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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
story45 幽霊の家





「ぁあー・・・やっとついた」
《ついたぁ!!》



リオナとB.B.はファストラインから降りると
久しぶりの外の空気に酔いしれた。


「・・やっぱり俺は外が・・イタッ!!」
「リオナ荷物忘れてる。」
「殴らなくても・・」
「ほら行くぞ〜」


マーシャに続いてリオナ達もターミナルをでた。


「・・・すごい」
「ほ・・・ホントだ・・・すごいね・・!!」


クロードとムジカは目を丸くしながら外にかけていく。


「あっ・・クロードもムジカもあんまり行くと危な・・・ってすご。」




非世界連合   UNKNOWN WORLD





ターミナルをでると
目の前は巨大なビルが建ち並んでいた。


道もきれいに整備され
車が走り回り
空を見上げると多くの空中車が飛び交っている。


まさに都会の美と言えるだろう。


するとクロードは勢いよく振り返り
期待で目を輝かせた。


「・・ねぇマー兄、僕たちここに住むの?」


「ああ。今日からここが俺たちのもう一つの故郷だ。」


クロードは嬉しそうに
でも少し照れくさそうに笑った。


「・・・でもその前に家を探さないと・・・・」


ルナの的確な指示に一同が我に返る。


「じゃあとりあえずまずは不動産屋から行くとすっか。」


ということで本当にとりあえず不動産屋に向かった。


道行く人たちは皆都会的な服装で
今までにない雰囲気をかもちだしている。


センター街に入ると
今度は若者がたくさんあふれ
ショッピングを楽しんでいるようだ。


そしてようやく見つけたのが明らかに高級そうな不動産屋。


《あー!あったあった!!ねぇあったよ!!》


「・・ここはだめ。もっと安そうな場所がいい。」


そういいながら歩き続け
すでに5件以上の不動産屋を見送った。


さすがにセンター街を出てしまうと
人数も減り
店もなくなってきてしまう。


「あちゃー。どうしましょうか。」


「・・でもいい家買うほどお金ないし。」


リオナはあたりを見渡しながら
他に不動産屋がないかを探す。


するとムジカがちょこちょことリオナの横にやってきて、
リオナの腕を小さく引っ張った。


「・・・?・・・どうしたムジカ?」


ムジカは少し顔を赤らめながら
なぜか目を潤ませている。


「あの・・ね、翼がでちゃいそうなの・・」


「・・!」


リオナはサッとムジカを回して背中を見る。


やはりムジカの言った通り
翼が今にも飛び出しそうになっていた。


「・・ちょっとやばいね。おいマーシャ」


リオナはマーシャを呼び寄せる。


「あ?」


「・・ちょっとムジカの翼直しに行ってくるから先行ってて。」


「おうよ。」


《あっ!オイラもいく!》


そう言ってB.B.を頭に乗せ
そのままリオナはムジカの手を引きながら路地に入っていった。


「・・・ごめんねリオナ」


「気にするな。・・・ここらへんでいいか。」


リオナは人がいないことを確認すると
ムジカの背中に回り
コートの中に手を入れる。


「痛かったらごめんな・・。」


それにしても翼がすごいことになっている・・。


《なんかリオナエローイ!》


「だ・・・だまれバカウサギ・・」


リオナは苦戦しながらも
うまく翼をしまいこんだ。


「ふぅ・・よし。いいぞ。」


「ありがとう」


ムジカは少し苦しそうに
それでも笑顔を作る。


・・・はやく家見つけてやらなきゃな・・


リオナはムジカの頭をなでる。


するといままで誰もいなかった路地に突然ひとりの老人が姿を現した。


リオナたちはドキッとしながらその老人が通り過ぎるのを待つ。


・・・が
老人はリオナ達をジッと見つめて動かない。


「も・・・もしかして見られたか・・・?」
《いや・・オイラが見てた限り今出てきたぞ・・!!》
「ど・・どうしよう・・・」


リオナ達は老人と見つめ合う。


すると突然老人が足を動かし
リオナの前に立った。


「おぬし・・・」


「は・・はい・・」


リオナは体をビクつかせる。


そして老人がリオナの腕をつかんだ。


「おぬし・・!!幽霊が怖いか!?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?」


「おぬし!幽霊が怖いかと聞いておるんじゃ!!」


リオナは老人の気迫に押されながら
横にいるムジカに助けを求めた。


が、それがまずかった。


ムジカは目に涙をためながら
リオナをかばうように老人の前に立ちはだかった。


「わ・・・私は悪魔ですよ・・!?お・・・お化けなんて怖くありません!!!」


この子は何を言い出す・・・・


・・・もうどうにでもなれ


リオナは深いため息をついた。


「ほう!お嬢ちゃん頼もしいのう!どうじゃ!!わしについてきてはくれんかのう!」


「わ・・・私は悪魔デスヨ!?」


すでにかみ合っていない会話を見るに見かね
ようやくリオナがわってはいる。


「おじいさん・・悪いんですけど、訳も分からずついて行くことはできません。」


リオナはムジカを老人から引き離し後ろにやる。


「じゃあ訳を話したらおぬしらはついてきてくれるのじゃな。」


「・・・・・・・・」


老人の訴えに、
リオナは困惑した。


しかし女・子供・老人に基本的に弱いリオナはあえなく降参した。


「内容による・・」


「ほっほ!!それでこそ若者じゃ!!こっちじゃこっち!!」


そう言って歩き出す老人の後ろを
リオナ達は仕方なくついていった。











その頃
マーシャ達はいったん探すのをやめ
クロードが目を輝かせて見つめていたパフェをファミレスで食べさせていた。


「おいしいかクロード?」


「・・うんっ」


「・・ふふっ・・かわいい・・」


「クロード、俺にも一口。あーん。」


「あーん」


「ン!うまい。・・・ってあれ?」


マーシャは突然いぶかしげな顔をした。


「・・・どうかした・・・?」


「いや、さっきまでそこらへんでB.B.の反応があったんだけどだんだん離れてくんだよな。」


「・・何かあったのかしら・・・」


「んー・・いや、大丈夫だろ。クロードもう一口。」


「あーん」


マーシャ達はリオナの気も知らずにのんびりしていた。

















「・・それで、おじいさんの家に幽霊がでて家には入れない、と。」


「うむ。じゃからお主らに退治してもらいたいんじゃ。」


「でも俺たち・・霊能者でも何でもないんだけど・・・・」


リオナは困ったように頭をかく。


老人について行くうちに
いつの間にかビルが建ち並ぶ街をぬけ
先ほどからは想像できないほどのどかな野原にでた。


本当にこんなところに家があるのかと疑いを持ち始める。


すると小高い丘の向こうに一軒の家が見えてきた。


「え・・リオナ、あの家大きいよ」


「・・・・ホント?」


リオナは目を細めてみる。


「ホントだ・・。」


老人の家と聞いていたから
もっとこじんまりしたボロ屋かと思っていた。


しかし実際は少し大きめの二階建てで
壁はきれいに黄色く塗られていてとても幽霊がでるとは思えない。


「じいさん・・・本当にこの家にでるのかよ。」


「うむ。わしはうそは言わん!」


「・・・・」


リオナはかなり疑いながらも
促されるままに家に向かっていく。


玄関前にたつと
なぜか体中に電気が走ったような感覚に陥る。


「さぁさぁ入りなさい。」


「あ・・ああ。」


リオナは無意識に掴んでくるムジカの手を引きながら家に足を踏み入れる。


家の中はカーテンで光が射し込まず
真っ暗だった。


「じいさん・・電気は」


バタン・・・


突然扉が閉まり、
全員が扉を見た。


リオナ達は体を固める。


まさか・・


《じじぃ!!なんでドアしめんだよ!!あーけーろー!!!》


ドアを占められ家に閉じこめられたリオナ達は
必死にドアを開けようとする。


「な・・おじいさん!!あんたなにするんだよ!!」


扉ごしに話しかければ、
老人の愉快そうな笑い声が聞こえてきた。


どうやらリオナたちには老人にはつくづく縁がないらしい。


「悪いのう・・!!実は幽霊は幽霊でも人喰い幽霊なんじゃ・・!!そやつは若者が好物でのう・・!悪いが生け贄になっとくれ!!」


「・・・はあ!?おい開けろ!!!」


リオナ達の訴えも虚しく
老人はあける様子はない。


《オイラ死にたくないのだぁ!!》


「・・あーあ・・やられた。」


リオナはそのまま背をもたれかけさせながら床に座り込む。


「ぅぅ・・・・」


すると隣にいたムジカも小さくうずくまっていた。


・・・ああそうか・・・ムジカ暗いの苦手だもんな・・・


「ムジカ」


「・・・・?」


リオナはムジカの背中をゴシゴシこする。


「大丈夫大丈夫。こんな所早くでような。」


「・・・・うん」


リオナはムジカの手を握って立ち上がった。


「・・・・よし。人喰いなんたらを探すか。」


《エ゙ッ!探すの!?》


「だってこれ以上被害者出すわけにもいかないだろ?」


《でも・・》


「怖いなら目、つむってな」


そう言ってリオナはまっすぐ続く廊下を歩いていく。


廊下の途中途中には
洗面所やトイレがあったが
幽霊らしき姿は見えず。


そしてそのまま進むと
開けた部屋にでた。


「広・・・・」


おそらくリビングだろう。
端の方にはキッチンがあり
きれいに整備されている。


「なんかでそうにないな・・・」
「り・・・・リオナっ・・・!!」


すると後ろに引っ付いていたムジカが
ものすごい力でリオナを引っ張り
ソファーの影に隠れるように座り込んだ。


「・・・ムジカどうし・・・ン・・ンン・・・!?」


ムジカはリオナの口を押さえながら涙目で首を振った。


するともう片方の手で上を差し始める。


・・・二階?


リオナは上を見上げる。


この家はリビングが吹き抜けの天井となっていて
それを囲むように二階の廊下があった。


だから
リビングから二階にある部屋が一望できる。


リオナは一度顔を引っ込ませる。


「・・・・・・・・・・・・・・?」


ジェスチャーでムジカにわからないと伝える。


するとムジカも体全体で
何かを伝えようとしていた。



・・・二階の・・・・部屋の前に・・・・



・・・・・女がいる・・!?



ムジカは半泣きで頷く。


「・・・・・・」


リオナは意を決して
もう一度二階を見る。


・・・・・・・・・・・・・・


確かに女が立っている。


しかもこっちをめちゃくちゃ見てる。


「・・・・・・」


リオナは再び体を戻した。


しかし表情はものすごく青白くなっていた。


・・・・・・なにこれ・・・怖すぎる・・・・・・・・!!


こーゆー時になんでマーシャがいないんだよ・・!!


リオナも目に涙をためながら
必死に隠れる。


しかしすでにばれているのだ。


だからここは勇気を出して話しかけ・・・


「・・・はぅっ!!!!」


「・・・!?!?ムジカ!?」


すると突然ムジカが声にならない悲鳴を上げる。


《ギィャァァァァァァァァ!!!!》


リオナは二人が指差す方に顔を向けた。


「・・・・うぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」


いつの間にか女はリオナ達の目の前にいた。


長い白髪を靡かせながら
不気味に笑っている。


リオナはB.B.とムジカを抱えて一気に部屋の隅に逃げる。


・・・や・・・やばいよ・・・!!


俺幽霊なんてはじめてみるよ・・・!!!



どうすれば消えるんだ!?



人喰うんだっけ?!?!



とりあえず俺がおとりになって・・・


「あの・・・君たちはお客さんかしら・・?」


混乱していたリオナをますます混乱させる事態が起きた。


幽霊が話しかけてきたのだ。


「は・・・はなせるのか・・・?」


女は白髪をかき分けて
少し戸惑いながらリオナを見る。


「あっ・・・ごめんなさい脅かしてしまったかしら?」


「・・・・へ?」


「私はこの家に住むものです。何かご用があったのでは?」


よく見ると女は透けてない。


しかも顔つきは優しい老人だ。


「あ・・・なんかすみません・・・」


リオナは未だに飛び跳ねる心臓を押さえながら
ムジカとB.B.を起こす。


「いいえ。今お茶を入れるからちょっと待っててね。」


そう言って老婆はキッチンにむかった。


「り・・・リオナ・・」


「・・ああ。なんか・・・勘違いだったらしいな・・・」


「なんか失礼なことしちゃったな・・・・」


それにしても・・あの老人は何言ってんだ?





「はいどうぞ。」


「あ・・ありがとうございます。」


《オイラミルクがいー!!》
「コラ・・!すみません気にしないでください・・。」


「ふふっ!可愛いお人形だこと。」


《人形じゃないやーい!!》


暴れるB.B.をムジカが必死に止める。


「あの・・・つかぬことをお聞きしますが・・・・・この家にはおばあさん一人ですか?」


「ええ。三年前まで旦那がいたんですけど・・先立たれまして。」


「そうなんですか・・」


老婆はお茶を一口飲むと
空気を変えるように話題を変えた。


「あなたがたはなぜここに?」


《オイラ達はお化けを退治しに来たのだぁ!!》


「お化け?」


「あ・・あの私たち・・このお家にお化けがでるから退治してくれって頼まれたんです・・・」


老婆は驚いたように目を丸くした。


「まぁデマだったみたいですし・・・お騒がせしてすみません。」


「いいえ。私も久しぶりのお客様でとてもうれしいです。こんな町外れだとだれも来ませんので。」


老婆は悲しそうに小さく笑う。


するとムジカも
同調するように顔をゆがませる。


「寂しくないですか・・・?」


「え・・?」


「ひとりで・・・寂しくないですか?」


すると老婆はくすくすと笑い出す。


「大丈夫よお嬢ちゃん。もうなれたもの。ありがとうね。」


老婆はムジカの頬をなでる。


「あっ、そうそう。みなさんに見てもらいたい物があるのでちょっと待ってていただけますか?」


そう言って老婆は二階に上がっていった。


姿が見えなくなると
リオナ達は一気に緊張の糸が切れた。


「はぁ・・・・・何だったんだよ・・・」


「怖かった・・」


《オイラ甘い物食べたーい!》


「でも・・・おばあさんかわいそうだね・・・きっと寂しいんだろうな。」


「そうだな・・」


するとリオナの目にある物が映る。


「写真だ・・。」


そこにはまだ若かりし頃の老婆と
旦那と思われる男が写っていた。


しかし、リオナの中でなにかが引っかかる。


「・・あれ?この人どっかであったことあるよな?」


どこだったかな・・・カントリーカウンティーのアイツはもっと目つきが悪いし・・・・・・


誰だったかな・・・


《・・・!!!》
「・・・!!」


ガタン・・・


すると突然
ムジカとB.B.が椅子から立ち上がった。


しかも顔を真っ青にさせている。


「おい・・・どうし」
「化神がいる・・」
「・・・!?どこに!」


B.B.は閉じていた目をカッと開け
グイッと顔を上げて二階を見た。


《あのばーちゃんだ・・!!!》


「なに・・!?」


リオナもとっさに二階を見る。


その瞬間。


『ガゥゥゥゥゥ・・・フシュゥゥゥゥゥ・・』


部屋から出てきたのは先ほどまでいた老婆ではなかった。


顔は黒くなり、
目は金にギラギラ輝いている。


「ばぁさんや・・・」


「・・・!?」


するとどこから現れたのか
いつのまにか先ほどの老人がリオナの横に立っていた。


「・・・・あっ!!あんた今更きたのかよ!!」


「ほれ、はよ戦わんか。」


リオナは老人に舌打ちしながら
トランプを構える。


「ムジカ・・B.B.・・・いくぞ!!」


「はいっ・・・!」
《おうよ!!》


ムジカは黒々とした爪を伸ばし、
翼をバサッと広げる。


リオナはB.B.と一つになり
勢いよく二階に飛び上がった。


「オラッ・・・!!」


リオナはトランプで勢いよく切り刻んでいく。


そこにムジカが思いっきり引っ掻いた。


化神は苦しみながら
床に倒れる。


が、
化神から飛び散った黒々しい血が
不気味にうごめき出した。


「細胞分裂だ・・・ムジカは本体を頼む」


「うん・・!」


リオナはトランプを巨大化させ、
分身をどんどんつぶしていく。




ムジカはとにかく体制を整えようと
一度リビングにおりた。


「おばあさん・・・・」


変わり果てた老婆の姿にムジカは悲しそうにため息をつく。


『ガゥゥゥゥゥ・・・』


「・・・・・・・・寂しかったんですね・・・・・・辛かったんですね・・・」


『ヴゥウゥゥゥゥ・・・』


ムジカは赤い瞳を光らせ、
両手に黒い煙のような玉を作っていく。


「"黒魂"」


その玉を勢いよく化神にぶつける。


『ヴァア゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!!』


・・・まだ足りない・・・


「"クロスカット"」


爪を尖らせ十字に切り刻む。


「ムジカ・・!!」


するとリオナが降りてきた。


ムジカは自分の手とリオナの手を合わせ
二人で巨大な黒い玉を作り出していく。


黒煙風がリオナとムジカを取り巻き、
それを一気に固めていく。


そしてそれを突き飛ばした。


「"黒魂"!!!」


『ゥァァァァァァァァァ・・!!』



化神は黒々とした闇に包まれながら
爆発した。












リオナ達は床にがくりとひざを突く。


「人喰い・・・か。」


「化神だったなんてね・・・」


《なんか・・・泣けちゃうよオイラ》


三人はただただ天井を見つめる。


そこに、すべての元凶である老人がやってきた。


「お主らよくやった。まさかここまでやるとは」
「・・・・これで本当によかったのか
?」


リオナは体を起こし
老人をみる。


「あんたの奥さんだったんだろ・・?」


「ぇえ!?」
《ぇー!?》


ムジカとB.B.は目を丸くする。


「ほっほっほ!利口な若造だのう!」


「・・・・・」


「ごほん・・・・いいんじゃよこれで。これでばぁさんもようやく悲しみから解放されたんじゃ。お主らのおかげじゃよ。」


「そ・・そんなことありませんっ・・・でもおばあさん・・・最後笑ってました・・・」


ムジカは悲しそうに下を向く。


「いいや。ばぁさんがそういう顔をできたのもお主らにあえたからじゃ。本当にありがとのぅ。」


すると老人はなにやら引き出しをあさり始める。


そして一枚の紙っぺらを取り出した。


「お礼といっちゃあなんだが、お主らにこの家をやる。」


「・・・!?」


「はて?家がほしかったんではないのか?」


「な・・・何で知って」


「ワシはお主らがここに来たときから知っておる。見てたからのう。」


そう言って老人は無理やりリオナに契約書を手渡す。


「これで一件落着じゃ。」


「一件落着って・・・アンタはどこに住むんだよ」


「どこに?はてどこにすもうか。」


老人はそのままリオナ達に背を向け
玄関に向けて歩き出す。


「とりあえずばぁさんの元にでも行こうかの。住む場所はそれからじゃ。」


「・・・・・・・・・まてっ!」


リオナは立ち上がって老人を追う。



が、
リビングを出た時にはすでに老人の姿はなかった。


「・・・・・・おじいさん・・・」


三人は顔を見合わせる。


「おじいさんがお化けだったの・・・?」


「みたいだな・・・・」


こんな奇妙な体験・・・最初で最後だろうな・・・・




おじいさん・・・・・・・




・・おばあさんと・・・幸せにな・・・


リオナは心の中で
2人に祈った。

















「あー。こんなとこにいたのかよ。」


会うのはいつぶりだろうか。


マーシャたちがB.B.の悪魔信号を追って小高い丘の家までやってきた。


「マーシャ!!」


リオナ達はマーシャ達に抱きついた。


「おいおいどうしたよ。てかこんな家にいるとは・・まさかリオナ・・ムジカに変なこと」
「す・・するかバカ!!!」


リオナはマーシャを思いっきり突き飛ばす。


「・・ここ・・イイ家ね・・・」


「あっ・・・そうそう。この家をさ・・・もらったんだけど。」


「あーあリオナ君。うそをつくならもっとましなウソをつかないといけないけどそれ本当?」


「本当だよ・・」


とどめに契約書まで見せる。


「おいまじかよ。世の中には親切すぎる奴もいるもんだな。で誰から貰ったんだよ。挨拶しなきゃなんねぇだろ。」


するとリオナとムジカは困ったように顔を見合わせる。


「今から言うこと信じるか・・?」


「あ?信じるも何も事実だろ?はなしてみろよ。絶対笑わねぇから。」


そうしてリオナはマーシャたちに話し出す。



その後
一時間もかけてマーシャに笑われることも知らずに。




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