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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
story51 運命の再会



悪魔狩り本部 一階


『大変だ!!侵入者だ!!!確実にしとめろ!!!』


地下の扉から飛び出し
一気に玄関ホールにでてきたリオナに、
悪魔狩りのひとりが叫ぶ。


玄関ホールはすでに悪魔狩りメンバーであふれかえり
それぞれがリオナに武器を向けた。


『止まれ少年!!!』


しかしリオナは表情を変えることはない。


そして右手に何枚ものトランプをもつと
走り出すのと同時に
一気にトランプを飛ばし敵を切り裂いていった。


『・・・!?魔族か!?』


『まさか悪魔じゃないだろうな!!・・・・ぅあ!!』


『ぐぁぁ・・!!』


リオナは大勢の敵をなぎ倒していく。


しかし
左手がないことで
戦いの流れをうまくつかめずにいた。


しかもB.B.がいないためにトランプをトランスさせることもできない。


・・・クソ!・・・せめてB.B.がいれば・・・


敵はリオナの隙をついては攻め立てる。


しかしリオナも劣らずにトランプをとばしまくる。


そして最後のひとりになると
そいつの首をつかみ
自分の顔に近づけた。


「・・・・ヘッドはどこだ」


『ひっ・・・・!!』


男は半泣きでリオナを見る。


「どこだってきいてんだよ・・」


『に・・・二階の奥ですっ!!』


そう聞くと
リオナは男を投げ捨て
さっさと二階へ駆け上がった。


「・・・・・」


・・・ヘッド・・・・



誰だかしらないけど・・・・



ムジカを傷つけたことは絶対許さない・・・

















『ヘッド!!大変です!!』


ノックもなしに部屋に入ってきた男は
慌てて体制を整え直す。


「何事ですか?」


『し・・侵入者です!!』


「!?」


ヘッドは驚きながらも
冷静な姿勢を保つ。


「人数は・・?」


『今のところひとりです!!』


「メンバーたちは?」


『ほぼ総出でかかっていますが・・・』


「悪魔なの?」


『い・・・いえ!悪魔の気配は感じられませんでしたが・・・魔族のようで・・』


「魔族・・・!?」


・・私と・・同じ魔族・・・・・・・


ヘッドは手に汗を握る。


そして壁に掛かった巨大な矛を手に取り
コートを羽織って戦闘態勢を整えた。


「さぁ・・・行きましょう。」


『ヘッド!?なにを言ってるんですか!!ヘッドはここに止まって・・・ぐぁ!!』


「!?」


突然目の前にいた男が悲鳴を上げて倒れ込んだ。


一体なにが起こったのか・・


すると自分の目の前をものすごいスピードでトランプが駆け巡った。


「・・誰!!!」


「・・・あんたがヘッドか。」


ヘッドは声のする方に顔を向ける。


そこには銀色の髪を真っ赤な血に染めた少年が一人いた。


「・・・・!!!!・・・ウソ・・・・」


ヘッドは目の前に立つ少年を見て
驚きで目を丸くする。


・・・なんで・・・なんでここに・・・・


「・・リ・・オナ・・・・・?」


「!?」


突然見知らぬ女に名前を呼ばれ
リオナは戸惑いながらトランプを構えた。


ヘッドの顔をじっと見る。


・・誰だ・・・・・・・?


しかし何度考えても思い出せない。


「・・・なぜ俺の名前を知っている」


「・・・!?覚えてないの!?私よ・・・サラよ!!」


「・・サラ・・?」


「ほら・・!昔よく遊んだじゃない!ウィキと・・リオナと・・三人で!!」


「・・・ウィキ?」


・・・ウィキって・・・俺の兄弟の・・・?


「・・・・・・・・・・悪い・・・記憶がないんだ・・・。」


「うそ・・・・・」


その言葉にサラは力なく床にひざを付けた。


リオナはまさかの展開に
どうすればよいかわからず
とりあえず武器をおろした。


するとサラは少し涙ぐみながら
顔を上げ
リオナを見つめた。


「・・・私ね・・・・あの事件からね・・・ずっとあなたたちを探し続けた・・・リオナと・・ウィキを・・・」


「・・・・・」


「きっとどこかで生きてるって信じてた・・・・リオナ・・・」


サラは立ち上がり
迷わずリオナを抱きしめた。


「・・・!」


「・・・・・・会いたかった・・・リオナ・・・・・」


「・・・・!?」


体が硬直してしまう。


まさか敵である悪魔狩りのトップが自分の知り合いだなんて・・・


・・・でも・・・コイツは・・・



・・・ムジカを傷つけたんだ・・・



「・・・離せ・・!!!」


「!?」


リオナは力強くサラを押しのけ、
再びトランプを構える。


「お前なんて知らない・・!!それに俺はお前を倒しに来たんだ!!」


「・・ぇ・・・・!!」


「なんで悪魔を傷つけるんだ・・・!!」


「・・リオナ・・!」


サラは目から涙を流しながら
後ずさり
ゆっくりと首を振る。


「・・・もしかして・・・リオナは・・・」


「・・・・・」


するとリオナは黙って腕の袖をめくり始めた。


そしてそこから現れたのはダークホームの紋章だった。


「・・・・俺はアンタが嫌う悪魔だ・・。」


サラは手で口を押さえ
驚きで今にも倒れそうだった。


「・・・・なん・・で・・・リオナ・・・なんで・・・」


そのまま床に座り込む。


しばらくサラは泣き続けた。


親友だった・・・弟の用にかわいがってきたリオナが・・・


まさか自分の敵だなんて・・・


「・・・どうして・・・・・・」


「・・・・・・・」


「どうして悪魔なんかになっちゃったのよ!!!悪魔は私たちの国を・・家族を殺したのよ!?なのになんでアナタは悪魔に身を売ったのよぉ・・!!!!」


サラはリオナの膝をつかみ
揺さぶる。


「・・・・悪魔は国を滅ぼしてなんかいない・・・・・!!」


「いいえ!!私見たもの!!!一人の悪魔が私の両親を殺す瞬間を・・!!!!黒々しい煙を吐き出しながら・・!!!!」


「!?で・・・・でも・・・」


「あの夜・・光妖大帝国の奴らの中に・・ひとりだけ悪魔が混ざってたのよ!!!私は運良く逃げ切ったわ・・!だけど悪魔は他の人々を殺していった・・!!!」


サラは睨みあげるようにリオナを責め立てる。


「・・・・でもダークホームの悪魔たちは何もしてない!!たとえ悪魔が手を貸してたとしてもダークホームは関係ない!」


「ダークホームも一緒よ!!下劣な悪魔なんかとつるんで!!」
「下劣だなんて言うな・・!!!!」


バシッ・・!!!


リオナは思わずない無い左手でサラの頬をひっぱたいてしまった。


しかもその衝撃で左手は痛み、
リオナも床に座り込む。


「リオナ・・・!!その左手どうしたのよ・・!!」


サラは驚き
とっさに掴もうとする。


「さわるな・・!!」


「・・・!!」


しかしリオナは再びサラを振り払い
一歩後ろへ下がった。


「・・俺はお前を許さない・・!ムジカを傷つけたことを後悔させてやる・・・・!!!」


「リオナ・・・」


リオナは立ち上がり
トランプを構えようとする。


しかし大量出血のために体がふらつき
地面に倒れてしまった。


「リオナ!!」


サラは急いでリオナに駆け寄り
自分のコートをかけてやった。


「・・や・・めろよ・・」


「うるさい!黙ってて・・!!」


サラは泣きながらリオナの手当をし出す。


「なんでよ・・なんでわかってくれないのよ・・!!私はただ・・・・リオナたちを助けたかっただけなのに・・・!!!」


「・・・・・・」


泣きじゃくるサラの姿を見て
リオナの胸が急に痛み出す。


なんでだよ・・・


コイツは敵だ・・・・


ムジカを傷つけたんだぞ・・・



迷うな・・・



動け・・・



・・・・・・・・・・・・




リオナは武器を持ち直す。


そして
思いっきり切り裂こうとした。


「・・・・・!!!・・・・・・・・ダメだ・・・」


しかしリオナはすぐに武器をおろした。


「・・・・・俺には・・・無理だよ・・・・」


そして無意識にサラの背中に腕を回し
力を込めてギュッと抱きしめた。


「・・リオ・・・ナ・・・・・・?」


なぜかリオナの目からも涙があふれ
止まらない。


なぜだろう・・・・



なぜ・・・こんなにもなつかしいのだろうか・・・











"コラ!また二人で悪ふざけして!"





"ほら、これは私からの誕生日プレゼントっ"







"リオナらしくないわね・・・元気だしなさい!"








"私・・・時々思うの・・・・お金持ちだったらなぁって・・・"









"リオナ!ウィキ!また明日ね!"








・・・そうだ・・・・思い出した・・・


・・・・サラだ・・・


誰よりも強くて・・・それでもやっぱり女の子で・・・・・


花を育てるのが上手で・・・・


・・・いつも俺たちの面倒を見てくれてた・・・


「サラ・・・・」


「・・リオナ・・・・・?」


「サラ・・・ごめんサラ・・・」


リオナはサラの存在を確かめるように
さらに力強く抱きつき
何度も何度も名前を呼ぶ。


「生きてて・・よかった・・・・本当に・・・・よかった・・・」


「・・・・・・思い出したの?」


「・・・・わからないけど」


「・・・リオナ・・・」


サラとリオナは静かに抱き合う。


「・・・・・・・みんな・・・死んでたと思ってた・・・」


「わたしもよ・・・・・」


「よかった・・・・・・・」



しばらくたつと
二人は今の状況を思い出し
少し気まずそうに体を離した。


「でも・・・リオナはなぜダークホームに・・?」


サラからの質問に
リオナは少し困ったが
正直に話そうと思った。


「あの事件の日・・・俺は悪魔に助けられたんだ・・・」


「・・・・・!?」


「その人は魔族出身で大魔帝国の壊滅を防ぐために来てたんだ・・・でもやっぱり防ぎきれなくて・・・・そこでその人は俺を救ってくれたんだ・・・だから俺はその人みたいになりたいと思って悪魔と契約した・・・」


「・・そう・・だったの・・・・」


「・・さっきサラが傷つけた悪魔も俺の契約した悪魔だ。でもただの悪魔じゃない・・・俺の大切な人なんだ・・・・」


「・・・・・・」


「・・・なぁサラ・・・」


「・・・・?」


リオナは目の前にいるサラの手をぎゅっと握った。


「・・・確かにフェイターに身を売ってる悪魔がいるかもしれない。でも全部の悪魔がそういうわけじゃないんだ。みんな神が再び復活しないように必死に戦ってるんだ・・・だから・・・・」


思いをゆっくり吐き出していく。


すぐにではなくていい・・・



ただいつか・・・わかって欲しいから・・・




「悪魔狩りなんてやめてくれ・・・・」


「・・・・・!」


その言葉にサラは動揺する。



「・・・俺たちもフェイターと組んでる悪魔を見つけだすって約束する・・・だからサラはもう悪魔を傷つけないで欲しい」


「・・・・」


リオナは思いを込めて頭を下げる。


そんなリオナを見て
サラは戸惑うように目を下げた。


「・・・リオナは変わったね・・・」


「え・・・・」


サラは小さく笑いながら
ゆっくりと立ち上がった。


「・・・・・昔は・・・ウィキのおもちゃみたいだったのにね・・・」


「・・・・・・・」


・・・・・オモチャ・・・・


その言葉は予想以上に胸に冷たく響いた。


「・・・ごめんねリオナ・・・」


「・・え・・・?」


「私は・・・無理よ・・・」


「・・・・・・」


「・・・だって・・・・十数年も恨んできた相手よ!?今更受け入れるなんて・・」
「わかってる・・」
「!?」


リオナも立ち上がり
サラの前に立つ。


「すぐにじゃなくていい。でも・・・次に悪魔を傷つけたら・・・俺は黙ってないから。」


「・・・・・でもリオ・・」
「・・・・・・・・シュゥゥゥゥゥウ・・・」


すると突然
異様な音が部屋に響きわたった。


リオナとサラは驚き
音のした入り口を振り向く。


そこから部屋に入ってきたのは
真っ赤な髪をなびかせ
鋭い爪をもった・・まるで悪魔のような女だった。


「・・・誰!!」


サラはすぐに矛を構え
その女につきだそうとした。


「・・・まってサラ!!」


「・・!?」


しかしリオナはサラを止め
自分の背中に押しやる。


「・・・リオナ!!」


「違う・・!!ちがうんだ・・!!この子は・・・・」


ゴクリとつばを飲み込み
じっと目を据える。


「・・・ムジカだ・・!」


「・・・!?うそ・・・!!」


・・目の前にいるのは絶対にムジカだ・・・


あの目は・・・ムジカだ・・・


でもどうして・・・


リオナはゆっくりとムジカに近寄る。


「・・・・グルルルル・・・・!」


ムジカは威嚇するようにリオナを睨みつけ
体制を整え始めた。


「ムジカ・・・俺だよ。リオナだ。どうしたん・・」
「・・ギィャァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!」
「!?!?」


ムジカは物凄い悲鳴を上げると同時に
体中から黒々しい煙を発しだした。


「・・・・ヤバい」


その黒々しい煙は
一気に屋敷全体に広がっていった。


ガラスというガラスを粉々にし
壁は剥がれ落ち
今にも崩れ落ちそうになった。


悪魔狩りのメンバー達は
勢いよく森へ逃げていき
そして屋敷内は容赦なく崩れだした。


「・・・・やめろムジカ!!!」


何度叫んでも声が届くことはない。


「リオナ・・あ!!」


サラも今にも吹き飛ばされそうになるが
リオナがさっと体をつかむ。


・・・どうする・・・どうやってムジカを・・・・!!


「リオナァ!!リオナァァ!!!」


するとムジカの後ろから
逆風に逆らうように影が二つ入ってきた。


「・・マーシャ!?」


そしてマーシャの横にはB.B.を抱えた男。


「・・・少年!!ヘッド!?」


「・・・・・ジーク=メイリン!!!!」


二人はリオナとサラの元までくると
リオナとサラを引っ張り
隣の部屋へ移動した。


「どう言うことだマーシャ・・・?」


「ムジカが覚醒した」


「・・・!?まさか・・」


「ああそのまさかだ!アルティメイト・プロジェクトが発動したんだ!急いで抑えないといけねぇと国がぶっ飛ぶぞ!!」


「でもどうやって・・・!!」


するとマーシャは
さりげなく後ろで巨大な鎌をギラつかせる。


「・・!!ダメだ・・!!そんなことしたらムジカが死ぬだろう!!」


「じゃあどうす・・」
「喧嘩はやめて!」


するとサラが突然立ち上がり
リオナとマーシャの間に入った。


「サラ!?」


「おいおいリオナ・・お前いつの間にコイツと仲良くなったんだよ。」


「・・違う。サラは俺の幼なじみだ・・。」


「な・・何だと!?」


マーシャは目を丸くしながらサラをまじまじと見た。


「・・それよりムジカを何とかしなくちゃ・・」


このままじゃ・・・国ごと吹っ飛んで・・・


「・・・アルティメイト・プロジェクト・・・」


するとサラがぽつりと呟いた。


「・・・・たしかアルティメイト・プロジェクトは・・・対神用に作られた最終兵器・・・」


「サラ知ってるのか?」


「ええ・・・でも止めるには神に等しい力が必要になるはず・・・」


「な・・・そんなものがどこにあるというのだ!!」


ジークはもうダメだと力なく床に座り込む。


・・・神に等しい力・・・・か


リオナはじっと考え込む。


しかしリオナは気づいてしまった。


「・・・・マーシャ!!」


リオナにいきなりつかみかかられ
マーシャは思わずしりもちをついた。


「・・・おわ!!なんだよ!!」


「・・・・ローズソウルだよ!!!」


「・・・・・!!そうか!!」


ローズソウルなら神と等しい力があるはず・・!


リオナはポケットからローズソウルを取り出し
そっと手のひらに転がす。


それを見てサラは驚きで口を押さえた。


「・・・なんでリオナが!?」


「・・いろいろあって・・・・」


とにかく今は説明している暇はない。


リオナは意を決し
凶暴な風が吹き荒れる嵐の中につっこもうとした。


「・・グッ・・・!!」


しかし不運なことに
左腕が再び痛み出す。


「ムチャだリオナ!」


「でも・・!!」


ムジカを・・・とめなきゃ・・・!!


「・・私が行こう。」


「・・・!?」


そう言って立ち上がったのはジークだった。


「変態・・・!?でも・・・」


「変態言うな少年!!私はただの同性愛者だと言っとろうが!!!」


するとジークはリオナからローズソウルを奪い取り
ムジカのいる隣の部屋の前にたった。


「これで借りは無しだ!」


そう言ってジークは吹き荒れる黒々しい風の中に足を踏み入れた。


ジークは肌が切れるのを感じながらも恐れずに前に進んだ。


するとようやく目の前にムジカの姿が見えた。


「少女・・・悪く思うなよ・・・」


そうしてジークは足を踏ん張り
ムジカに向けて
思いっきりローズソウルを投げつけた。



「・・・・・・グッゥァァァァァァァ!!!」


ローズソウルは見事ムジカに当たり
赤い光を放ち始める。


ムジカの黒い光と混ざり合い
吹き荒れていた風もだんだんと収まりつつあった。


そしてローズソウルは
ムジカの体内に入ってしまったが
ムジカは元のムジカに戻った。


しかしその衝動でかムジカは床に倒れ込み
びくとも動かない。


「・・・ムジカ!!」


リオナは腕を押さえながらも
ムジカに駆け寄り抱きしめる。


耳をムジカの口に当て
呼吸をしているか確かめる。


「よかった・・・生きてる・・・・」


リオナは安堵のため息をつくと
ムジカを抱えたまま気を失ってしまった。


左手からの出血がひどい。


マーシャは急いで服をちぎり、
リオナの腕に巻きつけた。


「ったく、無理しやがって・・・・」


内心、叫びたかった。


リオナが傷ついた。


守れなかった・・・・


自分に腹が立つ。


しかし今はそんなことも言ってられない。


マーシャは床に座ったままのサラとジークに目を向けた。


「さて・・・俺たちはガキ三人とコイツらをつれて帰らせてもらう。まさかもう戦わないだろ?」


マーシャがサラに同意を求めると
その言葉にサラも素直に首を縦に振った。


「・・・ええ。建物も粉々になってしまったし・・・・。子供達は奥の部屋にいるわ。」


「助かる。で、お前等これからどうするわけ?仲間にも逃げられたし。」


マーシャの鋭い言及に
サラとジークは顔を見合わせる。


「そうだな・・・私はここに残ってやっても・・」
「ジーク=メイリン。」
「・・・なんだ?」


するとサラはいつもの強気を取り戻し
ジークの前に立つ。


「あなたはこの2人を運ぶのを手伝いなさい。」


「は?」


「マーシャ=ロゼッティだけで二人を運ぶのは無理でしょう。手伝って差し上げなさい。」


「しかし貴様・・・悪魔に手を貸しても・・」


するとサラはビシッと指を突き出し
ジークの体をどんと押す。


「言っておくけど私はまだ悪魔を許した訳じゃないわ。だからまた組織を結成する。」


その言葉にマーシャは思わず顔をしかめた。


しかしサラは言葉を続けた。


「ただ今度は・・・本当の敵を見極めてからにするわ・・・」


そしてリオナを見てにこっと笑う。


「そうリオナに伝えてもらえるかしら?」


マーシャはやれやれと肩をあげながらも
笑いながらサラに親指を立てる。


「了解」


そしてサラはボロボロになった机から
一枚の写真を取り出し
それをマーシャに手渡した。


それはリオナとサラとウィキの三人の写真だった。


「リオナはまだウィキのことを思い出してはいないみたいね・・・。だからその写真はあなたに預ける。リオナに必要になったときに渡してあげて・・・」


「ウィキ・・・か。」


「・・・?あなたウィキを知ってるの?」


サラは少し驚きながらマーシャを見る。


「まぁな・・・二度目に見たときはリオナの腕の中で・・・死んでたけどな。」


「・・・!?ウィキは・・・死んだの!?」


サラは声を震わせる。


「悪い・・知らなかったのか?」


「ええ・・・」


「恐らく生き残ったのはあんたとリオナだけだ。後はみんなフェイターに・・」


「・・・・フェイター・・・」


サラはしばらく同様を見せたが
すぐにいつものように強気な姿勢に戻った。


「・・・とにかく、リオナはお願いしました。」


「ああ。」


「では・・・またいつか。」


そう言ってサラは名残惜しそうにリオナを見て
そのまま屋敷を後にした。



「まったく。どいつもこいつも素直じゃないねぇ。」


「・・貴様も十分ひねくれてるぞ。」


「ぁあ?んなことねぇよ。ほれさっさとかえっぞ。」


そう言ってマーシャたちも屋敷をあとにした。
















リオナ・・・・・





私にはね・・・夢があるの





一つ目はママやパパのような花屋を開くこと




二つ目はかわいい洋服を買っておしゃれすること



三つ目はね・・・・



これ夢って言うのかな…



・・・三つ目はまた三人で遊ぶこと・・・



昔みたいに・・汚いゴミの山の上で・・・







笑いたい・・・・







笑いたいよ・・・・・・













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