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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
story16 証




新しい強化メニューを始めて早1ヶ月半。


季節は夏から秋に変わり、
トレーニングに向いている季節がやってきた。


しかしリオナは一向に変化が見られない。


毎日朝から夜までしっかりみっちりやっているのにも関わらずだ。


― 俺の教え方が悪いのか・・・?


さすがのマーシャも責任を感じずにはいられず、
ついついため息が漏れる。


そのため息をリオナは敏感に聞きつけ、
申し訳なさそうにチラチラとマーシャを見ていた。


― ・・・・ああ!!俺のバカ!!なにため息ついてんだよ!!


マーシャは自分に気合いを入れ直すため、
大きく両腕を広げ、
思いっきり自分の顔を叩こうとする。


が、

誰かに両腕を捕まれ、
不発に終わった。



「あんまり叩くと腫れるぞ。」


「・・・・シキか。珍しいな、お前がトレーニングルームにいるなんて。」


シキのジャージ姿をマーシャは物珍しそうに上から下まで見る。


「俺だってたまにはトレーニングしないとね。それにシュナにもつきあってあげなきゃかわいそうだろ?・・・・・・・・・・・・リオナは大分苦戦してるみたいだね。」


「まぁな・・・・・。」


いつになく気力のないマーシャをシキは心配そうに見つめる。


「あんまり気負いするなよ。なんかマーシャらしくないし。」


「別に気負いなんてこれっぽっちもしてませーん。」


嘘つけ。このボサボサ頭!
と、シキは小声で悪態をつく。


「・・・・・たく。・・・・原因とかわからないのか?」


「はい?」


「だからできない原因!」


「ああ・・原因ね。原因は・・・・」


二人はリオナとB.B.に目線を移した。





リオナは体に入ったB.B.と力を調整するために、
トランプを持ったまま目をつむり、
集中している。


二人の力が合わさるほど、
リオナの周りに黒い風が取り巻いていく。


ここまでは完璧。


ここまでは・・・。




すると急に取り巻く黒風の激しさが増し、
視界を妨げる。


そして黒風は一気に爆発し、
目の前からなくなった。


残されたのは
傷だらけのリオナと、
粉々になったトランプだけ。


あたりを見渡すと、
床一面トランプのくずだらけだ。







「あれで10000セット目。」


「・・・・経費から引いとくよ。」


マーシャとシキはすでに笑えない状況にまで追いやられた。



リオナは床に座り込み、
何も言わずに思いっきり床を叩く。


部屋中に鈍い音が響き渡る。


すると体からB.B.が抜け出て、
リオナの顔面に怒鳴りつけた。


《おいリオナ!!!!何回言ったらわかるのだ!!オイラの力と合わさってないのだ!?もっと気張れ!!》


「・・・・・わかってる。」


《わかってないじゃん!オイラは一定にたもってやってんだ!!お前が合わせなきゃ始まんないのだ!!》


「わかってる・・・・・・・!」


リオナは目の前のB.B.を睨みつける。


《なんなのだその目は!?だいたいこんだけやっても力がぶれてたらオイラとはやってけないぜ!?》


「・・・・・・・」


《しかもいつもわかってるっていいながら全然成長しないじゃないかよ!!》


「・・・・・・」


《あーあ!オイラもっと強い奴が来るまで待てばよかった!!》


「・・・・・・」








「・・・・あ。やばい。」


マーシャが急に立ち上がる。


「?どうしたの?」


「リオナがキレる。」


そう言ってマーシャは二人の間に入っていく。


「はいそこまでぇ。二人ともさ、ここはいったん頭を冷やして休憩・・・・・・ぐはっ!!!」


リオナに思いっきりはじかれたマーシャは、
すぐにシキのもとまで滑って戻ってきた。






リオナは今までに見たことのないくらい怒りに満ちた目をしている。


《や・・・やるか!?やるのか!?いいぞどっからでもきやがれ!!!》


B.B.もまさかここまで怒るとは思ってなかったらしく、
少し戸惑いながらリオナに拳を向けた。


「・・・好きにすれば。」


《は!?》


「・・・もっと強い奴と組みたいなら組めばいい。お前なら契約取り消すくらいできるだろ。」


リオナはたんたんと告げると
トレーニングルームを出て行ってしまった。


《おいちょっと!!ああもう!!》


B.B.は何をどうしたいのか、理由もなく部屋中をぶんぶん飛び回りはじめたのだった。





「マーシャ大丈夫か?」


「お・・・おう。」


マーシャはシキの肩を借りて立ち上がった。


「リオナの力とB.B.の力のバランスがうまくとれてないのか。」


「そうなんだよ。でもB.B.の力には追いついてきてるんだけど。」


「さっき見てた限りではリオナの力は確実に以前よりも強くなってるね。」


「まぁな。だから出来ないことはないとは思うんだけど。」


マーシャは思いっきりため息をつく。


「・・・・やっぱりこれは習得しておくべきものなのか?」


シキは外していたメガネをかけ直しながらつぶやく。


「ああ。この技は何が何でもやっておかなきゃならない。最近では魔族の戦い方が通用しなくなってきたからな。」


「対魔術武器ってやつか。」


「そうそれ。どっかのバカがそんなもん作っちまうから俺たちの呪文魔法は今じゃただの芸の一つでしかなくなっちまった。まぁ、もう魔族なんて滅んだも同然だからもしかしたら10年くらいしたら対魔術武器もなくなるかもしれないがな。今はとにかくあの2人を何とかしなくちゃ。」


「そうだな。まぁB.B.はいいとして、今はリオナだな。あんなに怒ってるリオナ初めてみた。」


「俺もだよ。普段静かなやつが怒ると怖いな。リオナはいつも我慢してB.B.になーんにも言わねぇからよぉ・・・・てかお前シュナほっといていいのか?」


「ああ!!!しまった!!!俺としたことが!!わるい俺行くな!!じゃあまたな!!」


シキはものすごいスピードでトレーニングルームをでていった。


「あははっ。」


マーシャは少し苦笑すると、
思い切りジャンプして飛び回るB.B.を捕まえた。


《ふぎゃ!!》


「はいココに座る。」


《・・・・・・》


B.B.は珍しく何も文句を言わずにマーシャの前に座った。


「まぁ・・・・俺の言いたいことはわかるだろ?」


B.B.は落ち着かない様子で羽をバタバタさせる。


《・・オイラもあんなに言うつもりはなかったんだ・・・》


「わかるよ。つい口が滑ったんだろ。」


《そう!それ!!》


「でもお前いっつも一言多いんだよ。今日なんか全部だな。」


《だから悪かったって思ってる・・・。しかもあんなに怒ると思わなかったし・・・。》


B.B.は少し落ち込んでいるのか耳をしょんぼりさせている。


― 動物ってわかりやすい。


思わずマーシャは笑いそうになる。


《リオナが頑張ってるのはわかるけど、オイラもどうすればいいかわからないんだよ。》


「俺さ、思うんだけど、リオナの力量はB.B.に足りてるんだけど、お互いの波長がずれてる気がするんだよねぇ。」


《え?じゃあなにさ原因は。》


「そーれーはぁ。こーこ。」


マーシャはB.B.の胸を指差す。


《ここ?》


「そう。おまえらの心だ。最近ずっとケンカばかりだろ?それに比例するように二人の力の波長の重なり方も悪化してきてる。」


《てことは?》


「だからお互いにもっと相手をわかってやるんだよ。これ人間界風に言うと思いやりの心だ。」


《へぇ。なんだか難しいな。》


「難しくない。ただお前の本心をリオナに優しく言うだけでいいんだ。それでお前もリオナの本心を聞いてやるんだよ。」


《本心・・・・》


「ほら、お前いつも強がってっけどさ、本当はリオナに無理矢理契約させたこと悪かったって思ってんだろ?」


《そ・・・・そんなこと思ってないぞ!オイラは・・!》
「はいはい。それを強がりって言うの。」


《むぅ・・・・・・・》


「とにかくだ、今やるべきことは、わかるだろ?」


B.B.は頭を抑えながら、マーシャの回りをぐるぐる回り、
もう一度マーシャの前に座る。


《・・・リオナに謝る。》


「ピンポンピンポーン。善は急げだ。早く行け。場所は恐らく・・・・」



















「・・・・・・・リオナ・・・・・・・?・・・・・・・こんなところでどうしたの・・・・・・・・・・?」


ルナは部屋の草村に寝転がるリオナに手探りに近づいた。


いつのまに入ってきたのだろうか。
ルナは少し驚きながら草村に腰を下ろす。


「・・・・・・・疲れた。」


リオナは瞑っていた目をあけ、空に向かってため息をつく。


「・・・またB.B.とケンカ・・・・?」


「まぁ・・・・・そんな感じ。でもそれも今日で終わりかも。」


「・・・・・どうして・・・・・?」


「俺が弱いから。」


「・・・・・リオナ・・・・・」


ルナはそっとリオナの頭をなでる。


「契約破棄だよきっと。B.B.は強いから・・・。」


リオナは体を起こし、
体中にできた傷を見る。


「なんでかな。頑張ってるつもりなのに。あ・・・・・、つもりだけじゃだめか・・・。」


再びリオナは寝転がり、
空に流れる雲を目で追いかける。


「・・・・悲しいの・・・・・・?」


「ううん。悲しくない。ただ・・・・」


空に向けて手を伸ばし、
強く拳を握りしめる。


「悔しいだけ。」


するとルナはなぜかクスクス笑い出した。


「・・・・そう・・・・・・ならよかった。」


「・・なんで?そこ笑うトコじゃないから。」


「・・・違うの・・・・リオナがそんな風に感情を出すの久しぶりにみた気がして・・・・ふふっ・・。」


「・・・・・・・・・俺・・・・そんなに無表情?」


「・・・最近ね・・・。・・あ・・・・マーシャに似てきたかも・・・・・」


マーシャという言葉に思わず飛び起きる。


「どこが!?」


「・・・・・面倒くさがり屋なところ・・・かな・・・・」


「・・俺全っ然面倒くさがり屋じゃないよ!?」


「・・・ほら・・・・怒るのも面倒くさいでしょう・・・・?」


「あ・・・・・・・。」


確かにさっき、
B.B.を叩きつけたかったが、
やらなかった。


やはり面倒くさかったからかもしれない。


「・・それやばいよね。マーシャはまずいよ・・・気をつけなきゃ。」


「そうね・・・・・・。」







がちゃ・・・・



すると扉の開く音がして、
2人は音がした方を見る。



小さすぎて分からなかったが
だんだんと近づくにつれて姿形がはっきりしてきた。


マーシャとB.B.だ。


リオナは思わずB.B.に冷たい視線を送り、目を背ける。


それに気づいたB.B.は、
少し耳をしょんぼりさせてマーシャの後ろに隠れた。


― やっぱりおもしれぇ。


マーシャはB.B.の気持ちをよそに、
心でケラケラ笑った。




リオナとルナの前まで来ると、
マーシャは後ろに隠れるB.B.をつまんでリオナの前に突き出した。


「ほれ。ちゃんと二人で話なさい。」


「・・・なんで?はなすことないし。」


リオナのあっさりした返事に
B.B.はさらに耳をたらす。


「まぁそう言うなって。B.B.が話したいんだってさ。」


「・・・・・・・・・・。」


リオナはB.B.を品定めするような目で見る。


「・・・・マーシャも一緒ならいいよ。」


「俺がいたらダメなの。二人だけで話なさい。」


「・・・・・・・・・。」


「まぁちょっとは聞いてやってよ。少し反省したみたいだからさ。」


そう言ってマーシャはルナを抱えると部屋の奥に向かって歩き出した。


マーシャは歩きながら
独りごとのように呟く。


「・・・・・・俺はいつからこんなに親っぽくなったんだろ。」


「・・・・・・・・・・さぁ・・・・・・・・」


「言っとくがお前といるのは二人の話し合いのためだからな。」


「・・・・・わかってます・・・・・」


そんなことを呟きながら、
マーシャとルナは奥の方へ消えていった。







「・・・・・・・・・・。」


《・・・・・・・・・。》


沈黙が続く。


しかもリオナは一向にB.B.を見ようとしない。


《・・・・・・さっきは悪かったよ。ゴメン。》


「・・・・・・・・・。」


沈黙を先に破ったのはB.B.。


しかしリオナはそのまま。


《あんなに言うつもりはなかったのだ。ほ・・・ほらオイラいつも憎まれ口ばっか叩いてるだろ!?》


「・・・・・・・。」


すでに話を聞いているのかいないのかもわからない。


がB.B.は粘り強く話し続ける。


《最近さ・・・・ここ何ヶ月も任務しないでずっとトレーニングばっかで・・・しかも進歩しないし・・・・オイラそれがなんか悔しくてさ・・・・ついついリオナにあたっちゃったんだよ・・・。》


「・・・・・・・・。」


《本当にゴメン。》


B.B.はそう告げると、
くるりと背を向けて帰ろうとした。


「・・・・・俺はそんな事で怒ってるんじゃない。」


やっと口を開いたリオナは、
B.B.に視線を向けた。


《・・・・・・・?》


B.B.は振り返り、
リオナの言葉を待つ。


リオナは再び目線を外し、
小さくため息をついた。


「・・・・俺さ、初めてお前と契約したとき・・・・こんな身勝手な悪魔なんかとうまくやれるはずないって思ってた。」


《・・・・・・・うん》


「実際、いつもワガママだしうるさいしマスターに対してもエラソーだし・・・任務先では関係ない人怪我させるし・・・。あのあとマーシャが謝って歩いたのお前知ってるか?」


《・・し・・・知らなかった・・・・・。》


「・・・・・・この一年間・・・お前に振り回されてさ・・・・ホント散々だった・・・。でも・・・・」


B.B.は少しだけ目頭が熱くなるのを感じた。


《・・・・・・・・・・・。》


「すごく楽しかった。」


《・・・・・・・・・・!?》


「いつもB.B.が何かしら問題起こすのがさ・・・・なんだかんだおもしろくて・・・いつの間にか毎日楽しみにしてる自分がいるんだ・・・。」


リオナの表情が少しだけ明るくなる。


《・・・・リオナ・・・・・・・》


「俺、お前とだったらずっとやってけるかなって。だからあんな身勝手に契約されたことは忘れてやろうって思った。今回のトレーニングもB.B.とならできるって思った。B.B.のためにも頑張ろうってさ・・・・・。」


リオナは拳を握りしめ、
胸に押し当てる。


「だから・・・他の奴と契約すればよかったとか・・・・そんなこと冗談でも言ってほしくなかった・・・・」


《・・・・・・・・・・・・》


再び沈黙が訪れる。


風の音が耳をかすめる。


《・・・・・・悪魔には・・・・・》


するとB.B.は静かに話し出す。


《・・・・悪魔には年齢ってものがないんだ・・・。でもオイラには年齢がある。五歳くらいの。》


「・・・・・?」


リオナはB.B.を見る。


《実はオイラ・・・人間に作られた悪魔なんだ。五歳くらいの子供を媒体にしてね。だから頭もよくて力もあった。それで大魔王様にも認められて、人間界に残るのを許された。だけど所詮は五歳。イタズラが好きでたまらなかった。》


「・・・・・・・・・・。」


《だから悪魔を食べても悪いことだってことが何にもわからない。それが悪いことだって気づいたときにはもうウサギに閉じこめられてたし・・・・。しかも周りの悪魔はオイラを怖がって近寄ることもしないのだ。オイラはずっとひとりだった・・・・》


「・・・・・・・・。」


《それでも契約をしてくる人間はいた。でもどいつもオイラのワガママさに耐えきれなくてさ・・・、契約破棄をされてきた。》


B.B.の目には涙がたまっている。


《オイラは叱ってほしかった・・・・一緒に遊んでほしかった・・・それだけだったのに・・・またオイラはひとりきり。話相手はいないし、遊び相手もいない・・・。寂しかった・・・すごく寂しかった・・・。でもそんなときにリオナがダークホームにやってきたのだ。オイラは一気に興味を引かれた。オイラね、リオナがダークホームにきたときからずっと見てたんだ。リオナはオイラと年齢が近いし、だから一緒に遊んでくれるかも、それに何よりもオイラを叱ってくれるんじゃないかって思ってさ・・・・・・・・今までだれもオイラを叱ってくれなかったから・・・・だから何が何でも契約しようと思ったんだ・・・・。》


「・・・・・B.B.・・・・・・・・」


《オイラ・・・リオナとマーシャと一緒にいてさ・・・すごく楽しくて・・・少し調子に乗りすぎてた。オイラこれからはちゃんとするよ!周りにも迷惑かけないよ!もうオイラ1人は嫌だよ!だからオイラと・・・・オイラともう一度ちゃんと契約してくれ!!》


B.B.は目から涙をボロボロ流しながらリオナに頭を下げる。


「・・・・・・・・・たく。」


リオナはため息をつくと、
首に巻いていたタオルでB.B.の顔を拭ってやる。


「まぁ・・・・実際B.B.以外とやってこうとは考えてないけどね。」


《・・・・・!!ゥ゙〜リオ゙ナー・・・!!》


「怖いから泣くなって・・・」


《・・・・・・・・・・!!》


B.B.はタオルに顔を押し当て涙を拭う。


「俺・・・・お前のことぜんぜん知らなかったんだね・・」


リオナはそっとB.B.を持ち上げて
顔の前に持ってくる。


「もう一度だけ・・・・お前とやってくよ。だからさっき言ったこと忘れないで?」


《・・・・・・・うん!》


「あと・・・・」


リオナは頭をかきながら目線をそらす。


「・・・・たまにはイタズラしてよね。たまにだけど。」


《・・・・・・・・・いいのか・・・!?》


「まぁB.B.が何もしなくなったら気持ち悪いし?」


《リオナ〜!!》


B.B.はリオナに飛びつき、顔を押しあてる。


「ははっ!!くすぐったいから離れろっ!!」



すると突然、2人の周りに光が溢れ、包みこまれた。


「!?なにが起きたの!?」


《これは・・・・》


体中が熱くなるが、
心地よい熱さだ。


そして光はすべてリオナの左手首に集まっていき、
何かを描き出した。


「・・・・ダークホームの紋章・・・・?」


リオナはマーシャの腕にも刻まれていたのを思い出す。


《これは契約の証だよ。オイラたちちゃんと契約できてなかったから。》


「!?そうだったのか!?なんで早く言わないんだよ!」


《いやふつうに気づいてると思うでしょ!?》


「思わないよ!!」


《思う!!》










「まぁたあいつらケンカしてるよ。」


「・・・でも・・・・楽しそう・・・・・・・」


「まぁな・・・・・」


マーシャとルナは遠くで騒いでいるリオナとB.B.を見つめる。


「俺さ・・・・・・最近よく思うんだ。」


「・・・・・・・・・?」


「もしあの時・・・お前と会ってなかったら・・・・」


「・・・・・・・・・・・・。」


「会ってなかったらダークホームにも入らないし、リオナにも会えなかったんじゃないかって。」


「・・・・・・・・・・・。」


ルナは意外な言葉に驚きを隠せず、
けれど俯いたまま、
戸惑いを見せる。


「・・・・ははっ・・・・・俺何言ってんだろ・・・・・・・お前のこと・・・・大嫌いなはずなのに・・・・・。」


マーシャは静かに笑うと
ルナはそっとマーシャの胸に手をおいた。


「・・・・・私への・・・・・・恨みを忘れないで・・・・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・・・・・・・・。」


「・・・・・私が死ぬ時は・・・・・・あなたの手によって殺される時だから・・・・・・・・・・・」


マーシャは少し目を丸くすると、
すぐに冷たい目をして笑い、
ルナの手を力強く胸に押し当てた。


「ああ・・・・・・・・・・・わかってるよ。」











そう













俺の使命は











昔も今も











この娘を殺すこと。










恨みを忘れるな










同情など捨ててしまえ











こいつの死こそ















俺の、そしてルナにとっても、





極上のシアワセなんだ。


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