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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
第四章 story28.5 マーシャ×ルナ
<愛の唄>







まったく・・・・なんで俺が行かなきゃなんねぇんだよ・・・・


クソめんどくせぇ・・!!!



第一リオナはムジカに夢中すぎなんだよ!!



もうちょっと俺にもかまえってんだ!!!



あーもぉ・・・・やんなっちまうぜ・・・・




マーシャはエレベーターに乗りながら、
先ほどの出来事を思い出す。















それは朝の9:30


マーシャは優雅にコーヒーを飲みながら
部屋で新聞を読んでいた。


「フラワーカウンティーから花のお届け物・・・・・か。」


たしかこれリオナがルナにプレゼントするって頼んだやつか・・・。


ったくあのお人好しがー。


すると噂をすればなんとやらと、
リオナが部屋に入ってきた。


「あっいたいた。なぁマーシャ今暇?」


リオナはいつになく笑顔でマーシャに近寄る。


「頼みごとなら断る。」


「・・・・・・・・。」


リオナはすぐに笑顔を崩し、
頬を膨らまし
あっさり部屋を出ようとする。



ちょっとさ・・・・あきらめ早くない・・・・?


こいつは昔っからねばらねぇからなぁ・・・・



「待てリオナ。聞くだけ聞いてやる。」


「・・ホント?助かるー」


一気に機嫌を良くしたリオナは、
マーシャのベッドに腰を下ろす。


「あのな、この前頼んだ花おぼえてる?」


「ああ、コレだろ?」


マーシャはリオナに新聞記事を見せる。


「それそれ。でな、それが届いたらしくてさぁ・・・」
「じゃあ腐る前にルナに届けるんだな。」


そう言ってマーシャは再び新聞に目を戻す。


「ちょっと・・・まだ話が終わってません・・・」


「はいはい。で?用件は?」


「あのな、今からちょっと出かけるんだけど・・・・・」


「どこに?」


「城下町に・・・」


「誰と?」


「ムジカ・・・・と」


やっぱり・・・・・


「んで、俺に花をルナに届けてほしいと。」


「・・・・うん・・・・」


「ならB.B.に頼め。」


「B.B.は今日は赤の屋敷に遊びに行ってる。」


またかよ・・・・あいつ休みがあるとすぐにどっかふらつき歩くからなぁ・・・・


「だからお願い!!!マーシャしかいないんだよ!!」


「嫌だっての。俺はそもそも女が大っ嫌いなんだ。なんでわざわざ敵陣に足を踏み入れなきゃならん。」


「そこをなんとかっ!」


リオナは柄にもなくベッドで土下座する。


そんなことをしてやるとでも思ったかバカやろう。


「やりませーん。絶対やりませーん。」


「・・・・・・・・。」


リオナはチッと小さく舌打ちすると、
扉を開けて何やら誰かと話している。


しばらくして、
部屋に入ってきたのはムジカだった。


リオナはムジカと向き合うと、
残念そうに口を開いた。


「・・・ごめんムジカ・・・マーシャが行きたくないって言うから・・・・俺が行かなきゃならなくなった・・・・だから今日は・・・・」


「・・・・・そっか・・・・・・」


「・・!?な・・・泣くなよムジカ・・・・」


2人のわざとらしい演劇に白い目を向けるマーシャ。



・・・なんか俺が悪いみたいな展開になってんだけど・・・・


・・・・・・ああ!!もう!!


「わかったわかった!俺が行きゃいいんだろ!?」


その一言で2人の顔は一気に明るくなり、
ハイタッチをしはじめた。


「じゃあよろしく頼むよ。」


「ありがとうマーシャ。」


そう言って2人はさっさと出て行ってしまった。


「・・は・・・ははははは・・・・」
















今思えばなんて奴らだ。


年寄りをいじめるなんて・・・
俺はそんな子に育てた覚えはないぞ・・・・


帰ってきたら・・・あいつら覚えておけよ・・・・


そう心でグチりながら、
あっと言う間にルナの部屋にたどり着く。


マーシャはフラワーカウンティー直送の花束を片手に、
ルナの部屋に入った。


「おーい・・・・ってあれ?いねぇなぁ」


中心にある巨大な木の下にいつもならぼんやり座っているはずなのだが。


今日はお出かけか?


でもルナは基本的に外にはでないはずだ。


人に迷惑かけたくないと考えた末の結果らしい。



マーシャはとりあえず木の近くに行き、
あたりを見渡す。


が、姿は見えない。


「仕方ねぇなぁ・・・・帰るか」


マーシャが背中を向けたその瞬間。


「・・・・マーシャ・・・・?」


どこからだろうか?


マーシャはルナの声を聞き取り、
キョロキョロとあたりを見渡す。


「ルナか?どこだ?」


「・・上・・・」


「上ね。って上!?」


マーシャはバッとみあげると、
なんと木の上にはルナがいた。


なんで木の上にルナ!?


第一どうやって登ったんだ!?


「マーシャ・・・・?」


「・・お前なにしてんの?」


「・・・あの・・・・・鳥の巣が落っこちてきたから・・・・・・・・」


「鳥の巣?」


確かにルナの横には鳥の巣がある。


そして鳥達はルナにお礼を言うようにルナの周りを飛び回っていた。


「・・・・・マーシャは・・・なにか用・・・?」


「ん・・ああ。コレ、リオナからのプレゼント。」


「・・・・・・?」


「あれだよあれ。フラワーカウンティーからの花の贈り物。」


「・・・!!い・・・今降りる・・・!!」


ルナは珍しく張り切りながら、
木から降りようとする。


「っておい大丈夫か?落ちるなよ?」


なんか足元が危なっかしいな・・・


マーシャは念のため花を下に置いて
手を空けると、
ズルッという嫌な音がした。


「あっ・・・・!」


ルナは足を滑らせ、
木から体が離れる。



ドサッ!!!



「っぶねぇ・・・・!!!!」


万事休す、マーシャがさっとルナを受け止めた。


「ご・・・・・ごめんなさい・・・・・・・・」


「ほんとだよ。気ぃつけろっての」


「・・・うん・・・・・」


ルナは少々おびえ気味になりながら、
定位置に座る。


「ほれこれ。」


マーシャも腰を下ろし、ルナに花束を渡す。


するとルナはとても嬉しそうに花束を抱きしめ、
にっこりわらう。


「・・ありがとう・・・!!」


「・・・・・・・・!!」


不覚にもマーシャは胸をドキッとさせた。


クソっ!!不意打ちだぜ・・!


「お前・・・本当に花が好きなんだな。」


「・・・うん・・・・!」


へぇ・・・こんな風に笑うんだ。


てかそうだよな。
まだ18だっけ?


まぁ俺より生きてるけど。
てか世の中の人間の中で一番最年長だけど。


「・・・・ムジカは元気・・・・・・・?」


「ああ。リオナをとられた。」


「・・・マーシャは・・・・リオナのこと好きなのね・・・・・・・・」


「まぁな。親みたいなもんだから。アイツがいなかったら今の俺はないってな。」


「・・・・そっか・・・・・・」


なぜかその時のルナの表情はすごく悲しげで・・・


「お前には好きな奴いないの?」


「・・・・・私・・・・・?」


「そう。」


するとルナは困ったように下を向き、
なかなかマーシャの顔を見ない。


「いないなら・・・」
「・・・・・マーシャは・・・好きよ・・・・?」
「んな・・・!?」


なんで!?なんで俺!?


マーシャは驚きと恥ずかしさに顔がやばいことになる。


「・・・・マーシャは・・・優しいから・・・」


「なんでだよ・・。俺お前のこと殺そうとしてんだぞ・・?」


「・・・・・・・でも・・・・なんだかんだ殺されてないわ・・・・」


「・・・・!!」


たっ・・・確かに殺してねぇけどよぉ・・・!!!


「そっ・・・・それは・・・タイミングがなかっただけだよ!!!」


マーシャは顔を真っ赤にしながらプイッと顔を逸らす。


「・・・ふふっ!・・・ねぇマーシャ・・・・・?」


「なんだよ」


するとルナはマーシャの手を引き、
ぎゅっと握りしめる。


「・・・いつでも・・・殺していいからね・・・・」


「・・・な・・・」


「・・・マーシャが・・・殺したくなったら・・・いつでも殺していいから・・・・」


ルナはいつもと変わらぬ表情でたんたんと述べる。


は・・・?意味わかんねぇよ・・・


「なんで?」


「・・・・・・・?」


「なんでさ、嫌がんないわけ?確かに俺はお前を恨んでるしいつか殺してやるとも考えてる。でも普通嫌がるだろ?」


マーシャはルナの手を振り払い、
真剣な表情を見せる。


しかしルナは動じない。


「・・・だって・・・・それが私の罪だから・・・・・・。」


・・・罪・・・ねぇ・・・・


でもよぉ・・・・もうちょっと嫌がってくれないと・・・コッチがヤりずれぇんだよな。


「って俺はドSか。」


「・・・・え・・・・・?」


「いや、こっちの話」




しばらくの間沈黙が続いた。


・・・第一今までこいつと話したことがあんまない・・。


なにはなしゃあいいんだよ・・・


しかし頭を悩ませるマーシャをよそに
ルナはさっと立ち上がり、
トコトコと奥の方へ行ってしまう。


「・・??何してんだ・・?」


マーシャがいぶかしげな目で見ていると、
すぐにルナは戻ってきた。


しかしその手には大量の花がある。


「お前そんなに抜いていいのか?」


「・・・うん・・・・この花達はあと少しで腐っちゃうから・・・・・・」


「へぇ・・で、その花で何すんの?」


「・・・・これ・・・・・・」


するとルナは自分の後ろから何かを取り出し
マーシャに渡す。


「・・・クマか?」


「・・そう・・・・!!花で編んだぬいぐるみ・・・・!」


ルナはすごく嬉しそうに頷いた。


「てかお前すごいな。目見えないのによくやるよ。」


マーシャはルナがどんどん花を組み合わせていく手先から、
さりげなくルナの顔に目を移す。


その表情はとても楽しそうで、
でも・・・・・いつも一人だからこれくらいしかやることがないんだと考えると・・・・胸が痛んだ。


「ルナ?」


「・・・・?」


「いつも何してんだ?」


「・・いつも・・・・?」


「そう。」


ルナはいったん手をやめ、ぼけーっと考えはじめるが、
困ったようにマーシャをみた。


「・・・話しても・・・つまらないよ・・・?」


「いいよ。話せよ。」


ルナはさらに困ったように小さくため息をついた。


もしかして・・・・こいつ・・・・


「なぁお前って面倒くさがりや?」
「・・・ち・・・ちがうわよ・・!!マーシャと一緒にしないで・・・・!!」


それリオナにもよーく言われます。


するとルナはすごく恥ずかしそうに
マーシャから顔を逸らす。


「・・・ね・・・寝てる・・・・・」


「!?まじかよ。」


「・・・だ・・・だからつまらないって言ったじゃない・・・・・!!!」




機嫌を損ねてしまったのか
ルナは顔を真っ赤にさせ
立ち上がって木の後ろに行ってしまった。


あれ・・?


怒ったのか・・!?


マーシャは初めて見るルナの様子に戸惑い気味にながらも、
そぉっと木の裏に回り込む。


「ルナ・・・・・?」


「・・・・・何か・・・・・・・」


「悪かったよ・・」


「・・・・私はどうせつまらない女ですよ・・・・・・」


・・・こんなにもいじけるルナの姿は
本当に普通の女の子で・・・


なんでここに閉じこめられているのか・・・・
ついにはなんでルナのことをこんなにも恨んでいたのかがわからなくなりそうだ・・・・・


「ルナは・・・・・つまらない女じゃねぇよ。」


「・・・・・え・・・・?」


するとマーシャはルナが抜いてきた花をつかみ、
何やらいじり始める。


「俺目見えるのにこんな可愛いぬいぐるみ作れねぇし。」


なにかブツブツつぶやきながら、
どうやらマーシャは花でクマを作ろうとしているようだ。


そんなマーシャを感じ取ってか、
ルナはなぜか困った顔をしながら、
マーシャの胸に手をおいた。


「・・・・・いじわる・・・・・・・・・」


「え・・・・?」


「・・・・・そんなに優しくされたら・・・・死にたくなくなるじゃない・・・・・・・・・・!!」


「・・・だったらもっと嫌がれ。」


「・・・なっ・・・!!」


マーシャはルナの手をもっと胸に押し当てる。


「お前が嫌がれば嫌がるほど俺も殺したくなくなるかもしれないぞ?」


いつものようににやっと笑うマーシャを感じ
ルナは力が抜けた。


「・・・・バカ・・・・」


「バカで結構。でさ、俺もクマ作りたいから作り方教えろよ。リオナくんにあげたい。嫌がられるかもしんねぇけど。そうだなぁ〜・・・今週は休みないから来週は?ヒマだろ?」


・・・いっとくがこれは同情心からだ・・・


ちょっとルナが寂しそ・・・・いや暇そうだから言っただけだ・・・!!!


しかし唐突な誘いに
ルナは戸惑いながらも、
嬉しそうに頷く。


「・・・・う・・・うん・・・・・!!」


「じゃあ決まり。花さ、買ってきた方がいいか?」


「・・・・ううん・・・・・・!!私が用意する・・・・・・!」


「わかった。じゃあ俺なんか違うの持ってくる。何か好きな食べ物とかない?」


「・・・・あ・・・・飴・・・・・・・」


「飴!?そんなショボイのでいいのかよ。」
「・・・・・・・ショボイだなんて・・・・・・!・・・・飴だって立派な食べ物よ・・・!」
「はいはい」



あーあ・・・・俺ってば本当に年をとっちまったようだな・・・・


いや・・・・性格が変わったのか・・・?


だったら年のせいじゃない・・・・


リオナのせいだ・・・


あのお人好し精神にやられちまったんだ・・・・・


一生恨むぜ?リオナ

















「ハッッッ・・・・・・クション!!!」


「リオナ大丈夫?」


なぜかリオナとムジカは城下町ではなく
普通にリビングにいた。


「ああ・・・・・きっとマーシャが俺の愚痴を言ってんだ・・・」


「え・・・マーシャの悪口は人をくしゃみに駆り立てるの!?」


「い・・・・いやそーゆー意味じゃないんだけどな・・・・」


「でもマーシャ怒ってるだろうなぁ・・・」


「大丈夫大丈夫。てかむしろ感謝されるべきだ。俺がわざわざマーシャのために花を頼んでやったんだから。」


「マーシャ・・・うまくルナ姉と話せてるかな・・・?」


「どうかな・・でもマーシャは最近ルナに心を開きつつあるから。」


「うまくいくといいなぁ・・・・」


「そうだな。」





マーシャの愛はいつもひん曲がっている。


だから今回頼んだ花には"薔薇"を入れてもらったんだ。


花言葉は"清純な愛"



2人の間も汚れない、綺麗な愛で満たされますように








END

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