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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
story28 クリスマスの贈り物







12月25日





結局リオナはムジカに何も告げられず、
昼間になっても部屋でただゴロゴロしていた。



《なぁリオナみてみて!!》


「・・・・・・・」


《おい聞いてるか!?おーい!!》


「・・・・・・聞いてるっての。何だよ。」


《ジャジャーン!!!》


B.B.は自慢げにリオナにあるモノを見せつける。


「・・・・・・・・・。」


《どう!?》


「・・・・・・・いいパンツだな。」


《パンツじゃないし!!帽子だし!!!》


「・・・・・・・・・・・へぇ。誰にやるの。」


《ムジカだよ。リオナになんかやらないよぉだ!!》


「・・・・・・そんなパンツいらないし。」
《パンツじゃないっての!!!!》


すると突然部屋のドアが開き、
マーシャが入ってきた。


しかもすごく笑顔。


ということはすごく怒ってるということだ。


・・・・きっとムジカに言わなかったことがバレたんだ・・・


「・・・は・・・・ははははマーシャ・・・」
「どうもリオナ君。さて、どーゆーことか聞かせてもらおうかな。」


マーシャはベッドからリオナを引き起こし、顔を近づける。


その表情は笑っているのに笑ってない。


「ちが・・・・ちがうんだよ・・・だってムジ」
「コールが誘ったんだよ。」
「・・・・・・・は?」


まさか。


だってあれは俺の妄想のはず。


「だからコールがムジカをダンスに誘ったんだよ!」


「・・・・・・・・うそ」


やっとことの重大さを理解したリオナは顔を真っ青にしてマーシャの肩をつかんだ。


「・・・それで!?ムジカは!?」


「アイツ断り方しらねぇから受けちまったよ。」


「・・・・・・・うわ・・・。」


最悪の展開だ・・・・・・。


しかもやっぱりコールのやつムジカが好きなんだ・・・・。


「ったく・・・リオナのバカ。」
「・・・・いわないで。」
「バカバカ。」
「・・・わかってる。」
「大バカめ。」
「・・・・うぅ・・・・泣くよ。」
「勝手に泣け。」
「・・・・・・・・冷たい。少しは慰めろよ・・・。」
「いいよ?慰めてあげよっか。だったムジカじゃなくて俺にしときなよ。」
「・・・・は?何の話だ。」
「別にぃ〜。ま、せいぜいコールとムジカの楽しそうな姿を見て泣きわめけばいい。」


・・・結構シビアなことをおっしゃる・・・・


マーシャはリオナに舌を出すと部屋を出ていこうとする。


《あっ!!ちょっとマーシャ!!どうよこれ!!》


「んあ?これ?」


《そうこれ!!》


「いいパンツだな。」


《・・・・だからパンツじゃないっての・・・》


「そこにいる腰抜けにお似合いだ。」


「・・・・・・・何とでも言えよ。」


どーせ俺は腰抜けさ・・・・。


一人の女を誘うこともできないへなちょこだよ・・・・。


リオナは再びベッドに横になり、
コールとムジカが踊る姿を思い浮かべながら
ただただその時間がくるのを待つだけだった。










部屋から出たマーシャは深いため息をついた。


何だろうか、このモヤモヤした気持ちは。


リオナの初恋なんだから、全力で応援してやらなきゃいけないのに。


後押しする度に後悔のような、なんだろう、
寂しい気分になるんだ。


「・・・・親の気持ちってやつかな。」


どうやら俺は相当リオナに依存していたらしい。


この頃はまだ、気がついてなかったんだ。


自分の本当の気持ちに。

















「ムジカ〜?着れた?」


「うーん・・・後ろのファスナーに手が届かない・・・」


夕方、ムジカはドレスの着方がわからないため、
ユリスの部屋にきていた。


「あら。私がしめてあげるっ。」


そう言ってユリスはムジカの背中に回る。


淡いピンクのドレスは、
ムジカの薄い黄色の髪にぴったり合っていた。


「はいできた!!やだかーわーいー!!!」


「ありがとうユリス。」


ムジカは少し照れたように笑った。


「じゃあ次髪やろっか。」


「えっいいの?」


「もちろん!かわいい妹のためよ。」


「じゃあ・・お願いしようかな。」


「おっけい!ここに座って♪」


そう言ってユリスはムジカの髪を結んでいく。


ユリスのなれた手つきにムジカは興味津々に鏡を見つめた。


「でもムジカもよくコールの誘いを受けたわね。」


「断り方がわからなかったの。」


「そうだったの?まぁコールはねらったモノは逃がさないからね。」


「なんかちょっと怖いな・・・・。」


昨日はいい人だと思ったんだけど・・・
なんだか急に怖くなってきた。


「大丈夫!何かあったら私を呼びなさい!!私がぶっ飛ばしてあげる!」


「あははっ!なんか勇気がでた。」


「あっでも先にマーシャが飛んでくるかも。マーシャったらムジカのこと我が子みたいに思っててね。あんなのが父親だなんてイヤよねぇ。」


「マーシャが父親かぁ。じゃあリオナは何だろう。」


「そうねぇ。リッチャンはお兄さんってとこかしら。メチャクチャ過保護のね。あっB.B.はペットね。」


「でも・・・そんな家族だったらいいなぁ。」


おそらく幸せだっただろう。


「はいできた!!」


ぼんやりしているうちに
あっというまにできあがっていた。


「・・・うわぁ!すごい!!」


ムジカの長い髪は、
綺麗に上で束ねられ、
キラキラと輝く髪留めが色を添えている。


「ありがとう!!」


「どーいたしまして!さて、コールとの待ち合わせは何時?」


「えっと・・・6時。」


ユリスが時計をみると、
時計の針はすでに5:55をまわっていた。


「6時!?もうじゃない!!はいこれ羽織って!!」


「変じゃない?」


「大丈夫!かわいいわよ!ほら行っておいで!」


「うん!じゃあまた後でね!!」


ムジカは頬を赤らめながらユリスの部屋を飛び出した。


・・・急がないと。


でも・・・何話せばいいのかな・・・


不安を抱えながらも一階につけばもうそれどころではなくなった。


ムジカは顔を真っ青にする。


・・・待ち合わせ場所・・・どこだっけ・・・


緊張しすぎてわすれっちゃたよ・・・


しかも人いっぱい・・。


怖いな・・・・。


しかしムジカは勇気を出して、
人ごみに足を踏み入れる。




『・・・この子・・・噂の悪魔の・・・』
『ほんとだ・・・うわっ翼がある・・・怖ぇ・・・』
『いっつもリオナ君といるのに今日はいないんだぁ。』
『ってことはリオナ君フリーじゃない!?ダンスに誘おっかなぁ!』




・・・・・・・



ムジカは人と目が合わないように下を向いて歩く。


誰の声も聞こえないように少し小走りをした。


ドンッ!!!


「あ・・・!」


その瞬間
人とぶつかり、ムジカはバランスを崩した。


が、すぐに一本の手に受け止められた。


「ム・・・ムジカじゃん・・・!」


「コール・・・!ごめんね大丈夫!?」


「・・・お・・・ぉぉ俺は平気だ・・・!!お前こそ大丈夫かよ!?」


心配してくれてるのはわかるが、
顔が怖い。


「大丈夫・・。ありがとう。」


「お・・・おう・・・・じゃあ行くか。」


「うん。」


コールに腕を差し出され、
ムジカはそっと腕を通す。


「・・・・・・」
「・・・・・」


何を・・・・話せばいいのかな。


ムジカはどぎまぎしながらコールを見る。


「・・!?な・・・なんだよ・・!!」
「・・・!!!いっ・・・!!いえっ!!!何でもないですよっ・・!?」


こ・・・・・怖い・・・・・


ムジカは今にも涙があふれるんじゃないかというくらい怯えていた。


「あ・・・あのよぉ・・・!!今日は・・・あああぁ・・ありがとな・・・!!」


「!?・・・い・・・いえこちらこそです・・・!!」


ぎこちない会話に二人は思わず笑顔になる。


「リオナのやつ・・・俺のこと何か言ってただろ?」


「え・・・・・」


そう言えば、

¨アイツには気をつけろ¨

って言ってたな・・・


でも本人には言えないし・・・


「・・・・・何にも言ってないよ・・?」


「・・・ははっ!!ムジカはまだまだだなぁ!!」


「!?!?」


「バレバレだっての!!まぁいいけどよ!!ばぁはは!!」


「・・・・!!」


顔にでちゃったかな・・!
私のバカ・・!


でも・・・なんだか楽しいな・・・こーゆーふうにはなせて・・。


「・・?どーしたムジカ?なにニヤニヤしてやがる。」


「い・・・いや別に何にも・・・!!」


でもやっぱり顔が怖い・・・・


喜んだりビクビクしたりと忙しいムジカだった。


















"マーシャ!!ねぇ見てみて!!子猫可愛いでしょ!トラ婆がかっていいって!!名前何にしよっか?また変な名前はやめてよね。・・・そうだなぁ〜・・・・私とマーシャの名前とってマモちゃんは!?ねぇ聞いてる??おーいマーシャ?おーい・・"







「・・・・!!やべぇ・・・ボォーとしてた・・・。」


マーシャはエレベーターの中で思わず昔の思い出に耽っていた。


気合いを入れ直して一発頬を殴ると、
エレベーターが100階についたのを知らせ、
急いで降りる。


するとルナのいる部屋の扉の前にメイドたちが四人立ち並び、
マーシャに向けて深々と頭を下げてきた。


「ルナは?」


「はい。すでに準備ができております。」


「悪かったな。お前らも準備しな。」


「はい。失礼します。」


メイドたちは二列になってその場を離れていく。


マーシャは扉の前にたち、
ネクタイを締め直した。


「・・・よし。」


そして一気に扉を開ける。



季節は冬だというのにこの部屋だけは緑が生い茂って暖かい。


部屋の中央に目をやると、
いつになく多くの蝶に囲まれているルナが座っていた。


「よぉルナ。」


マーシャはルナの元へ行くと、
ルナはとても心配そうな顔でマーシャを見上げた。


「・・・マーシャ・・・・私本当にあなたと行って」
「いいの。俺が決めたんだから・・・お前は俺の言うことだけ聞けばいいんだよ。」


「・・・でも・・・・・・」


「いいんだよ。・・・俺も年がら年中お前のこと恨んでんのも疲れてきたんだよ。まったく年かねぇ。」


マーシャは少し顔を赤くしながら目をそらした。


「・・・ありがとう・・・・」


「・・・っま、クリスマスなんだから楽しもうぜ。ほら、行くぞ。」


「・・・はい・・・・!」


ルナは初めは少し戸惑っていたが、
やはりうれしかったのだろう。

頬を赤く染めながら小さく微笑んだ。


「あと・・・」


マーシャはルナの手を引いたまま
歩く足を止める。


「・・・そのドレス・・・似合うな。」


・・・こんなこと言うなんてな・・・


10年前の俺が聞いたら殴られるな・・・・。


「・・・どんな色をしてるの・・・・?」


「きれいなバラみたいな赤だ。」


「・・・そう・・・よかった・・・」


「何だと思ったんだ?」


「・・・根が暗いから・・・・黒とか・・・・ってメイドさんたちが言ってたわ・・・」


「それひどいな。ルナは静かなだけだ。今度メイドをしめとかなきゃな。」


「・・・マーシャ・・・」
「ははっ冗談だって。」




・・・ずっと・・・ずっと恨んでた・・・・・・




殺したくて・・・・ルナの苦しむ顔がみたくて・・・・・・・
今までダーク・ホームの人間として生きてきた・・・・



でも・・・・・いつもルナを殺せないでいた・・・・



・・・今日こそは・・・今日こそは殺してやるとルナの前に立っても・・・・・



今まで一度も殺せなかった・・・・



しかも自分の心にしこりのようにあった恨みも・・・・時が過ぎるに連れて小さくなった気がする・・・・・



・・・・それはきっと・・・リオナの近くにいたから・・・・・・
少しは性格が丸くなったのかもしれない・・・・・・


リオナ・・・・俺はお前と出会えて、変わった気がする。


だからお前には幸せになって欲しい。


そのためなら、俺は、何だってするさ。


自分の気持ちを押し殺してでも。



















午後7:00



誰もが待ち望んでいたクリスマス・ダンスパーティーが始まった。



会場は夜会が開かれる裏庭のホール。



豪華な料理に、中央には巨大なケーキ。



誰もが楽しそうに歓声を上げ、曲がとめどなく流れては男女は踊り出した。



そんな楽しいクリスマスに一人暗い男が。



《なぁリオナ。なんか機嫌悪くない?》


「・・・・別に。機嫌が悪いんじゃなくて気分が悪いの。」


《・・・それ結局機嫌が悪いってことじゃん。》


「・・・・・。」


二人はベランダの柵に寄りかかりながら中の様子をただただ眺めていた。


リオナだけが早くパーティーが終わることを祈っていた。


《そういやマーシャは?》


「・・・ルナと踊ってる。ほら・・。」

今の時間は
スペシャルマスターたちのダンスタイムで、
誰もがあこがれの目を向ける中、
中央でスペシャルマスターとその相手が踊っていた。




ベンの相手はなかなか可愛らしい、でも大人びた女性。


ラードの相手は最近ダーク・ホームで有名なロック少女で、派手さ具合がラードにぴったりだ。


ユリスはもちろんおなじみのダーリン(58人目)だ。
先週見た彼はきっと振られたのだろう。


そしてマーシャはルナ。
ほかの三人のダンスも個性的だが、
マーシャのダンスはかなり強引にルナを振り回してる気がする。
まるでルナが人形になったかのようにも思えて仕方がない。




《あーオイラもルナと踊りたーい!!マーシャにとられたぁ!!》


「・・・お前本気でルナのこと好きだったのか?」


《うん。少なくともマーシャよりはな!!》


確かに・・・・マーシャは昔から・・・別に理由はないけど
なんとなくルナの事を嫌ってそうだった。


最近はそんなことはないけれど。


「・・・マーシャも年か・・・」


《だってもし不老じゃなかったら32歳だぜ!?おっさんもいいとこだ!!犯罪だよあの組み合わせ!!》


「お前もな。」


スペシャルマスターたちのダンスが終わり、
全員のダンスタイムが始まる。


リオナは無意識にムジカの姿を探していた。


「・・・いた・・・・」


《何が?》


「ムジカ。」


《あっホントだ。あ〜あ、顔がめっちゃこわばってるよ。》


「ははっ・・ホントだ・・。」


なんか・・・少しホットした・・・。


だってもし楽しそうにしてたら・・・・・・なんか嫌だ。



《あっマーシャとルナ!!》


「よぉ二人とも。」


「・・・・どーも。」


マーシャはルナを連れてリオナ達の元にきた。


マーシャは少し気まずそうにリオナに近寄ると、
そっとリオナの頭をなでる。


「さっきは・・・・悪かった。あんな言い方してよ。」


「いいよ。本当のことだしさ。」


二人はムジカとコールの踊る姿を見た。


コールは柄にもなく顔を赤く染めている。


似合わないよバーカ。


「似合わねぇんだよバーカ。」


「・・・それ俺も今思った!」


「だろ?あんなヤツにムジカとられてよぉ、なんか悔しくてさ。ムジカにはリオナだけいりゃあいいんだよ。」


「なんか照れるな・・・・」



するとB.B.からの猛烈アタックにちょっと疲れを感じていたルナがリオナたちの方に逃げてきた。


「・・大丈夫ルナ?・・・おいB.B.・・・いい加減にしないと耳引っこ抜くぞ・・・」


「・・・・・・・・私は大丈夫・・・・・・・・リオナはなにかあったの・・・?」


「い・・・・いや俺は・・・」
「ムジカに恋してんだ。」
「マーシャ!!」
「嘘はいけない。嘘は。」
「マーシャに言われたくない!」


「・・・・・・・うふふっ・・・・・やっぱり・・・・」


「えっ・・・・知ってたのか!?」


「・・・だって最近ムジカの話になると楽しそうだから・・・・」


一気に顔が熱くなった。


俺も顔にでやすいのかも・・・




「あっリオナ君ハッケーン!!」


すると突然ホールの方から名前を呼ばれた。


その声は・・・・・・・・・・・・・・・


「コロナか。リオナもホントについてねぇよなぁ。」


「ははは・・・・・・・。」


コロナはリオナに飛びつくと嬉しそうに歓声を上げた。


「ねぇ一緒に踊ろ!!」


「・・・・ごめん今は・・・」


「ぇえ-!!もしかして他の女と!?」


「違う・・・ただなんとなく・・・」


「じゃあいつ踊ってくれる?」


強気のコロナに少しイラつくが、
平常心を保とうと必死に押さえる。


「悪いけど・・・・踊りたい気分じゃない・・・。」


するとコロナは怒ったように頬を膨らませるが、
すぐにしょんぼりして悲しそうな目をした。


「なら・・・しょうがないよね・・・・じゃあまた今度ね・・・。」


「悪いな・・・・。」


コロナはくるっと回って
早速ほかの男を捜しに回った。


「女っておっかねーな。なぁルナ?」


「・・・あら・・・・そんな女をもてあそぶのは誰かしら・・・・?」


「・・・・。よし。踊りにいこう。」


《あっ!!マーシャがごまかした!!》


「うるせぇ黒豚。あっそんなこと言ったら黒豚に失礼だな。悪かった。行くぞルナ。」


そう言って
マーシャとルナは再び踊りに行った。


《ぶ・・・・・ぶた・・・だと!?ひどくないか!!なぁリオナ!!》


「うるさい黒豚。」


《・・・・・・・・・・・》


















その頃、ムジカはコールと踊りながら話をしていた。


といってもコールが一方的にだが。


「・・・でよ、それでこの曲は俺のオキニってわけ。」


「・・・・・あ〜うん・・・・。」


しかしムジカはさっきから空返事ばかり。


「って聞いてるかムジカ・・・?」


「えっ・・・ああごめん・・・!!な・・・何だっけ・・・!!」


「・・・・・・。」


コールはムジカがみていた方に目をやる。



そこにはリオナの姿があった。


一人でぼんやり庭を眺め、
ウサギがうるさく上を飛び回っていた。


「・・・・コール?」
「行ってこい。」
「・・・・え?」
「アイツが気になるんだろ?行ってこいよ。」
「でもコールは」
「俺はいいから。」


コールはムジカをくるりと回し、
ムジカの背中をぽんと押してやる。


「いいから行きな。」


「コール・・・・」


「ほら早く!」


「・・・・・。・・・ごめんねコール・・・!!」


ムジカは何度かコールを振り返りながらリオナの元へ走っていった。


「・・・はぁ。これでいままでイジメた分はチャラだぜ、リオナ=ヴァンズマン。それに・・・・」


コールはムジカから隠れて取ったピアスにキスをして、
小さく笑う。


「ムジカは絶対俺のものにしてやる。」



















「リオナ・・・・!!」


「うるさいぞB.B.・・・いい加減黙れ。」


「リオナ・・・?」


「だから何回言えば・・・」


リオナは勢いよく振り返ると、
なぜかそこにはムジカがいた。


横にはコールはいない。


「なんでここにいるの・・?」


「えっ・・・・いや・・・・・その・・・・・」


「まさか逃げてきたのか?ダメだってそんなことしちゃ。」


「ち・・・・違うよ・・!!!私・・・リオナと踊りたかったから・・・。」


「・・・・・え・・・・・」


まさかの言葉にリオナは口をぽかんと開けてしまう。


「コールが行ってこいって行ってくれたんだけど・・・・・・・・・で・・・でもダメだよね・・!!私何やってるんだろう・・・・!!ご・・・ごめんねリオナ・・!!」


ムジカはそのまま背中を向けてホールに戻ろうとした。


「ま・・・・待てよムジカ!!」


すぐにリオナがグッとムジカの手をつかんだ。


「・・・・・・・・?」


「ちょっと・・・・こっちきて。」


そう言われてムジカはおそるおそるリオナに近寄っていく。


するとリオナは顔を赤くしながら下に向けていた顔を少しだけ上げる。


「うれしい・・・・・・ありがと・・。」


「・・・!!・・・ううん・・・!!」


「あと・・・・」


リオナは掌からポンと音を立ててプレゼントをだした。


「す・・・すごい・・!!もう一回みたいな・・・!」


「一回だけ。これ・・・・クリスマスプレゼント。」


「えっ・・・くれるの?」


「うん。」


リオナは照れながら頭をかく。


「開けていい?」


「いいよ。」


ムジカは目を輝かせながらプレゼントの包み紙を開けていく。



「あっ・・手袋だ!!」


薄いピンク色のふわふわした手袋は、
どこかムジカに似ていた。


「ごめん大したものやれなくて・・・」
「ううん!すごくうれしい・・・・!!すごく・・・」


そのままムジカは手袋を抱きしめ、
目をつむる。


「・・・すごく暖かい・・・。」


ムジカをみてると・・・
なんだか胸が締め付けられるような・・・そんな想いがこみ上げてくる・・・・。


「・・・ムジカさ・・・雪で遊ぶのに手袋ないとただれると思ってさ・・・。」


「ありがとう・・!!うれしいなぁ・・!」


人に喜ばれて・・・こんなに幸せだと思えたのは初めてかもしれない。


「あっ・・・・!!!」


「・・・・・どうした?」


ムジカは突然声を上げると
だんだんと顔が悲しそうな表情になっていった。


「私・・・・プレゼント用意してない・・・・・・・・」


「・・・・え?」


何だよ・・・それだけのことで・・・・


「・・・いいよ。そんなのいらないし。」


「で・・・でも・・・・」


「ムジカが来てくれただけですごいうれしかった。ありがとう。」


優しく笑いかけると、
ムジカもいつものようにあどけなく笑った。


「じゃあさ・・・・ムジカからもう一個プレゼント欲しいんだけどさ・・・」


「・・・・・?」


リオナはムジカの前でひざまずいて、
ムジカの手を取りそっとキスを落とす。


「・・・俺と踊ってくれますか?」


こんな簡単な言葉を・・・・なんで言えなかったんだろうな。


「はい。喜んで。」


でも・・・・それって・・・・相手のことをすごく想ってるからこそ言えなかったんだと思うんだ・・・



言い訳かもしれないけど。





でもこれでわかった。





俺はムジカが好きだ。





抱いているのは友情じゃなくて愛情。






たとえ仲間の誰かがムジカを好きになったとしても・・・・・















絶対に誰にも渡さない。

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あきゅろす。
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