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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
story36 悪魔狩り



夜、
リオナ達は宿屋から近くのパブにいた。


中は相手の顔が見えないほど暗く、
人もバラバラとしかいない。


「はいじゃあとりあえずダークホーム脱出成功を記念してカンパーイ。」


「・・・カンパーイ」
《カンパーイ!!!》
「・・・・・」
「カンパーイ」


このパブなら暗くて見えないと言うことで
ムジカは一日ぶりに翼を思いっきり解放する。


「はぁ〜幸せ・・・」


「ははっ。ご苦労さん。」


「・・・でもムジカ・・・翼が・・・」


「へ?」


ムジカは暗闇で目を凝らすように背中の翼を見つめる。


「・・・・・・・ウソ」


先ほどまでの嬉しそうな表情から一変。


ムジカは唇をわななかせ、そのまま机に頭をつけた。


「・・・・・・・・・・死ぬ」


《ちょーウケるぅ!!!》
「・・・こらB.B.!」


なんとムジカの翼はくっきりと半分に折り曲がっていたのだ。


「ムジカそれでも全然おかしくないぞ?ブッ!!」
「笑ってるじゃん・・・!」


マーシャはずーっと笑いっぱなしでムジカはずーっと半泣きだった。


しかしリオナは途中からこっちの話ではなく、
隣にいた男女の話し声に耳をそばだてていた。


「・・・・・・・・・」


「・・・リオナ・・・・・?」


「あ・・・・・ああ何だっけ?」


《だからぁ〜リオナの手ぇ!》


「・・・・・手?・・・・ってうぁあぁあああ!」


手の甲を見ると、
いつのまにやらペンで変な顔がドーンとかかれていた。


「あははは。なにボーっとしてんだよばーか。全然気づいてなかったよなぁ?チョーウケル」


「最悪最悪最悪・・・マーシャほんとに最悪・・・・これおちないじゃん・・・」


リオナは手のひらをゴシゴシ擦るが
手が赤くなるだけで消えなかった。


《リオナがアホしてるから悪いんだよーん!》


「アホ言うな・・・あーあ・・・行っちゃったじゃん・・・」


リオナは残念そうに男女が店から出ていくのを見つめた。


「リオナ、お前もしかしてナンパ!?」
「・・・・違う。盗み聞きしてたんだよ。」
《最悪》
「・・・・だからそういう事じゃないんだって」


リオナはヤケになって、
マーシャから酒を奪いグイッと飲み干す。


「あーあ。お前酒弱いだろーが」


マーシャの言うとおり
酔いは一気に回った。


そして暫くして、
リオナは急に笑い出した。


「ははは、あはははは!」


「おーいリオナくーん。んでリオナくんは何を聞いてたわけ?」


「・・・ははっ、俺?なんかぁ・・・・奴隷兵士が、逃げ出したんだってぇ〜」


ムジカはいつもと違うリオナに恐怖を覚え、
翼が折れたことなどすっかり忘れてしまった。


「ああ、今日みたやつか。」


「しかもねぇ・・・・奴隷を引っ張ってた男たちはぁ・・・・・ずぅっと固まりっぱなしなんだってぇ。はははっ何が起きたのかなぁ」


「・・・・・体が・・固まる・・・?」


「魔族か?」


「魔族にはぁ、一瞬固められてもず〜っと固めとく魔術はないよぉ」


《ぎゃ!!リオナはなしてぇ!!》
「やぁーだ。ちぎってやる。あはははは」
《ひぃっ・・!!》
「うそだよ〜あはははは。B.B.のその顔ぉ〜ダーイスキ」
《・・・・・・・・・・・・・》


B.B.ですら嫌がるくらい、
リオナの酔い方はタチが悪い。


けれど、そんなリオナをマーシャだけは楽しんでいた。


というか、扱い慣れていた。


「リオナ〜、こんなバカウサギ相手にしないで俺のとこおいで。」


マーシャが手を広げると、
リオナは立ち上がり、
マーシャに抱きついたのだ。


猫のように、頭をマーシャの首に摺り寄せている。


「マーシャぁ・・・・」


「なーに?俺の事好き?」


「・・・・嫌い。」


「えっ!」


リオナの返答に、
ムジカはずっと笑っていた。


暫くして、
リオナもムジカも眠そうに目をこすっていたので、
マーシャはリオナを背負って店を出た。











「はぁ〜楽しかったぁ〜・・・」


「よかったなぁリオナ。」


「うんっ。マーシャの背中ぁ久しぶりぃ〜」


「そうだな。いつぶり?」


「うーん・・・わかんない。」


リオナはマーシャの背中にさらにギュッと抱きついた。


そして、リオナは突然しゅんとなってしまった。


「なんか・・・なつかしい・・・」


「へ?」


「なんでもない・・・」


少しひらけたところにくると、
浮浪者たちの姿が全くない、
綺麗な広場にでた。


目が覚めたのか、ムジカは思いっきり翼を広げながら、
バタバタさせて楽しんでいた。


ルナはジッと空を見ている。


マーシャはベンチにリオナと座り、
夜風に酔いしれていた。


「はぁ、酒の後の夜這いはいいなぁ。」


「・・・・夜這いかぁ〜」


「って・・・ツッコメよ・・・」


いつものツッコミ役が不在の中、
突然一人の少年が広場にやってきた。


両手には大きな台を抱えている。


その少年は広場の中心に台を置き、
その上にたった。


「おっ、見せ物か?」


そして少年は一度頭を下げると、
台の上で倒立をはじめた。


そのまま一回転し、
片手を離したり一瞬両手を離したりと様々な技を見せつけた。


「すごい・・・!!」


ムジカは目を輝かせながら少年の前に座る。


すると少年はますます気をよくして
さらにすごい技を見せつけた。


「へぇ。あんな小さいのに大変だねぇ。仕方ねぇからちょてだけ小遣いやるか。」


「・・・・・・・・・」


「あれ、リオナ?」


すると突然
リオナは立ち上がり、
少年の元へ近づいた。


「・・・・君・・・両親は?」


少年はビクッとして、
顔を縦に小さくふる。


「このこと・・・お父さんやお母さんは知ってるの?」


少年はためらいながら、
首を横に振った。


「じゃあダメだ・・・・こんなことしたら・・・」


リオナは腰を下げ、
少年と目線をあわせる。


「きっと・・・君の両親はこんなことを望んでない・・・いくら貧乏でも・・・子供に金儲けなんかしてほしいなんて思っていないよ?」


少年は少しうつむきながら、
黙りこくる。


しかし思う節があったのか、
小さくうなづいた。


「・・・・・わかった」


少年は笑って、
リオナに手を振りながら走り去っていった。


「・・・・・・・はぁ」


「えらいなリオナ。俺今すごく感動した。」


「・・・私も・・・・・」


「リオナすごい・・・」


べつに・・・・すごいわけじゃない・・・・


「なんかさ・・・・・気づいたら勝手に動いてた・・・」





何でかな・・・・・すごい・・・・胸が痛くなったんだ・・・・










・・・・泣きたくなった・・・・・










すごく・・・・すごく・・・・・








・・・・記憶はないのに・・・・・・











心だけが・・・・苦しいんだ・・・・・



















翌朝


朝から宿屋は騒がしかった。


どうやら昨日起きた奴隷逃亡事件の男たち二人が動き出したらしい。


「なぁ見に行ってみようぜリオナ?」


「・・・俺はいい・・・・・・・ぅ・・・・」



き・・・きもちわる・・・・


よくシキが二日酔いで苦しんでいたが、
今はその気持ちがよくわかる。


そういわれると、
マーシャはなぜ二日酔いにならないのか。


まぁ知りたくもないけど・・・


「えー。行こーぜ?なんか情報があるかもしんないじゃん。」


確かに・・・・・


もしかしたら何かしらフェイターに関係しているかもしれない。


「・・・・・・・・・一時間だけなら」


「よっしゃ。二人はどうする?」


マーシャはルナとムジカに目をやる。


「・・・・私は残る・・・・・・・」


「じゃあ私も。」


《ルナが残るならオイラも残るー!!》


「・・・・B.B.はついてきてよ」


《えー!?何でだよ!》


「・・・だってもし何かあったら俺悪魔なしじゃん。」


化神とは生身では戦えない。
ましてやフェイターがでたら・・・


《じゃあムジカつれてきゃいいじゃーん!そしたらオイラもルナと二人っきりだしぃ!》


・・・・このエロバカウサギめ・・・・・


「・・・でもムジカは翼を隠さなきゃいけないから可哀想だろう・・」


《はいでたぁムジカびいき!》


「お・・・・・お前・・・・」
「待て待てリオナ!ケンカはだーめ。」
「・・・マーシャはB.B.の肩もつ気?」
「俺は自分に不利益なことがイヤなだけだ。」
「・・・・・・・・」


・・・だいたいマーシャのせいでこんなことに・・・


「あーもー・・・いいよ。その代わり敵がでたらマーシャが全力で俺優先に守ってね。」


「あったぼーよ。てかお前まだ絶対酒のこってんだろ。」
「ほっといてくれ・・・」



そういってリオナとマーシャは事件現場のターミナルに向かった。


空は昨日と変わらず灰色。


空気もひんやりとしていて
リオナはマフラーに顔を埋める。


「さーむいなぁ。」


「・・・・で、本当の目的は?」


「あはは。やっぱりばれてたか。」


「・・・当たり前だ。マーシャが自分から情報収集するはずがないだろ。」


「ご名答。いやぁさ、少し気になることがあって。」


「・・・・気になること?」


「男たち二人が固まってたって話だよ。だっておかしいと思わないか?こんな長い時間固まってるなんてさ。魔族ではないんだろ?」


「恐らく・・・・たとえそんな魔術があったとしても一日も固めておけるほどの魔力の持ち主はいないはずだ」


「だよな。だから気になってんだよ。どんなやつかなってさ。もしそれが敵だったら・・」


「・・・・面倒なことになるね。」


そんな能力を持つ者を敵に回したら・・・・・・

確実に殺されるだろう。


「だろ?さぁて、一仕事するぜリオナ。」


「ああ。」



二人が路地の角を曲がると、
ターミナルが目に入った。


しかしそこには思った以上に人が集まり、
中央が見えない。


考えることは皆同じ。


だれもが謎の力に興味を抱いているのだろう。


リオナとマーシャは近くまでいってみる。


すると中央から声が聞こえてきた。


『お・・・俺たちは何もしらねぇ!!』


『ただ茶髪のガキの目みてよ、気がついたらこの有り様だ!!!』


『そうだ!俺たちにとっちゃ一瞬でガキどもが消えて一瞬でこの人混みだ!!』


『あれから一日たってるなんて・・・信じらんねぇ・・!!』



・・・どういうことだ・・・?


固まっていたことを知らないのか・・・・・?


一日たっていることさえ気づかないなんて・・・・・


「ってことは、ガキの目をみたら一日たってて・・・結局アイツらだけの"時"が止まってたって事だ。」


「時・・・・まさか・・・」


「ああ・・・・時天大帝国の生き残りがいるってことだ。」


時天大帝国・・・・


時を操る能力者が集まる国


しかし十数年前にフェイターの手で壊滅を迎え、
生き残りはいないはずだ。


でももし生き残りがいるとしたら、
世界的な大ニュースであり、
フェイターも黙ってはいないだろう。


するとマーシャは人をかき分けていき、
男たち二人に近づいた。


「おい、そのガキはどんな奴だった?」


『た・・・たしか茶髪のくせっ毛の・・・・・顔にそばかすがあった・・・!』


『あと目がグリーンで・・・・男でまだ幼い!!』


・・・・茶髪で・・・・くせっ毛・・・・



リオナはハッとした。


¨・・・・悪魔・・・だ・・・¨


少年の言葉が頭の中で木霊する。


「リオナ?どうした」


「・・・行こうマーシャ・・・」


「え?あっちょっとリオナ?」


リオナはマーシャの手を引きながら
現場から離れた路地に入った。


「どうしたんだよリオナ。なになに、俺とラブラブしたくなった?」


「・・・違うって。さっき言ってた子供・・・昨日ムジカを見て"悪魔"って言ったんだ・・・」


「ぇえ?でもムジカは翼を隠してただろう。」


「もしかしたら瞳でわかったのかも・・・・」


「まさか・・・まだガキだろ?」


「でもムジカのことすごい睨んでた・・・」


「・・・気になるな。そいつがもし時天大帝国の生き残りの上、"悪魔狩り"だったらマズい。とにかく早く見つけないと。」


「・・・そうだな。」


そういって
リオナとマーシャは路地を駆け抜けた。







しかしその様子をうかがう
怪しい二つの影があった。


一人は長身で真っ赤なコートを羽織っている男。


「ほう・・・アイツ等か?悪魔は。」


「・・・・・・・・・・・・」


話しかけられたまだ幼い茶髪の少年
クロノスロードは、
返事の代わりに小さくうなずいた。


「そうか・・・ではわたしはこれからアイツらを殲滅しに行く。お前はアイツらの連れを探せ。」


「・・・・・・・・」


そう言い残し、
男は赤いコートをなびかせ、
路地をかけていった。


「・・・・・・・・・」


クロノスロードは空を見上げ、
まるでひとつの雲を追うようにスタスタと歩いていった。















「・・・・・・・リオナ」


「・・ああ。1人誰かついてきてる。」


「・・・まくぞ。」


二人は走るスピードを速め、
道の入り組んだ路地に入る。

が、相手も手ごわく、
スピードを落とす様子はない。


「マーシャ・・・・きりがない・・」


「俺たちについてこれるったぁ・・・ただもんじゃねぇな。」


「・・・広場にでよう。あそこでなら始末できる。」


「わかった。」


二人は作戦を変え、
路地を抜けて昨夜の広場にでる。


やはり昼間でもこの広場は誰もいないようだ。


「さぁて・・・何のようかな?」


『気づいていたとは・・・なかなかだな。さては私の美貌が目立ってしまったか・・・・』


二人の前に、
真っ赤なコートがなびく。


「・・・・・・・・・・ねぇマーシャ・・・」
「なんだ?」
「・・・・殴っていいかな。」
「よし思いっきりいってみよう。」


『ちょ・・・ちょっと待ちたまえ君たち!!!なぜ私を殴ると!?君たちを殴る理由はあっても殴られる理由はないぞ!?』


全く・・・・面倒なやつに捕まってしまった・・・


リオナとマーシャは深くため息をついた。


「でさ・・・・お前・・・・"悪魔狩り"か・・・?」


『ほう・・・・ダークホームも甘く見ちゃいけないようだな・・・』


男は髪をかきあげ、
そのままサラッとなびかせる。


本当に一つ一つの動作がうざい。


「あいにく俺たちはダークホームの人間じゃないんだけど。」


マーシャの言葉に男の眉がぴくっと動く。


『どういうことだ・・・・?まさか脱走したのか?』


「まぁそんなとこ。でもなんで俺たちが悪魔だと?」


『ポイント3056からの情報だ。』


「ポイント3056・・・・?」


『貴様等には関係のない話だが・・・・まぁいいだろう。元カントリーカウンティーがあった地点だ。』


「まさかあのジジイ・・・!!アイツが悪魔狩りだったとはな」


『雑談はここまでだ。これから神のご意志・・・・いや私を侮辱した罪により、貴様等を殲滅する!』


すると男は背中から長剣を取り出した。


「リオナ下がってな。」


マーシャは悪魔を引き出し、
ナイフを男と同様長剣に変えた。


キィイィィィィン・・・!!!


刀と刀がぶつかり合う。


一旦距離を置き、
近づいては刀をぶつけ合う。


『ほう・・・・貴様なかなかやるな・・・・今までの奴らとは比べもんにならない!』


「ありがたいね。でも仲間をくず扱いされちゃあ黙っちゃいないぜ?」


『・・仲間を裏切った貴様に言われたくない・・・』


「裏切ったとは失礼なやつだ」


『ところでお前、私のものにならないか?』


「・・・んな!?」


マーシャは突然の気色悪い告白に思わずバランスを崩す。


しかし間一髪で男の長剣をよけた。


「て・・・てめぇ気色悪いこと言うんじゃねぇぞ・・・」


「ほう、それは"YES"ととらえてよろしいのか?』


「ちげぇよ変態!」


マーシャには言われたくない。
とリオナは内心つぶやいた。


「俺を・・・甘く見るなよ」


するとマーシャは強く地面を蹴り上げると、
刀を鎌に変化させ、
男の頭上から切り込もうとする。


しかし


『甘い・・・!』


「・・・・!?」


ドス・・・!!


男の長剣はマーシャの胸を貫く。


胸を貫かれたマーシャは、
鎌を落とし、
体をぐったりさせた。


『ははっ・・・くははは!!黙って私のモノになっていればよかったものを!!』


男は笑いながらマーシャの顎をつかむ。



「残念だな・・・・貴様とはもっと・・・」
『やり合いたかったなぁ。』
「・・・・な!?ぐぁ・・・!!」


男の前には刺されたマーシャ、
しかし男の後ろにもマーシャ。その右手に握られた刀は男の胸を貫いている。


後ろのマーシャはニヤッと笑いながら男の胸から長剣を引き抜いた。


その瞬間に男に刺されたマーシャはボンと音を立て姿を消した。


『・・・・ぐ・・・・・!!き・・・さま・・・!!』


「"ダミーシャドウ"。今のはお前が大っ嫌いな悪魔が見せた幻・覚・だ。」


『くっ・・・!!』


男はマーシャの足元に力なく倒れ込む。


「さぁて、もしお前が"悪魔狩り"をやめるんなら殺さず見逃してやる。」


情けは人のためならず


柄にもなくマーシャは情けを掛ける。


しかし男の意志は
リオナたちが思う以上のものであった。


『ははっ・・・・・私は神の使命を守れなかった・・・・こんな命など・・・あってないようなものだ・・・』


すると男は長剣の刃を自分の腹に向ける。


「ちょっ・・・まて・・!」


しかしマーシャの呼びかけもむなしく、
男は思いっきり腹を貫いた。


「バカが・・・!!!」


『・・・悪魔に・・言われ・・・・たくな・・・・い・・・・・・・』


男は空に手を伸ばし、
何かをつかむように手を動かす。


『・・かみ・・・は・・・・悪魔・・・を・・・必ず・・・滅ぼす・・・!!!そして貴様等も・・・・』


そう言い残し、男は力なく腕を落とした。





「・・・・・・・神・・・・ねぇ。」


「・・・・・」


「なぁリオナ。」


「・・・・・?」


「お前は・・・・どっち派?神派?悪魔派?」


「悪魔と契約してる俺に聞くなよ・・・」


「ははっ・・・だよな。」


マーシャは男を物陰に座らせ、
男の腹にあいた傷口に手を当てる。


まるで男の死を悔やむように。


「そーゆーマーシャは・・・?」


「・・・俺?そうだなぁ・・・」


マーシャは立ち上がり、
曇天の空を仰ぐ。


「・・・・自分派だ。」
「はいはい。」


俺はマーシャ派かも・・・・心の隅で少しだけ・・・ほんの少しだけそう思った。


「って待てよ・・・・今度はムジカが危ないんじゃないか?」


「・・・・・確かに・・・」


「ガキの捜索は後だ。いったん戻るぞ。」


リオナとマーシャは宿屋に向けて駆けていった。














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あきゅろす。
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