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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
story109 込み上げる熱を






話さなければいけないこと。


それは、きっと、アイツにも少しだけ言っとかなきゃダメなんだろうな。


リオナと同じくらい、俺のこと心配してくれてたから。


マーシャは研究棟を下に下に下ってゆく。


「えーと・・あれ。シキの部屋どこだったかなぁ。」


もしや通りすぎた?


大体、研究棟は部屋が多すぎなんだよ。


あーもー帰ろっかな帰っちゃおっかなぁ〜


シキなんかに言わなくてもバチ当んねぇよな。


面倒臭がりのマーシャは、結局足を止めて引き返す。


「あ、でも部屋戻ってもリオナいねぇのかぁ。むしろピエロがいんのか。ヤダな。」


「マーシャ?」


「あのクソピエロのやつリオナにベタベタしだしたらどーしよ・・・へ?」


名前を呼ばれ、
マーシャはキョロキョロと見渡した。


すると048と書かれた部屋番号の扉からシキが顔を出していたのだ。


「あ、シキ。」


「お前・・・なにしてるんだよ。」


シキはまるで変人を見る様な目を向けてくる。


メガネをはずして目頭をつまみ、目をギュッとつむったり開いたりしている。


「誰が騒いでるかと思えば・・」


「騒いでねぇ。てかナイスタイミング。ちょーどシキを探してたんだよ。でもシキの部屋忘れちまってよー。だから帰ろうと思って。」


「ほう。それはご苦労。帰ってゆっくり休めよ。」


と言って扉を閉めるシキの手を、マーシャは慌ててつかんだ。


「おいおいおーい。ちょっと、今の俺の話聞いてた?」


「聞いてたさ。帰るんだろ?」


「違う違う。そこじゃない。だから、俺はシキに会いたくてきたの。」


そんなに俺が嫌いかと呟けば、
シキは首を横に振り、小さくため息をついた。


「お前がくるとろくなことが無いんだよ・・・早く入れ。茶なんて入れないからな。」


「あはは。とかいっていれてくれるんだよなぁ〜」


中に入ると、やはり床一面に書類が散らばっていた。


整理とはいっていたものの、
恐らく何か書類を探している様だ。


「何探してんの。俺も手伝うぜ。」


「何か話したいことがあってきたんじゃないのか。」


シキは何でもお見通しだな。


マーシャはクツクツ笑いながら書類の山に腰を下ろす。


「探しながら話くらいできる。で?どの書類?」


「・・ったく。じゃあ・・・書類番号が10065から10089で、内容が人体実験だ。」


人体実験?とマーシャは首をかしげる。


「まさかシキ・・・お前人体実験」
「俺じゃない。フェイターたちがやってるんだよ。その資料だ。」


それってなくしちゃまずいんじゃないの。


と内心呟きながらマーシャも書類を探し始める。


「フェイターが人体実験ね。確か一時期、フェイターに壊滅させられた国や帝国じゃ死体が残らないって騒いでたもんな。」


「それがな・・・今回侵入してきた化神が、その死体だったんだよ。」


「・・・は?」


「フェイターは死体を使って化神を生みだしていたんだ。人工化神ってやつだ。ふつう化神は遺体を残さない。けれど人工化神は元の人間の姿に戻るんだ。まぁ戻った時にはすでに死んでるんだがな・・・」


へぇ・・・なるほど。


てことは、リオナやクロードの家族もいるかもってことか・・・


「ほんとフェイターってサイテー」


それだけ呟いて、マーシャは黙々と作業を続ける。


しかし背中からシキの視線を感じ、軽く振り向いた。


「なぁに」


「いや・・・もっと怒るか悲しむかと思ったから。」


「あー。だって俺、孤児だから家族いないし。それに国出た時からそーゆー故郷を思う感情とか一切捨ててきたから。」


「とかいいながら一番故郷思いなんだよなお前は。」


「うーるさい。あ、ほらあったぞ。」


何枚かの紙の束をシキに渡した。


「助かった。ありがとう。ついでに床の書類もかたしてくれるとありがたいんだけどな。」


「へーへー。そうくると思いましたよ。」


それにしてもこの量は一日では無理だろう。


あと5人くらいいればなんとかなりそうだが。


なにかいい魔法はないか。


さっさと終わらせようと策を考えていると、
シキが目の前にやってきて、マーシャの顔をじーっと見てきた。


「なんだよ。そんなにイケメン?」


「違う・・・何か話したいことあったんだろ。話せ。」


ああ、そのことか。


片付けに夢中になってすっかり忘れていた。


いや・・・忘れていたのではない。
気づかないふりをして
逃げようとしていた。


でもやっぱり、シキには言っておかなければ。


マーシャは困った様に笑い、
口を開いた。


「シキ。もし俺があと一年で死ぬって言ったら?」


その瞬間、
一気にシキの顔が青ざめるのがハッキリわかった。


口を少し開き、しかしことばを発しない。


「俺ね、あと1年だって。治療法はあるけど、そーすっと記憶がポッカリ抜けちまうんだと。」


少しおどけてみても、
全く反応を示さない。


本当に固まってしまった様だ。


「俺はさ、嫌なんだよ。リオナを忘れるのが。お前もだ、シキ。」


マーシャはシキの肩に手を置き、コツンと額をぶつける。


「リオナも、B.B.も、死んだムジカもシキもシュナもラードもユリスもクロードもあのクソバカピエロも・・・お前らは、俺の唯一の家族なんだ。大切な家族だ。だから、俺は、 このままでいる。」


「マーシャ・・・」


ようやく言葉を発したシキに、
マーシャは満面の笑みを浮かべる。


「らしくねぇ顔すんなよ。」


「だって・・・まさかこんな頑丈なお前が・・・あと1年だなんて」


「言っとくがよ、俺、一年以上生きてやるから。リオナが死ぬまで意地でも生きてやる。」


そう言えば、ようやくシキも硬かった表情をゆるめ、
マーシャの手をバシッと叩いた。


「大バカ者が・・・」


その瞳にはうっすら涙が浮かんでいて。


マーシャは苦笑を浮かべ、その涙を見ないようにした。


見たらきっと、
色んな想いが込み上げてくるから。


「ホント、らしくねぇな。」


「リオナには、言ったのか?」


シキも涙を隠すように背中を向ける。


「もちろん。」


「どうだった・・・?」


「泣いてたよ、さすがにな。だけど、ちゃんとわかってくれたから。」


「そうか・・・」


背中からでも、シキが今どんな表情をしているのかが容易に想像できた。


「知ってるの、リオナとシキとデヴィスと阿保なビットウィックスだけだから。他には言わないで。」


「わかった・・・。ただ、無理だけは、絶対に・・・」


最後の最後まで、本当に母親みたいだ。


そんなシキに、マーシャは声を上げて笑った。


「な、笑うな!」


バシッとマーシャの頭を叩き、
再び背を向けてしまう。


これでいい。


シキには、ずっとこのままでいて欲しいから。


しかしマーシャは聞き逃さなかった。


シキの小さなささやきを。


「・・・ダメだマーシャ。やっぱりお前がいないと・・・・・寂しくて俺が死にそうだ」


ドキっと心臓が跳ねた。


見ないように、感じないようにしていたのに。


シキが泣いている。


泣かせたのは、紛れもなく、俺だ。


「ごめんな、シキ・・」


結局俺は、シキを困らせるか、悲しませることしかできないみたいだ。


でもな、シキ・・・


「俺ね、死ぬってわかって、初めて大切なものが何か、わかったんだ。気づいたんだ。だから、後悔なんてしてない。むしろこれでよかったって思ってる。だから・・・」


だからせめて、最後くらいは、
シキに堂々とした、俺の姿を、
見て欲しいんだ。


「泣くなよ・・・頼むから、いつもみたいに怒鳴って。」


シキの背に頭を乗せ、
目をつむる。


この想いが、シキに届くように。


「・・・ごめんなマーシャ。らしくないよな。」


ようやくシキの声が聞こえ、マーシャも自然と笑みを浮かべる。


シキは涙を拭うと、
マーシャに向き直した。


その顔には、悲しみという文字はすでに見えなくなっていた。


「まさかマーシャに泣かされるとは・・・不覚」


「あはは、よかったね。」


「よくない。やっぱお前はお前だな。何も変わらない、これからも、だろ?」


その言葉に、マーシャは満面の笑みで頷いた。


「・・・よし、じゃあチャッチャと片付けて酒でも飲むか。」


「おっ、いいねぇ大賛成。たまには良いこというな。」


「たまには?いつもの間違いだ。」


拳と拳を軽くぶつけて笑う。


きっとこの関係も、
たとえ俺が消えても、
変わることはないんだ。


それだけで、こんなに安心している自分がいた。




仕事を片付けると、
シキは隠していたのか棚の後ろから酒瓶を取り出してきた。


「もしかして1人で飲む気だったのか?」


「当たり前だ。この酒は高いんだからな。」


そういいながらも、
マーシャのグラスには溢れるぐらい酒をついでいて。


マーシャはクツクツ笑いながら、
逆にシキのグラスにも沢山ついでやる。


2人は軽くグラスをぶつけると、
あっという間に飲み干してしまった。


「うわぁ、この酒アルコール強いだろ。」


「ああ。あんまり飲むと余命1年どころか今すぐ死ぬかもしれないから気をつけろよ。」


早速シキは冗談に使ってくる。


それがかえって嬉しい。


「マーシャ、そういえばリオナは大丈夫か・・・?だいぶ精神的に参っていたから。」


「それなら大丈夫。さっきも言ったけど、俺、ようやく大切なものに気がつけたんだ。俺にはリオナが必要で、リオナを心から愛してるってことにも。もっと早くに気がつければ、リオナを傷つけることも無かったのにな・・・」


リオナを追いかけて、
リオナを見つけて、
でもその手にはナイフが握られていて。


あんなに苦しくて、焦ったことは無かった。


でもそれ以上に、リオナはもっと苦しかったんだ。


孤独を抱えて、
1人で戦ってたんだ。


もう、あんな思いはしたくない。


「じゃあ・・・リオナに話すのか?お前の過去を・・・」


グラスの中の酒に映る自分を見つめ、
マーシャは大きく頷いた。


「もちろん話すよ。大切だから、全部話す。」


「そうか」


シキは優しく微笑み、
どこか満足気に酒をグラスに注いだ。


「俺ね、今すっげぇ幸せなんだ。」


突然マーシャがいやらしい笑みを浮かべて呟いた言葉に、
シキは首を傾げた。


「なんで。」


「知りたい?」


なんとも嫌な男だと言わんばかりに睨むような目でマーシャを見てくる。


焦れったく話すマーシャだが、本当は早く言いたくて仕方がない。


まるで興奮した犬の様に見えない尻尾を振っている。


「俺ね。」


「なんなんだ。早く言え。」


シキは半分飽きれてすでに関心がマーシャから酒に移りつつある。


それはいかんとマーシャはサラッと言葉を発した。


「リオナとチューしちゃった。」


「ー!!!!」


飲みかけていた酒を全て噴き出し、シキは目を丸くしてマーシャをみた。


「な・・お前はまたそーゆーことを!だからリオナに嫌われるんだ。」


どうやらシキは俺が無理矢理したと思っているようだ。


まぁ間違ってはいないが。


「でも残念ながら、リオナからもしてくれたんだぁ〜♪」


「はぁ!?!?」


今までに見たことのないくらいシキは驚いている。


それが楽しくて、どんどん酒も話も進む。


「ま、まさか、あの、リオナが・・」


「最初は俺がキッスしたわけよ。どーしてもしたくて。だって愛してるんだもん。いや、愛してるって言葉じゃオサマんねぇくらいの愛なんだ!」


「意味がわからん・・・愛の最上級が愛してるなんじゃないのか。」


「ちげぇよ!俺はリオナを恋人にしたいわけじゃないの。恋人以上夫婦家族それ以上なの!わかんねぇかなぁ〜」


「・・・わからんよ」


シキは呆れたと言って酒をまた一口飲む。


しかし、やはり気になったのか、
頬を少し赤くして、口を開いた。


「・・・で、その・・リオナは、
ホントにお前に・・・アレしたのか?」


「だからぁホントにリオナからチューしてきたんだって。もう下半身やばいのなんの。」


「こら!」


「イテ!殴るなよ。」


「・・・じゃ、じゃあリオナとお前は・・両想い!?恋人になったのか?!」


激しく動揺しながらも顔は真っ赤なシキがおかしくてたまらない。


マーシャは爆笑してお腹を抑える。


「あははは!!だぁ〜から俺とリオナは恋人とかじゃないって何回言えばわかるんだよ〜。それ以上なの。でもたぶん両想い!」


「お・・お前の愛は歪んでてわからん!!」


「リオナにもおんなじこと言われた。」


じゃあそれって両想いじゃないんじゃ・・と呟くシキに、
マーシャは即座にそれはないと全否定した。


「だってぇ、俺とリオナね・・・ウフフ」


「何なんだお前は・・・あ、まさかお前!き、ききききす、キス以上を・・・!!」


怒ってるのかなんなのか分からないシキを笑いながら、
マーシャはワザとはぐらかしてみせる。


「さぁ?それはリオナと俺だけの秘密だから。ナイショ。」


そう言うと、シキはやりきれないといった表情をしたが、
酒を一気に飲み干し、すぐに落ち着きを取り戻した。


「・・・まぁ、お前らが幸せなら何も言わないが、リオナのこと、ちゃんと大切にしろよ。じゃないと・・・」


「わかってる。」


シキの言葉を遮るように呟く。


「リオナを傷つけない。絶対。狂気とやらにも、フェイターにも、リオナはやらない。あとクソピエロにもな!」


最後の一言に、
一瞬シキの表情がニヤッと歪んだ。


「ほう、マーシャ知っていたのか。」


「知ってるもなにも、リオナが言ってた。告られたーって。でもなんて返事したか教えてくれねぇんだ・・・っておいちょっと待てシキ知ってんのかよ。」


それはいつどこでどうやって行われた蜜事なんだ!とシキの胸ぐらをつかみグワングワン揺らす。


「別にどうってことはない。おい揺らすな。吐くぞ。」


「クソ。もしリオナがあのクソバカアホピエロのこと好きだったら・・・」


「いや、それは大丈夫だろう。」


「ホントか?!」


「お前さっき自信満々に両想いって言ってたじゃないか。それにリオナも答えをはぐらかしてたから、クラッピーを恋愛対象としては見てないと思うぞ。って俺は何を長々と・・・」


恋愛事はさっぱりわからないといった表情で、シキは両肩を上げた。


「よかった。じゃあ俺の一人勝ちってやつか。」


俺おめでとーう!と1人でグラスを持ち上げ、完全に酔ってしまっている。


病人にあまり飲ませすぎたかとシキはさりげなく酒瓶を隠した。


「あんま図に乗るとバチが当たるからな。・・・あ、そうだ、リオナで思い出したんだが・・・えっと、あれ、書いといた紙何処やったかな。」


そうだそうだと、
シキは何か紙を探し始めたが、
どうやらシキもだいぶ酔っているようで、
動作が覚束ない。


結局紙は諦めて口頭で話しだした。


「魔族の瞳ってマーシャみたいな黄色だろう?なんでリオナは黒いんだ?リオナは混血なのか?」


ああ、確か前に誰かもリオナに「混血か?」って聞いていた気がする。もちろんリオナは首を横に振っていたが。


「つーかよ、いつの間にか黄色い瞳が魔族って言われるようになったけど、元々は黒色が魔族なんだぜ?」


「そうなのか?」


「大魔帝国ができる前の遥か昔、2つの民族がいたんだ。1つが黒い瞳の魔族で、もう1つが黄色い瞳の鬼族ってやつ。鬼族は鬼がつくからって別に鬼なわけじゃないぜ?素質的には99%ほぼ魔族と変わりない。魔術を使う鬼族を初めて見たっていう魔術を知らない人間が、まるで鬼みたいだって揶揄ったのが始まりだって言われてる。だから基本的には魔族となんら変わりはないんだ。だけど魔族と決定的な違いが1つだけあった。それが魔力と素質の差だ。たとえば、鬼族が魔術を8つ覚えられるとしたら、対して魔族は100以上は簡単に覚えられる。その魔術一つ一つの威力の差も激しい。同じ術を使っても、鬼族が30、魔族は100と言ったところだ。」


「そんなに差がでるのか・・・」


「ああ。だけど魔族と鬼族が協力して大魔帝国を作り上げた時には、もう殆どが混血になっちまって、純粋な魔族はあんまりいなくなっちまった。でもやっぱり魔族の血を少しでも引いてりゃそれなりに強い。だから大魔帝国の軍隊には魔族の血をひいてる人間しか入れないんだよ。」


「差別があったのか?」


「そうじゃない。ただ、やっぱり魔族の血をひいてる者と引いてない者は力の差が格段に違う。だから自然と軍隊とか王族関係には魔族の血をひいてる者しか集まらないんだ。ちなみに俺も混血。王族も帝国ができた頃に鬼族の女を娶ってから混血状態。しかも鬼族の遺伝子はすげぇ強いから魔族の血を引きついでも殆どの奴が黄色い瞳になっちまう。だからリオナはそんな中でも珍しいだろうな。たぶんリオナは純粋な魔族なのか、あるいは母親か父親のどちらかが純血の魔族だったのかもしれない。俺だって今までに黒い瞳を見たことが2度しかないくらいだ。それくらい貴重なんだぜ?」


「なるほどな。だからリオナは魔術の才能が飛び抜けてすごいのか。」


「ああ。でも、本当にあの瞳は綺麗だ。黒いのにどこまでも深くて、いつまでも見ていたくなる。」


うっとりとした瞳でマーシャはため息をこぼした。


きっともう、頭の中はリオナでいっぱいだ。


「・・・ったく。ホントお前はリオナバカだな。」


「もっちろん。喰い殺したいくらいだ。」


「頼むからそれはやめてくれ。」


「ははっ冗談だよ。でも不思議だなぁ〜」


黒い瞳で思い出した。


俺がずっと憧れて、好きで好きでたまらかった"彼女"も、
とても美しい漆黒の瞳をしていた。


「俺の初恋の女も、黒い瞳だったんだ。」


今でもよく覚えてる。


彼女が見つめてお願いでもされれば、なんでもやってやった。


あの瞳には逆らえない。


かなうものなんてない。


懐かしさに浸っていると、
シキが見事にぶち壊した。


「それって、お前・・・ただの瞳フェチじゃないのか。」


まさか変態のようにいわれるなんて。


「失礼だな。たまたまなの!」


「まぁでも、もったいないな。リオナの瞳・・・もう見られないからな。」


「でも、赤い瞳のリオナも、俺はだーいすき。」


「はぁ・・・変態が。」


「そんな変態を、リオナは好きなんだって!あれ?エロい俺だっけな?」


「お前嘘も大概にしろよ・・・」


「あれ、ばれた?」


「大バレだ。」


「あはは」


「ったく・・・」


シキはそう言いながらも、小さく笑っていた。


その顔は、俺を安心させる。











さぁ、君に何から話そうか。


俺の家族、初恋、絶望、悲哀


全部話したい。


でもな、
君に一番伝えたい事がある。


俺がどれだけ君を愛してるかを、
聞いてほしい。


そして、
感じてみてよ。


ココロ、カラダ全体で、
俺を、
感じて。

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