだ。


舞佳「天枷。それよりも重要なことがあるでしょ。」


悠我「え?なにかありました?」


義之「しらばっくれるなよ。」


悠我「なんのことやら。」


義之に睨まれるが悠我は飄々としていた。


舞佳「どこから聞いてたの?」


だが、舞佳に睨まれるとあっさりと答えた。


悠我「その子が『だったら証拠を見せてやろうじゃないか!このロケットパンチを食らえっ!』って言ってた所からですよ。」


悠我【正直に話したけどこのままだと適当に言いくるめられて追い返されそうだから……煽るか♪】


悠我は美夏を見ながら考える。


悠我「ま、でもこんな感情豊かな可愛い娘がロボットなわけないですよね。」


義之「……そうだよ。」


少し間が開いて義之が答える。


悠我「ちょっと夢見がちのイタい娘なだけですよね。俺にもそういう時期ありましたし。」


美夏「み、美夏は夢見がちでも無いし、イタくも無い!正真正銘のロボットだ!!」


義之「ばか天枷……」


義之【悠我の思い通りの反応しやがって……】


怒り口調で言い返す美夏を見て義之は呆れた。


悠我「やっぱりそうなんだ。それじゃ確認も出来たので俺は帰ります。」


義之「どうするんですか、水越先生。」


義之は爽やかな笑顔で立ち去ろうとする悠我の襟首をがっしりと掴みながら舞佳に尋ねる。


舞佳「仕方ないわね。悠我君にも協力してもらうわ。」


それにため息をつきながら舞佳はそう言った。


悠我【よし、勝った!!】


内心ガッツポーズの悠我。


悠我「協力って?」


義之「俺に聞くなって。俺も呼ばれたんだから。」


義之はいろいろ疲れた様子で言う。


舞佳「義之君には天枷がロボットだってばれないようにサポートしてもらいたかったの。」


美夏「だから美夏は必要無いと言っているっ!」


悠我「いやーサポートは必要だと思うよ。」


熱くなる美夏に悠我は呑気な声で言う。


美夏「なぜだ!?」


悠我「現に俺にばれちゃってるし。」


悠我は一度言葉を切り、美夏を指差す。


悠我「それに煙出てるよ。」


美夏の頭からモクモクと煙が出ていた。


舞佳「悠我君の言う通りね。ほら、これで回路を冷やして。」


舞佳は呆れた顔で冷却シートを美夏に投げる。


美夏「……むぅ。」


美夏は納得いかない顔で冷却シートを額に張る。


舞佳「ほらね。ロボットだったでしょ?」


義之「え、あ、はい。」


舞佳「どのみちフォローする人間が必要なの。これは研究所の総意として受け取ってもらって構わない。」


美夏「………」


舞佳「不満かしら?」


美夏「もちろん不満だ。」


美夏はきっぱりと言う。


美夏「……が、水越博士の指示には従おう。」


そして義之を睨む。


水越「……が、美夏は別にフォローが必要だとは思ってないからな。人間を信用するつもりも無い。だから桜内、貴様は余計なことをするな。それとそこの――」


悠我「悠我。相楽悠我。」


悠我は柔和な笑顔で自己紹介をする。


美夏「相楽もだ。良いな。美夏が言いたいのはそれだけだ。」


悠我「あ、ちょっと待って。」


立ち去ろうとする美夏を悠我が呼び止める。


美夏「なんだ。」


悠我「君の名前、教えてくれないかな?」


美夏「天枷美夏だ。」


悠我「天枷美夏ね。よし、覚えた。」


美夏「別に覚えて欲しくは無い。」


悠我「そんな冷たいこと言わないでよ。これからよろしく。」


美夏「ふんっ!」


悠我「っていうことで♪」


義之【悠我の目が光ったな……】


悠我「いただきます♪」


美夏「何を――」


悠我は手を合わせてから美夏を抱き締めた。


美夏「うわっ!?」


悠我「うわー暖かい。本物の人間みたいだ!」


美夏「は、離せ!」


悠我「ノー♪」


美夏「……#」


゛ドカッバキッ!゛


悠我「プシュー……」


義之【よ、容赦無いな……】


美夏は悠我をボコボコにした。


美夏「美夏は帰る!」


゛バンッ!バンッ!゛


そして勢い良くドアを開閉して出ていった。


義之「悠我ー生きてるかー?」


悠我「……いたた……うん、あのパワーは生身の女の娘じゃ出せないよ。」


義之「タフだな。」


舞佳「ところで君はなんでここに来たの?」


悠我「あ、そうそう。水越先生に俺の精神安定剤をもらいに来たんですよ。」


悠我【美夏のことですっかり忘れてた。】


舞佳「……こんなことになるんだったら昨日渡しておけば良かったわ。はい、悠我君のよ。」


舞佳は机の引出しからタバコを取り出し悠我へと渡す。


悠我「ありがとうございます水越先生♪」


義之「どこから調達してると思ったら……良いんですか?教員がそんなことして。」


舞佳「悠我君以外にはしないわよ。」


悠我「なら良いですね。」


義之「良くないだろ……」


義之は呆れるしかなかった。


悠我「あ、そうだ。一つだけ忠告。」


舞佳「何?」


悠我「天枷の話なら場所を選んだ方が良いですよ。今回は俺だったから良かっただけで。もしこれがロボット差別論者だったらどうなっていたか……わかりますよね?」


さっきまでの笑顔は消え、真剣な顔で話す悠我。


舞佳「……えぇ。確かに今回は私の不注意だったわ。」


悠我「わかってもらえたなら良いですよ。義之も気をつけろよ。案外近くにいたりするからさ。」


義之「あ、あぁ……」


また笑顔を見せる悠我に義之は戸惑いながらも返事をした。




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あきゅろす。
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