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D.C.UD.W.
Dream:24
―教室―
悠我【渉のせいで俺までエリカにへんたい扱いされた……】


悠我は朝の出来事をまだ引きずっている。


渉「……というわけで、俺はたこ焼はやっぱり大阪が一番だと思いました。終わり。」


悠我「え?」


渉の声に悠我は伏せていた顔を上げる。


戯矢利尊先生「はい、よく出来ましたー。でも文章能力が小学生低学年並だったのと、テーマに合ってないのでCマイナスでーす。」


悠我【あれ?いつの間に授業になってんの?】


茜〈悠我君、どしたの?〉


悠我〈いや、どうもしないよ。〉


茜〈そう?〉


悠我〈あぁ。〉


悠我【えーと今は……『地球と温暖化について』っていう宿題のレポートだったよな?俺はやってあるのか?】


悠我は机の中の物を全て出してレポートを探しにかかる。


杉並〈惜しいな。地球温暖化と大阪のたこ焼の関連性に着目した、すばらしいレポートだったと言うのに。〉


義之〈いや、ぜんっぜん関係なかったから。〉


渉〈ほっとけ。あーあ、俺としては自信があったのになー。〉


義之〈作中に一箇所でも『地球温暖化』という単語が出てりゃ、もちっと評価も良かったかもな。〉


渉〈入ってたじゃん。『地球温暖化』って名前のたこ焼き屋。〉


義之〈ダメだこりゃ。〉


悠我〈宿題をやってきてない人が言う台詞じゃないよな。〉


悠我【お、あったあった♪へーちゃんとやってあるじゃんか。】


悠我はレポートを見ながらそう言う。


義之〈え?(汗)〉


義之【なんでバレてる!?】


戯矢利尊先生「んーそれでは、次は……はい、月島さん。」


小恋「あ、は、はい。」


悠我【な、和む……】


小恋があせあせと汗を飛ばしながら席を立つ。悠我はそんな小恋を見て頬を緩ませている。


小恋「『地球と温暖化について』……一昔前、油田などの影響で地球の温暖化は進む一方でしたが――」


義之【さすが小恋。さっかの渉の『小学生日記』とは、比べものにならないな。】


悠我【ゲームやってる時から優等生って感じてたけどそのまんまだな。】


小恋「戦争は、結果、尊い命を奪うばかりか、環境破壊を加速させているのです。わたしは、地球に住む一人一人がそういった破壊を無くし、もっと身近なエコロジーを心掛ける人間になっていけたらと願います。終わり。」


戯矢利尊先生「すばらしい!実にすばらしい!!もう月島さんには教えることはなにもありません!!!」


小恋「ふぇ?」


悠・義「おいおい。」


戯矢利尊先生「冗談です。月島さんの評価はAプラスでーす。」


小恋は苦笑いをして席に着いた。


悠我【当然の評価だな。文章も聞き手、読み手を考えたって感じだし。】


杉並〈さすがは、月島女史。穏やかな文章と身近な例題で好感度ますますアップといったところだな。〉


渉〈そういう言い方するなよ。月島は素で好感度高いんだから。〉


戯矢利尊先生「では、次は……そうですね。桜内くん。」


義之「げげっ?」


悠我〈素直に言えよ。〉


義之〈わかってるよ。〉


義之「えっと忘れちゃいました。」


戯矢利尊先生「なんですって?仕方ないですね。ここはひとつ、私の相方のマペットくんに叱ってもらいましょう。」


戯矢利尊先生は、右手に装着してある指人形を義之に向ける。


マペットくん「このやろう、よくも宿題忘れやがったな!てめぇなんかDマイナスだ!」


悠我【人形に言いづらいこと代弁してもらうとか……現実にはありえないだろ。絶対イジめられるって。】


義之「とほほ……」


小恋「くすくす。」


義之【くそー。笑った顔、可愛いじゃねーか。】


悠我【小恋に教えてあげたい!今の義之の心情を!!】


マペットくん「そんじゃ代わりに相楽!」


悠我「は?」


マペットくん「てめぇが桜内の代わりにレポート発表しやがれ!」


悠我「……はい……」


義之【悠我、すまん……だからそんな笑顔で睨まないでくれ。】


悠我は一度だけ義之の方を見た後、立ち上がる。


悠我「俺たちの住んでいる地球が、出来上がったのは46億年前です。青い海と緑の大地そして、大気。生命が誕生し、進化し続けた地球。俺たちの原点ともなる地球を――」


茜【むー……見た目はヤンキーなのに私よりしっかりレポート出来てる……】


悠我「ライフスタイルを改めるだけでも、地球温暖化防止に役立ちます。こうした生活が、常日頃できるように、取り組んでいきたいと思います。それが、青い地球を守るためです。終わり。」


戯矢利尊先生「すばらしいですね。おしいのは例題の選択でしたね。」


マペットくん「宿題をやってきてない馬鹿とは違うな。Aマイナスだ。」


悠我は頭を下げてから座る。


戯矢利尊先生「では、次は……雪村さん。レポートを発表してください。」


杏「はい。」


杏が無表情で席を立つ。両手を紙に添え、まるで卒業証書でも受け取ったみたいな姿勢で読み始めた。


杏「温暖化が続くと……洪水や干ばつ、台風などの異常気象だけでなく……生きとし生きる全てのものの生態バランスは崩れ、伝染病や食糧難が訪れる。やがて地球上の酸素は無くなり、大気の膜は破れ、地球という惑星は真っ赤に燃え尽きて消滅することだろう。それでも良いなら、これからもどんどん環境破壊を続けやがれ、この愚かな人間ども。お前のツケは、お前の死をもって償うんだな。あっはっは……終わりです。」


「「……………」」


悠我【あ、杏の淡々とした語りで言われるとすごい危機感が……】




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あきゅろす。
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