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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
story48 憎しみの薔薇



翌日、
リオナ達はルナとクロードを残し、朝早くに発った。


そして現場となるUW西部フラットタウンに到着したのは午後を回ってから。


まず目に付いたのは
かわいらしい煉瓦の家々。


リオナの予想ではビルだらけかあるいはとことん貧困かだった。


「なんかのどかだね。」


ムジカは楽しそうに町を見渡している。


「懐かしいなぁ。俺も昔こーゆー感じの町に住んでたんだ。」


「・・へぇ。そうなんだ。」


・・・そういえば・・・マーシャの過去って聞いたこと無かったな・・。


リオナはほんの少しだが
マーシャの事を知れて嬉しくなった。


「リオナはなーにニヤニヤしてるのかなぁ?」


「べ・・・・別に。ニヤニヤしてないし・・!!」


「あは。かーわいー。」


「・・・・。」



町をどんどん進んでいくと
そこには小さな広場があった。


子供たちは何やらおいかけっこをしているようだ。


すると一人の子供が走るのをやめ
リオナの前にやってきた。


『あ!お兄ちゃんたち何でも屋さん?』


「・・どうして君が?」


『だって町中の噂だもん。それにこの町に人が来るのは珍しいんだよ。』


「・・・そうなの?」


『だって森の悪魔に食べられちゃうんだ。だからみんな近づかない。』


そう言ってまた走り去っていった。


「本当に悪魔がいるのかな・・・」


《そんなのいたら大変だよ》


「なんで・・?」


《だってそしたらオイラ達以外にも裏切った悪魔がいるってことじゃん?それにそうなるとサタンが黙ってないよ。》


「・・・ってことはサタンは今俺たちにご立腹ってことか。」


《そうとも言うのだぁ!!はっはっはぁ!!》


まぁ・・・今更だけど。


なんだか急にだるさを感じた。


すると横でマーシャが何やら
キョロキョロとしていた。


「マーシャ?」


「なぁムジカは?」


「!?」


そう言えばさっきから姿が見えない。


急いであたりを見渡すが
周りにムジカがいるようには見えない。


「・・いつからいなかった?」


「入り口までは一緒だったよな!?」


《あっ!!ムジカのマフラー!!》


「・・・!?」


リオナは町の入り口に落ちていたマフラーを拾い上げる。


「・・なんか、ダイニングメッセージみたいだな。」


「だったらベタすぎる。」


呑気にマフラーについて討論していたが
そんなことをしている場合じゃない。


「とにかくムジカを探さなきゃ」
「その必要はない。」
「・・・!?」


どこからか知らない声が聞こえ
リオナ達はあたりを見渡した。


「・・・誰だ!?」


「クハハハ・・・忘れたか?この美しき私を!」


そして後ろに突然気配を感じ
リオナ達はバッと振り返った。


そこにいたのは赤いコートを羽織った
ターミナル103で戦った悪魔狩りの男、ジークだった。


「あ。お前生きてたのか。」


「・・・なんだよ。あの時の変態か。」


《何々!?変態って!》


「・・・・目の前にいるアイツだよ」


ジークに対し
リオナ達は危機感も感じず
逆に緊張感を無くした。


あまりの態度に
ジークは怒りで肩をふるわせた。


「き・・・貴様ら・・・!!私は変態なんかではない!!ただの同性愛者だ!!」


「なんでたろう・・・アンタが言うとただの変態にしか思えない。」


リオナは呆れて
ムジカを探しにその場を離れようとする。


「待たんか少年!!」


「・・・なんだよ。」


「ムジカという少女の安否が気にならないか?」


「だから今から探しに・・・・ってまさかあんた・・・!!」


「そう焦るな少年。ムジカは無事だ。」


「なら早くムジカを返せよ。」


マーシャは殺気を出しながら
ジークに近づく。


「ほう。やはり私好みだ。」
「うるせぇ変態。ムジカはどこだよ。」


ジークは顔をひきつらせながらも
すぐに自分のペースを取り戻す。


「ムジカなら我々の屋敷に招待させていただいた。まぁすこし手荒だったが。」


「・・屋敷って・・・・やっぱり森の悪魔って"悪魔狩り"のことだったのか・・!!」


「少年・・今更気づいても遅い。」


ジークは腰から剣を引き抜くと
目の前のマーシャに突き出す。


「もし少女の命が欲しければ私と戦え!!」




しかしマーシャは動じる様子はない。


「は?何でだよ。お前は俺の中ではすでに死んだ男だ。」


「ではなぜ私を救った!!」


剣先がマーシャの胸に触れるが
マーシャは表情一つ変えない。


「べつに意味はない。ただあんな所に死体が転がってたら俺たちが怪しまれるだけだからな。」


「ほう・・よく言う。なら今この場で貴様を後悔させてやる!!私を助けたことをな!!」


ジークは剣を一度引き
持ち直して構える。


「"ブラックローズ"!!」


「!?」


ジークの剣が見る見る黒くなり
剣を振りかざした瞬間に
剣先から黒々しいトゲのある蔦がマーシャめがけて飛んでいく。


「やば・・・」


「・・マーシャ!!」


リオナはとっさにトランプでツタを切り裂いた。


「あーびっくりした。」
「・・マーシャ!!もっと焦って!」
「はいはい。」


マーシャも大量のナイフを取り出し
次々に伸びてくる蔦を切り裂いていく。


が、ジークが剣を振るう度に蔦が伸び
量もだんだん増してくる。


「・・・あぁキリがな・・・っうぁ!!」


さっき切り裂いた蔦が
まるで生き返ったかのように蠢きだし、
リオナの足に絡まった。


「リオナ!ああクソ!!何なんだよこの蔦は!」


《リオナ!オイラが噛み切る!》


B.B.は一旦リオナから抜け出し
リオナの足に絡まる蔦に噛みつく。


しかし蔦は足から体全体にからみつき、
リオナは身動き不可能となってしまった。


「・・B.B.無理だ」
《じゃあどうすんのさ!!》
「・・・・・」


・・・どうするか・・・


・・今あの変態はマーシャをとらえるのに夢中になってる。


その間になんとかアイツから剣を奪えれば・・・


「・・B.B.一旦戻れ。」
《え!?でも》
「いいから」
《・・・》

B.B.は仕方なくリオナの中に戻る。


しかしリオナの体に食い込むトゲの痛みがB.B.にも伝わり
苦痛の声を上げた。


《痛い・・・》
「・・・・俺も痛いよ。でもちょっとの辛抱だ・・・」


するとリオナはかろうじて動く指先を小さく動かす。


《・・なにしてんのさぁ。》
「・・・・まぁ見てろ。」


リオナは繰り返し繰り返し指先を動かす。


するとリオナの服の隙間から
トランプが数枚飛び出してきた。


「・・・よし。B.B.。力増幅させて」
《お・・おう》


トランプはリオナの指先の動きに合わせるように飛び回る。
そしてピタッと動きを止めたかと思うと
黒々しい煙をはきながらジークめがけて飛んでいった。


「クハハハ!!マーシャ!!貴様も早く捕まらないか!!それとも私に・・・・グッ!!」


見事にトランプがジークの剣を掴む手に命中し、
その衝動でジークは手を離した。


すると今まで蠢いていた蔦も動きを止めて
リオナの体も解放された。


「ナイスリオナ」


マーシャはナイフを巨大な鎌に変え
ジークの剣を遠くにとばす。


そして思い切り振りかざした。


しかし間一髪でよけられる。


「・・クソ!これで終わるか!」
「・・後ろ危ないよ変態」
「・・!?・・・っつ!!」


気づけば後ろから何枚ものトランプがジークに向かってきた。


そして大量のトランプによって背中を思いっきり切り裂かれる。


「・・・クッ・・・・・・・・」


ジークは両膝を地面につけ
背中に焼き付く悪魔の力の痛みに顔をゆがめた。


「なん・・・・・・・だ・・・・?」


するとジークは背中に手を伸ばし
傷口から吹き出す血を手にする。


「・・・血・・・・だ・・・・」


ジークは顔を真っ青にさせ
唇を震わせている。


そんなジークをリオナとマーシャは怪訝そうに見つめた。


「何なんだあいつ?」
「・・終わりか?」


とりあえず取り押さえようと2人はジークに近寄る。


「リオナそっちもっ・・」
「私にさわるなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!」



リオナとマーシャは発狂しだすジークからとっさに離れた。


するとジークは眼をかっぴらき、
口元をひきつらせながら立ち上がった。


「・・・おまえらに・・・おまえら悪魔なんかに・・・わかるものかぁぁぁぁ!!!!!」
「!?ヤバい!!リオナ逃げ」
「"ブラッディーローズ"!!!!」


その瞬間
ジークの体から蔦が一気に伸びだし
勢いよくマーシャとリオナに絡みついた。


「・・・・ぅっ・・」
「・・・!!!!」


捉えられた二人は
いくら動いても蔦から逃れられず
むしろ絡まる一方だった。


そんな二人をみて
ジークは狂ったように笑い声をあげる。


「クハハハハハハ!!!!さぁ・・・どう痛めつけようか・・」


ジークは片腕をリオナに向けてのばす。


「まずはお前からだ・・・。"ローズナイフ"!」


すると突然バラの風が吹き荒れ
リオナ目掛けてバラの花びらがナイフのように飛んでいく。


しかしリオナのトランプに邪魔され
バラがはらはらと散っていった。


「ほう・・・貴様も魔族か。ならその口も封じねばならないか。」


そう言ってジークは再びリオナに向けて手を構える。


「おい変態!!お前の相手は俺だろ!?聞いてんのか変態!!リオナに手出したらタダじゃおかねぇ!!」


しかしマーシャの声はジークに届かない。


「・・・・」


リオナは一旦目をつむり
気持ちを落ち着かせる。


・・次はどうでるか・・・でもこの状態じゃ何もできない・・・


せめてマーシャを解放してやれれば・・・


「・・・。B.B.いっかい俺からでろ。」


まさかの発言にB.B.は思わず耳でリオナの頭をたたく。


《!?今度は出ろって!?この状況でか!?》
「・・・・時間がないんだ!」
《だってお前》
「・・いいから早く!!」
《あーもーわかったよ!!!!》

リオナに怒鳴られ
B.B.はイラつきながらも素早く抜ける。


するとリオナはすぐに何かを口ずさみ始めた。


「・・・・・ΩαβγΣΡνμλεπρρτιθηΦ・・・」


それと同時に
ジークの腕にバラの花びらがまとわりつき始める。


「クハハハハハハ・・・何を言ってるかわからんがそれも終わりだ!」


《あーリオナぁ!!!!!!なにしてんだよ!!!》
「リオナ・・!!」


マーシャは眉を引き寄せながら
いやな予感を走らせる。


しかし一足先に
ジークの手から
大量のバラの花びらがリオナに向かっていく。



「終わりだ少年!!」
「・・・束縛解除呪文"リミット"」

それと同時に
リオナは呪文を叫び
マーシャに向けて魔力を込めたトランプを飛ばした。。


そのトランプはマーシャに巻きつく蔦を燃やし
体を解放した。


「・・はぁ・・はぁ・・・リオナ助かっ・・・」
「・・・・・ン゙ン゙・・・・・・」


声にならない悲鳴を聞き、
マーシャはバッと顔を上げた。


「リオナ・・!!!」


リオナは口にバラの花を積められ
蔦で腹を貫かれていた。


「苦しめ少年・・・」


ジークは蔦をリオナの腹から思い切り引き抜く。


「・・・ン゙ー!!!!!ン゙ン゙ン゙ン゙!!!!!!!!!!」


リオナは叫び声をあげると、
あまりの痛みに気絶し、力なく首をうなだれた。


《あ・・リオナ・・!!》


・・・オイラ・・・リオナに逃がされたんだ・・・


B.B.は怒りに体をふるわせる。


《・・・この変態ヤロー!!!!!!!!!!!》


ジークに向けて一直線に飛んでいく。


しかし後ろからマーシャに掴まれ
リオナの方に飛ばされた。


「B.B.はリオナを蔦から離せ。」


マーシャは再びナイフを鎌に変え
瞳を赤くしジークを睨みあげる。


「コイツは俺が殺る。」


その瞳はいつになく殺気に満ち溢れている。


「ほう・・・やっとやる気がでたのか。」


「ホザいてる暇があるなら剣の一つでも持ったらどうだ!」


黒々しい光を放つ鎌を何度も振り回すと
ジークに向けて振り下ろした。


鎌からは黒い風が放たれ
地面を削りながらジークにつっこんでいく。


しかしジークも蔦を大量に出し、
一本の剣にしたてた。

そしてそれを振りかざし
真っ赤なバラの風を引き起こして対抗する。


お互いぶつかり合う力は増幅し
一歩も引くことはない。


「いい加減諦めたらどうだ・・!?」


「私があきらめるときは・・・貴様が死んだときだ!!!」


その途端、
増幅した力が膨れ上がり
一気に爆発を起こした。


マーシャとジークが放った黒い光と赤いバラが混ざり合う。


「・・・はぁ・・はぁ・・・」


「はぁ・・・・・・・ケホッ・・・・・」


2人は息を乱しながら互いをにらみ合う。


「・・なぜそこまでしてその少年をかばう!!!」
「そりゃ大切な相棒だからさ・・!」
「悪魔の分際で・・・!!!」
「じゃあ聞くが・・・お前は何で悪魔を嫌う?」


マーシャは口元をひきつらせながら
鎌を支えにその場にしゃがむ。


「・・・私は・・・」


するとジークは左手の赤いコートの裾をめくりだした。


「・・・・?」


そして裾の下から現れたのは
銀色をした義手だった。


「・・・これは私が子供の頃・・・悪魔から受けた傷だ!!」


「・・・・・・!?」


マーシャは驚きで目を丸くする。


しかしすぐに怪訝そうな表情を浮かべた。


「お前・・・もしかしてフラワーカウンティーの・・・ジークか・・?」


その言葉にジークは唖然とする。


「・・・!?貴様なぜ私の名を!?」


マーシャは少し悩むように頭をかくと
意を決して口を開いた。


「たぶん、お前にその傷を負わせたのは・・・・・俺の師匠だ。」


「・・・・!!!」


ジークは義手を掴む手に力を込める。


義手からはギリギリと爪がすれる音がする。


「・・なぜだ・・・なぜ私の弟を殺したんだ・・・!!!」


ジークは飛ばされた剣を掴むと
無我夢中にマーシャに切りかかった。


「弟は私の唯一の家族だったんだ!!!!まだ幼かったのに・・!!!!弟には夢もあったのに!!!!」


キィィン・・・・


剣と剣が交わる。


マーシャは強く押し倒すと
ジークは力なく地面に背中をつけた。


義手で眼を覆うジークに
マーシャは静かに話しかける。


「・・・・お前の弟は・・化神だったんだ。それを師匠が始末しただけだ。」


するとジークは腕をずらし
潤む瞳をマーシャに向ける。


「化神・・・?なんだそれは・・・」


「神の力の影響で怪物化した人間だ。一度暴れたら手が着けられない。」


「まさか・・・弟は弱くはない・・!!」


「誰だってそう思う。・・俺だってそう思ってた・・。」


「貴様に俺の気持ちが分かるか・・・!!」


「・・・・わかるさ。」


「・・・!!!」


マーシャは苦しそうに眼を閉じた。


「お前が恨んでる俺の師匠はな・・・あのあとすぐに死んだんだ。」


「・・・・・!?」


「師匠は強い人間だった・・・いつも陽気で・・・でも戦いは強い。・・・俺の憧れだった。」


マーシャはナイフをしまい
眼を細めて小さく笑った。


「そしたらある日さ、いつものように任務が入った。フラワーカウンティーに化神がいるって。だからいつも通り俺と師匠は任務に赴いた。」


「・・・・・・・・」


「・・・いつも通りうまくいくと思ってた。でもまさか化神のそばに人間が・・・お前がいるとは思ってなかったんだ。ふつう化神は人間をかばったりはしないからな。だから師匠はふつうに化神を切り裂いてしまった・・・お前の腕ごとな。」


「・・・・!!」


マーシャはジークに近寄ると
しゃがんでジークの義手に触れる。


「師匠はそれから任務に出なくなった。俺には他の仕事があるとかいって笑ってさ・・・。だから俺はそうなんだと思いこんでた。本当はずっとお前のこと引きずってたのに・・・その事に気づいてやれなかった・・・。」


マーシャは義手から手を離し
ジークの瞳をじっと見つめる。


「そしたらある日ついに師匠は化神になった・・・あんなに強かった師匠がだ。俺の憧れてた師匠がだ。・・・・・悔しかった・・・・苦しかった・・・・・それでも化神は世界の狂気だ・・・・だから俺の手で終わらせたんだ・・・」


「・・・・・・」


マーシャは小さくため息つくと
踏ん切りをつけるように立ち上がる。


「悪魔はな・・・所詮神の尻拭いだ・・・・それでも世界を二度と陥れないために・・・二度と人間に辛い思いをさせないために色んなもん犠牲にしてきてんだよ。辛いのはお前だけじゃねぇんだ。」


そしてジークに剣を渡し
マーシャ自身も剣を構える。


「・・・・」


「立て。」


ジークはうつろな目でマーシャを見る。


「・・・・?」


「これで終わりにしよう。」


マーシャはいつものようにニッと笑う。


「・・・・・ああ。」


ジークも立ち上がり
剣を構えた。


「・・・・いくぞ!!!」
「・・・!!!」















----兄ちゃん!!


----兄ちゃんあのね!!!


----僕お父さんみたいな舞士になりたいんだ!!


----だから最初に兄ちゃんにみてもらいたいんだ!!!!














目を開けると
そこには青空が広がっていた。


雲一つない澄んだ青空。


「・・・・俺はまた助けられたのか。」


小さくつぶやくと
少し離れたところでリオナを手当していたマーシャがジークに苦笑いを向けた。


「・・・俺は・・・弟に寂しい思いをしてほしくなかったんだ・・・」


「・・・・」


「父さんと母さんが死んでから・・・弟を悲しませないように必死に弟の面倒を見てた・・・。しかも弟は泣き言一つ言わないから・・・心のどこかで安心してたんだ。でもそれでも弟は寂しかったんだろうな・・・・」


ジークは自嘲気味に笑い
眼を閉じる。


「あんたの弟は・・・」


すると突然聞こえたマーシャの声に
ジークは目を開ける。


「あんたの弟はそれでもあんたを愛してた。最後まで・・・愛してた。」


「・・・・マーシャ・・・」


自然と眼から流れ落ちる涙は
長年の苦しみを洗い流すようにとめどなく落ちていく。


「クハハッ・・・!!・・・私は何度悪魔に助けられれば気が済むのか・・・」


「さぁな。でもこれで懲りたろ?悪魔狩りは」


「フッ・・・そうだな。」


ジークは体を起こし
マーシャの元に行く。


マーシャはリオナの手当をし終え
そっと頭をなでてやる。


「その少年にも・・・悪いことをしてしまったな。」


「そう思うんなら本人に謝りな。まぁコイツのことだから許しちゃうだろうけど。」


「・・・なぁマーシャ。」


「なんだよ。」


「・・・・ありがとう。」


「・・・・・・・」


突然の言葉にマーシャは顔を逸らし
照れ隠しをする。


「礼する前にムジカを返せよ。」


「わかってる。私に任せろ。」


そう言ってジークはリオナを背負って立ち上がった。


「案内しよう。元、我が屋敷だった悪魔狩りの本部に。」


ジークはいつものように自信に満ちた笑顔を見せると
マーシャもいつも以上にニカッと笑った。








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