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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
第十一章 マーシャ×リオナ


俺の人生を一言で表すなら、


"無"あるいは"死"


生きているようでそうじゃない、
意味が有るようで無い。


そんなもんなのかな、
人間なんて。


恨みとか妬みとか、
昔は色々あったよなぁ。


よくそんなもののためにダーク・ホームに入ったもんだと今でも感心してる。


必ず仇を打つと決めて、
いつのまにか
時が過ぎて。


時がたつのは恐ろしい。


長い時の中で、
恨み妬みが薄れてゆくわけで。


ますます、
自分の生きる意味がわからなくなるんだ。








「俺の人生ってなんなんだろ。」


休日の昼下がり。


ベッドに腰をかけ読書をしていたが、
何時の間にか物思いに耽っていたようだ。


「・・・・なに、どうしたのマーシャ」


ふと呟いた言葉に反応したのが、俺の横で寝転がる相棒(というか愛玩。って言ったら怒るかな)リオナ。


リオナは半分眠りかけていた目を開き、心配そうに見つめてきた。


悪魔の象徴である血のような真っ赤な美しい瞳に、ハッキリと俺が映り込んでいる。


リオナは、リオナだけが、
俺を真っ直ぐに見てくれる。


それが嬉しくて、愛おしい。


「なんでもないよ。ただちょっと、思っただけ。」


俺もリオナの横に体を倒す。


リオナを見つめ返せば、
不思議そうに首をかしげていて。


もう、なんでこんなに可愛いの。


昔はリオナもちんちくりんのガキだったのに、
今ではこんなに大きく美人になって。


時が過ぎるのは本当に早いものだ。


思わずリオナを抱き寄せる。


リオナの体は細くて白くて冷んやりしてて、
柔らかいし雪みたいだ。


「・・・マーシャ?大丈夫?」


「んー、大丈夫じゃないかも。」


「・・・ちょっと、どこ触ってんの。」


「ドコデショウカ」


「・・・・今すぐやめないと呪文で」
「やめるごめん許して」


リオナはアレだ、ツンデレだ。


その証拠に、ほら。


なんだかんだ言って
さりげなーく俺にくっついてくるんだもん。


顔真っ赤にしてね。


「リオナ」


「・・・・なに」


「それ俺以外の奴の前でやらないでね。俺妬いちゃうからね。」


「・・・は?それ?どれ?」


「無自覚か・・・やっぱ可愛いっ!」


「な・・・・ちょ、・・っと!バカ何す・・・・ヤダ!やだやだ離せぇぇ!!!」


「ごめん、無理!」


ああ、そっか。


まだ、
俺の中には恨み妬みが奥深くに棲息している。

忘れたんじゃない、
消えたんじゃない。


ただ、それ以上に、
大切なものができただけ。







「・・・・何も考えなくて、いいんじゃないかな。」

俺の腕の中でグッタリしているリオナが、
ボソッと呟いた。

「どしたリオナ?」

「・・・・さっき、俺の人生ってなんだろーってマーシャ言ってたでしょ?そんなこと考えなくたっていいんじゃないかなって。」

「なんで?」

「・・・意味ってそんなに大切?生きている今は、意味なんて存在しないよ。普通にただマーシャが思うままに生きれば、自然に意味が伴ってくる。もしかしたら生きてるうちは見つからないかもしれない。だから、今自分で考えても仕方ないよ。それに俺は・・・・」

「俺は?」

「俺は・・・・マーシャが、いてくれるだけですごく嬉・・・うわっ」

「リオナあああああ!!大好き大好き愛してる可愛い本当大好き愛してる!」

「ちょっと・・・・!また?!ヤダッ・・・・!も、マーシャ!ヤダ離し、あっ」

「無理だから!リオナが悪いんだからね!」


目を開けてちゃんと見ていなかっただけで、
無の中には、確かに色が存在していたんだ。

リオナはなんでも俺のことをわかってる。

これだから愛しくて仕方がない。

リオナが言うとおり、
意味なんていらない。
理由なんて知らなくていい。


"愛してる"
この事実だけで充分。


「リオナ、怒った?」


「・・・・。・・・・怒ってない。」


「嘘だぁ〜。怒ってる顔してる。」


「・・・・ならやめてよ。」


「だから無理。男の本能が・・・・」


「・・・もういい。」


「リオナ」


「・・・・なに」


「愛してる。」


「・・・・・・・・・・・・知ってる」


「リオナも言って?」


「・・・・・・・・・・・」


「ほらほらっ」


「・・・・・・・・・・・・・・・・ぁぃし」
「俺も愛してるよおおおお!」





君がこの世に存在する限り、
俺もそこに存在する。


なぁ、
俺は、
幸せなんだ。


誰がなんと言おうと、
この人生が、好きだよ。


どうか、消えないで。
消さないで。


俺の愛が、
腐り落ちるその時まで。


END


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あきゅろす。
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