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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
story29 蠢く影








"ぁああぁあああ!!!"









そうだ・・・・もっと・・・・・・







"うぁあああ・・・ウィキぃぃ!!"






もっと・・・・鳴いて・・・・・・・・・









もっともっともっともっともっと・・・・!!!!











君の悲鳴が聞きたいんだ




















「クスッ・・・・・・・」



何もかもが真っ白い部屋。


いすに座り窓の外を見つめるアシュール。


その目は妖しい輝きを放ち、
下に広がる城壁の中の町並みを鮮明に写しだしている。


「どうした・・・アシュール。」


ひとりで笑うアシュールを心配して
兄のカイが近寄ってくる。



「大丈夫だよ兄さん。ただ・・・昔を思い出してただけ。」


「・・・そんなに楽しかったのか?」


「うん!すっごくいい思い出だ。死にゆく弟のために泣き叫ぶ兄・・・・・感動したよ。」


ねぇ・・・リオナ・・・覚えてる・・・?


俺はいつもリオナのことを考えるとゾクゾクするんだ・・・・・


クスッ・・・・・早く会いたい・・・・・


・・・・君のために・・・・この十年間待ち続けたんだ・・・・・


・・・・早く君のそのキレイな顔が苦痛に歪む姿を見たい・・・・


「・・・クスクスッ・・・・」


「ところでアシュール・・。お前がやりたがってる作戦の時期は近いんだろう?フェイター達は大丈夫か?」


「もちろんだよ。12人全員問題なし。」


「ならいいが・・・リオなんとかいうやつに夢中になるのはいいがローズ・ソウルを集めることを忘れるなよ。そのガキのために10年間待たされたこっちの身にもなれ。」


「リオナだよ兄さん。大丈夫。ローズ・ソウルもちゃんと集めるよ。・・・でもその前にリオナを手に入れなきゃ・・・。」


「手に入れてどうするんだ?」


「クスッ・・・もちろんオモチャにするよ。」


「どーせまたすぐ飽きるだろ。」
「そんなことない!リオナは飽きないよ。」


「・・・・・・おまえをそんなに夢中にさせるリオナに会ってみたいな。」


「クスッ・・・・すぐに会えるよ・・・」


アシュールは再び窓の外に目をやる。


リオナ・・・・・・待っててね・・・・・・すぐに会いに行くから・・・・・




とっておきのプレゼントを用意してね・・・・・























「・・・・グッ・・・・はぁはぁ・・・・ぅあっ・・・!!!・・・・・かはっ・・・・はぁはぁはぁ・・・」



胸が苦しい・・・・・・焼けるように・・・・・・



まさか・・・・またあの日の夢を見るなんて・・・・


「おいリオナ・・・リオナ大丈夫か!?」



視界がぼやけてる・・・・・


「・・・・はぁはぁ・・・・・・・・マーシャ・・・・・・?」


俺・・・・泣いてるのか・・・・・・


恐怖で、リオナはマーシャの体に強く抱きついた。


「そうだリオナ。大丈夫。落ち着け。」


そう言ってマーシャはリオナを抱きしめて優しく背中をなでる。


「・・・・・・・ごめん・・・」


「いい。気にすんな。」


リオナは涙を拭うと、マーシャから水と薬を差し出され、
それを一気に飲み干す。


この薬は、Dr.デヴィスがリオナに特別に作ってくれた精神安定剤だ。


あまり飲む気にはなれないが、
飲まなかった後の自分は恐ろしいくらい暴れまくる。
らしい。


マーシャはリオナが落ち着いたのをみると、
安心したのか少し微笑む。


「久々だな・・・・お前が夜うなされんのは。」


「うん・・・またあの日の夢を見たんだ・・・・・」


「・・・・つらかったな・・・・。」


マーシャは再びリオナの背をなでてやる。


「でも・・・・今までと何か違うんだ・・・・・・」


「・・・・?」


「・・・・いつもは・・燃え盛る家々の間を必死に走る夢を見るんだ・・・・・・でも今日は俺は城にいた・・・・・・・しかも俺の手には知らない男の子が死んでるんだ・・・・すごく冷たくて・・・」


その話にマーシャは少しドキッとする。


「・・・・何度揺すっても起きないんだ・・・・そしたら・・・・その男の子の顔が・・・・・・・・・気づいたら俺になんだ・・・。そしたら次の瞬間誰かの笑い声が聞こえてきた・・・・振かえったら・・・・・・黒髪の知らない男が笑ってるんだ・・・こっちをみて・・・」


リオナは何度も体をふるわせ、
無意識につかんでいたマーシャの腕にギュッと力を入れる。


「ねぇマーシャ・・・・これが本当に俺の記憶なのか・・・?」


こんなに・・・・つらいのが・・・?


「どうだろう・・・・わからない。」


するとリオナはつらそうに胸を押さえながら、
布団に顔を埋める。


「・・・・・どうしよう・・・・・・・・・」


「・・・・?」


そして涙目でマーシャを見つめた。


「俺・・・・・・記憶知るの・・・・怖くなっちゃった・・・・・・」


「・・・・・・。」


初めてリオナから聞く"怖い"という言葉・・・・・


きっと・・・・・・だんだんと記憶に近づいていってる証拠・・・


「・・・・リオナ・・・・・それはあくまでも夢だ。気にするな。最近トレーニングばっかりで疲れてたんだよ。」


「ああ・・・・・そうだよな・・・・・・」


「今日はもう遅い。寝ろ。」


「・・・うん。ありがと・・・マーシャ・・・・。」


「気にすんなって。じゃあな。あっ、明日薬飲むの忘れんなよ。」


「・・・・ああ。・・・・おやすみ・・・・。」


「おやすみ。」


マーシャはリオナの部屋を出て、
自分の部屋へ戻る。


危なかった・・・・


あんな不安定なリオナを見たのは久々だ。


あのリオナを見る度に、
俺はリオナをどうにかしたくなってしまう。


記憶を思い出すのが怖いなら、
いっそ忘れさせてやりたい。


俺が、この手で。


こんなこと思ってるなんて、
俺はどうかしている。


それに、リオナはそれを望んではいないんだ・・・・


マーシャは部屋に入るとすぐにベッドには入らず、
机の引き出しからボロボロの手帳を引き出し、
何やらページをめくっていく。


そしてあるページに手を止めた。


それは11年前の12月・・・・・・


あの忌まわしい大魔帝国壊滅の月。


マーシャは何かを探るように
再びページをめくる。



・・・確か俺は・・・・・壊滅する前に・・・・リオナと一度会っているはずだ・・・・・


「・・・あった・・・」



マーシャは月明かりが差し込む窓に近づき、
手帳にかかれたその日の記録に目を通す。


こんな性格だが記録だけはちゃんととっていた。



"12月4日 午前中は城の偵察。不審者なし。むしろ自分が不審者だった。ローズ・ソウルの位置は確認できず。本当にあんのかよ。午後はバルト=ガーディンの家に行く。だが行った甲斐なし。双子のガキがいたせいだ。俺のせいじゃない・・・・"



「やっぱり・・・・・・・・」


マーシャは手帳を閉じてポイッと机に投げ、
ため息をつく。


・・・リオナは双子だったんだ・・・・


恐らくリオナはその双子の兄か弟かを連れて城に行ったんだ・・・・そこできっとフェイターに殺されて・・・・・


「・・・・・はぁ・・・。」


これはリオナに教えるべきか否か・・・・
でもきっと今教えたところで記憶が戻るとも思えない・・・むしろ壊れてしまうかもしれない・・・・


そもそも・・・・リオナは記憶を取り戻したいと思わなくなってきている・・・・


「・・・参ったな・・・・」


マーシャは頭を悩ませながら、
空に浮かぶ月を見つめた。


もうすぐ満月。


何も起こらないことを心で祈った。


















朝になると、
リオナはいつも通りに起き、
パジャマを着替えてリビングに向かう。


リビングにはすでにマーシャとムジカとB.B.が朝食を食べていた。


「おはよう・・・。」


「おおリオナ。まだ寝てなくて大丈夫か?」


「リオナどうかしたの・・・?」


「いや・・・・大丈夫だよ。ほら寝癖なおってない。」


リオナはムジカの髪を何度かなでて、隣に座る。


「パン焼くか?」


「んー・・・・・・・あんまりお腹へってないからいいや。」


《なんか顔色わるくね?》


「大丈夫だって・・・・・ほらお前が変なことゆーからムジカが気にするだろ・・・・。」


《オイラだって気にしてるよ!》


「そうだな・・・・。俺顔洗ってくる。」


リオナはそのまま立ち上がり、洗面所に向かう。


そして鏡の前に立ち、
鏡に映る自分の顔をじっと見つめ、
深いため息をつく。


昨日の夢の少年は・・・・確かに自分とそっくりだった。


それにあの黒髪の男・・・・・


あれは記憶の一部なのか・・・・それともただの夢にすぎないのか・・・・・・


実際俺は・・・・どうして記憶をなくしたのか・・・・・・


何度も考えた・・・・・でもそれはやっぱり・・・・・・衝撃的な出来事があったからだ・・・・


そんな記憶・・・・・俺は本当に思い出したいのか・・・・・?
もし思い出したとしても・・・・その後俺は普通でいられるだろうか・・・・・・・・


「ぅっ・・・!!!!・・・・ぐっ・・・・はぁはぁはぁ・・!!」


やばい・・・・・・また発作が・・・・・・・


リオナは壁に手を突きながら急いで薬を取りに部屋に戻ろうとする。



ドンッ!!!!


「あ・・ごめ・・!!リオナ・・!?」


しかしムジカとぶつかり、
リオナはその場で座り込んでしまった。


胸が激しく波打ち、
呼吸が乱れる。


「・・はぁはぁ・・・・ぅっっ・・ぁあ・・・!!」
「ゃ・・・リオナ・・・リオナ!?・・・ど・・・しよ・・・!!」



リオナのぼやける視界にムジカが目に涙をためて自分を見つめてくる姿が見える。



・・・・頼むから・・・・・泣かないで・・・・


その事態にマーシャが気がつき、急いで駆けつけてきた。


「B.B.!リオナの部屋から薬もってこい!」


《お・・・おう・・・!!》


「リオナ・・・リオナ・・・・!!」


「ムジカ大丈夫だから。お前は向こうに・・」
「やだ!ここにいる!」


するとB.B.が勢いよく戻ってきてマーシャに薬を渡す。


「ほらリオナ。薬飲め。」


マーシャはそっとリオナのくちをあけようとする。


するとリオナはうっすらと目を開け、
マーシャをじっと見つめる。


・・・あれ・・・・ここどこだっけ・・・目の前にいるのは・・・・・誰だ・・・・・


マーシャか・・・・?


・・・・・いや・・・・違う・・・・・・・・


コイツは・・・・・


黒髪の・・・あの男・・・!!




「く・・・・くるな・・!!!!」


「・・・・!?」


リオナは思いっきりマーシャの手を払うと、
胸を押さえながらふらつく足取りで後ずさる。


ムジカはあまりの光景に目を見開いたまま立ち尽くしていた。


「リオナ・・・俺はマーシャだ」
「近寄るな!!!!」


「・・リオナ・・・・・」


マーシャは眉間にしわを寄せ、
悲しげにリオナを見つめる。



「・・・・どうして殺したんだ・・・・どうして・・・・・・」


「・・・・え・・・・?」


リオナはまるで何かにとりつかれたように、
声を張り上げる。


「・・・・本当に・・・大好きだったのに・・!!!」


リオナはその場に手を突いて、
泣き始める。


「・・・アイツは・・・・俺の命より大切だったんだ・・・・なのに・・・・・」


マーシャはリオナにそっと近づき、
ギュッと抱きしめる。


「リオナ・・・・・苦しかったんだよな・・・・・」



「・・・マー・・・・・・・シャ・・・・・・・・・?」


するとリオナはまるで取り憑いていたものが抜けたかのようにもとの表情に戻った。


マーシャはほっとしてリオナをぎゅっと抱きしめる。


「・・・・よかった。ほら薬飲め。」


「・・・・ああ・・・・」


リオナは口に薬をいれ、
ゴクンと飲み込む。


するとマーシャは苦笑しながら
リオナに尋ねた。


「俺が・・・誰に見えた?」


「・・・・・・・・・・・?だれにっ・・て・・・?」


・・・リオナのやつ・・・・覚えてないのか・・・?


「いや・・何でもない。」
「もしかして・・・・・俺何か言ってた・・・?」


「・・・・・・・・知りたいか?」


しかしリオナは少し迷った。


・・・・もしかしたら・・・記憶と関係があるかもしれない・・・・でも・・・・今は・・・・・・・・・まだ知りたくない・・・・・。


リオナは小さく首を横に振る。


「なら休め。あとでデヴィスよんでくっから。」


「うん・・・・・」


マーシャに支えられ、リオナは立ち上がると、
ムジカと目があった。


ムジカは目に涙をためて、
体をふるえさせている。


・・・・・ムジカ・・・・ごめんな・・・・


リオナは何も言わずにただムジカの頭をなでて、
部屋に向かった。





「ほれ。ちゃんと布団かぶって。今デヴィス呼んでくる。」


「うん・・・・。」


マーシャが部屋を出ていくと、
ベッドの脇でそぉっとリオナを見ているB.B.がいた。


「B.B.・・・・?」


B.B.はビクッと耳をピンと伸ばし、
急いで部屋を出ようとする。


「待ってB.B.・・・・・・」


《・・・・・?》


「・・・ここにいてよ・・・」


《うん。》


B.B.は少し嬉しそうにリオナのおなかの上に座り、
羽をパタパタさせている。


「なんかさ・・・・・・・・一人になると何か怖くて・・・・・」


《いいよ。オイラもリオナといたいし。》


「へへっ・・・・・やさしいじゃん・・・・・・・」

リオナはそっとB.B.を持ち上げて、
自分の横に寝かせる。


《最近リオナはムジカばっかりでさ。オイラちょっと寂しかったんだ・・・。》


珍しく素直に甘えてくるB.B.に少し驚く。


そうだよな・・・最近はムジカに付きっきりだったから・・・


B.B.も中身はまだ5歳なんだもんな・・・


「ごめん・・・・・・・・じゃあ今日はB.B.と過ごそうかな。」


《そうしてそうして!オイラ今日リオナといるー!!》


B.B.はそう言ってリオナに抱きついた。


リオナも抱き枕のようにB.B.を抱きしめる。


「・・・・・・あったかい・・・・」


そしてそのままゆっくりと目を閉じた。














「じゃあリオナは今落ち着いてるのか?」


マーシャはDr.デヴィスを連れて部屋に戻ってきた。


「一応な。でもいつもより症状がひどいんだ。」


「どんな感じだ?」


「俺を見て、誰かと勘違いしたのかな。近寄るなって叫びだして・・・・・・」


「おまえの言う"失われた記憶"とかいうやつに関係あんのか?」


「うん・・・・まぁ・・・・・。」


「あのなマーシャ・・・そろそろリオナの本当のことを教えてもらわにゃコッチも動くに動けないぜ?俺は医者だ。別にマスターに言ったりはしないよ。」


「わかってるけど・・・・・・これは言えない。とにかくリオナを診てくれ。」


デヴィスはいただけないなと思いながらも、
マーシャの苦しそうな顔を見て、
仕方なく降参する。


「・・・・・たく。わかったよ。でもいつか教えろよ?」


「ああ・・・。」




マーシャとDr.デヴィスがリオナの部屋に向かうと、
リオナの部屋の扉のまえに、
ムジカが小さくうずくまっていた。


「ドクターちょっと待ってて・・・・ムジカどうした?」


マーシャはしゃがんでムジカの顔をのぞくと小さく首を横に振った。


「・・・・・ごめん・・・・・今どくね。」


ムジカはのそのそ立ち上がると、自分の部屋に引っ込んだ。


「・・はぁ・・・・悪かったなドクター。」


「俺はいいけどムジカは大丈夫か?」


「ムジカのやつさ・・・リオナが心配なんだよ。でも何もしてやれないからイライラしてんだよな。きっと。」


「マーシャもご苦労なこった。」


「まぁな・・・もう慣れたけど。」


マーシャは扉を開けて、Dr.デビスをリオナの部屋に入れる。


「さぁーて診察にきたぞリオナ〜・・・・って・・・」


「どうしたデヴィス?」


「いや・・リオナのやつぐっすり寝てるからさ。B.B.と。」


「ははっ・・・ホントだ。寝顔可愛いだろ?襲っちまいたい。」


「ああ。マーシャのもろタイプだな。」


「あたり。」


「おいおい、冗談に聞こえないからやめろ。」


「だって冗談じゃないもん。」


「ったく・・・・だからリオナに嫌がられるんだよ。」


デヴィスはリオナを起こさないように顔色と呼吸の乱れがないかを確かめて、
スーツケースから薬をいくつか出す。


「これ精神安定剤と睡眠薬。精神安定剤はそんなに強い薬じゃないから朝昼晩絶対飲ませろ。これは一週間分だしとく。睡眠薬は夜寝る前に飲ませろ。これは一応三日分渡しとくから。」


「わかった。もしそれ以上必要になったら?」


「そしたら新薬を渡す。今研究中だから来週にでも渡せるよ。」


「わかった。悪かったなわざわざ。」


「いーえー。リオナのことは小さい頃からみてやってるから心配でよ。・・・・あぁそうだマーシャ・・・」


デヴィスは少しマーシャに近づき、
小さく耳打ちする。


「マスターが今週帰ってくるらしいぜ?」


「・・・!!・・・まじかよ・・・・ついにか・・・・」


「まぁお前らなら実績があるからそんなに厳しい処罰はないとは思うがな・・・。そんじゃお大事に。また何かあったら呼べよ。」


「おう。助かった。」


それからしばらくしてマーシャはリオナの掛け布団をそっと直し、
今度はムジカの部屋へ向かう。


・・・まったく・・・俺はいつからこんなに世話を焼くようになったんだ・・・?


そんなことを思いながらも
内心嫌ではないマーシャだった。




「ムージーカーちゃーん?あーそびーましょー?」


マーシャはそっと部屋にはいると、ムジカはぎょっとした顔をしてマーシャを見つめた。


「なんだよその顔。俺はお前のことを思って恥ずかしさを捨ててやったんだぞ?感謝してほしいものだね。」


マーシャの偉そうな態度に多少嫌そうな顔をしながらも、
ムジカは小声で礼を言う。


「・・・・・・。ありがとう。」


「いーえー。さて、次はお前の問題を解決しなきゃな。」


「・・・・・・リオナは・・・?」


「大丈夫だよ。まぁ一週間様子みって感じかな。」


するとムジカは今まで我慢してたのか、
目からボロボロ涙が溢れ出してきた。


「・・・よがっだ・・・グスッ・・・・!!」


「ははっ!泣くなって。お前が泣くとリオナが悲しむぞ?」


ムジカはそうだよねと言いながらも泣き続ける。


見るに見かねたマーシャは
仕方なく、
ムジカをちょっとだけ抱きしめてやった。


リオナに殴られるの覚悟で。


別に下心なんてないけどさ。


「あっムジカ。ムジカがリオナにしてやれることがある。」
「何!!?」


ムジカは一気に泣き止んで、
むしろマーシャにつかみかかる。


「あ・・・あのな、そんなに張り切らなくていんだけどよぉ・・・リオナのそばにいるだけでいいんだ。」


「それだけでいいの?」


「そうそれだけ。でも不安な顔はしちゃだめ。わかった?」


すると今度はムジカが思いっきりマーシャに抱きついた。


「マーシャありがとう・・・!!!」


「わお・・・・・・これリオナにマジで殴られんな・・。」


そう言いながらも、
リオナの怒った顔が見たいかもと、内心ドキドキしていたマーシャだった。


















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