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【完結】 Novel〜Lord's Soul〜
story02 神の魂




「うぅ・・・・・・・暑い・・・・」


「・・・・男なら我慢だ・・」


「でも・・・・・・さすがにこれは・・・・」


「うーん・・・・・・確かに・・・・」




リオナとマーシャは今、サンサンと照りつける日光の中、砂漠を歩き続けていた。


二人はその後、あの国に一週間滞在して、今は隣の国"サンダー・カウンティー"に移動中。


名前の通り、電気を操る国である。




そもそもなぜサンダーカウンティーに向かっているかというと、それは三日前の夜のこと。








夜11時
リオナはあることが気になって眠れなかった。


それはダークホームについて。



ダークホームに入ると言ったはいいが、実際はどういう事をやるのかなど、マーシャは全く話す気配がない。


話すまで待とうと思ったが、やはり気になる。

もし万が一、犯罪組織とかだったらどうしようという考えが今更になって頭をよぎる。

なんてったって闇組織だ。


リオナはやっぱり聞いてみようと思った。


リオナは小声で話しかける。

「・・・・・・ねぇマーシャ起きてる?」

「寝てる。」

「・・・・・・・・。」

マーシャのそっけない返事に頬を膨らます。

「・・・・ねぇもうそろそろダークホームについて教えてよ。俺気になって眠れないよ。」

「あれぇ〜話してなかったかぁ?」

「うん。」


「今話さなきゃだめなのそれ?俺眠いんだけど。」


「お願い・・!!俺なんて寝たくても寝れないんだよ?」


マーシャはリオナの粘りに負け、寝ぼけた口調で話し出す。

「まず何から話せばいいのかなぁー・・・・・あぁそうだそうだ。まずはだなぁ、ダークホームのメンバーはなぜ強いか。だな。」

「うんうん。」

「俺たちは悪魔と契約を交わすんだ。」

「悪魔?」

「そう悪魔。真っ黒でなぁー目つきが悪い連中さ。んで契約すると悪魔は契約主の体内に入って、一生出てこないんだ。契約内容が、俺たちが悪魔の力を手に入れる代わりに、死んだら自分の体を悪魔に引き渡すってやつだからなんだぁ。」

「じゃあマーシャのあのナイフ技も悪魔の力?」

「いーや。あれは元々の俺のちーかーらぁ。悪魔の力ってのは、ほら、俺が戦ってるとき黒い煙みたいなの舞ってただろ?あれだよ。悪魔の力はただ単に契約主の持ってる力を何倍にもする事ができるってわけ。何倍かは悪魔との相性で決まるけど。」

「へぇー・・・なんかすごい。」

「んでおまえが知りたいのは仕事内容だろ?そもそもダークホームができた理由がだなぁー・・・・」

すると突然、ホテルの窓をたたく音がする。

リオナはビックリして思わずベッドから飛び降りた。

「何・・・・!?・・・・・ここ14階だよ!?」
しかしマーシャは思った以上に冷静だ。

「あー大丈夫大丈夫。」

マーシャは眠そうに欠伸をしながらカーテンを開き、窓を開ける。


すると窓から勢いよく一羽のコウモリが入ってきた。


コウモリは足に手紙を持っている。


マーシャはコウモリから手紙を受け取ると、コウモリは再び窓から外へ飛び出し、闇へと姿を消した。


「あのコウモリはダークホーム御用達の伝書コウモリだ。こうやって俺たちに任務の手紙やら連絡やらをよこしてくれるってわけ。」


そう言ってマーシャは手紙を読む。


そして深くため息をついてベッドに寝っ転がってしまった。

マーシャは手に持っていた手紙を丸めてポイッと投げる。

すると手紙は黒い炎をあげて消えてしまった。

情報の漏洩を防ぐためだろう。


「・・・・・何だって?」


「隣の国に化神が現れたらしい。それを退治しに行けってさ。あーあ・・・俺他にも仕事があんのに・・・。」

「じゃあ断れば?」

「無理。なんてったって今は人手不足だからな。」


そういってマーシャは布団に入ってしまう。


「ねぇちょっと話の続きは?」

「それはまた明日だ。明日は朝早くに出るぞ。リオナも寝て体力温存しとけぇー。」


そしてそのままマーシャは寝入ってしまった。



















あれから歩き続けて3日。


真冬の1月なのにこの暑さ。


すべては時天大帝国壊滅のせいで時の流れがおかしくなっている。




そう言えば、
リオナはこの暑さでマーシャに話の続きを聞くのを忘れていた。

でも今は聞く気になれない。


口を開いただけで体力を消耗してしまいそうだから。




二人はただ黙々と歩く。


マーシャによると、
4日もしないうちにつくそうだが。


目の前に広がるのは砂漠ばかりで道さえみれない。


初めの方は、
マーシャは楽しそうに歌を口ずさんでいたが、
さすがに3日目になるとつらいものがある。


二人はただ歩き続ける。













日も落ち掛かかり、広い砂漠は赤く染まる。


すると今にも砂に埋まってしまいそうな二人の前に、
大きな森が現れた。


マーシャとリオナは同時に森へ駆け込んでいく。


森へ入るとすぐに木陰に寝そべって、暑さを取り除いた。


「やべー快適ぃー。」

「うん。幸せ。」


木と木の隙間から流れ込む冷たい風が、草を揺らし、二人の頬をなでる。


「さて、この森を抜けたらサンダーカウンティーだ。」

「・・・・やっとだね。つらかったぁ。」

二人は3日間の死闘を思い出す。
が、それだけで頭がクラクラする。


するとマーシャは立ち上がり、急にハッハッハと笑い出した。


「ほら、俺の言ったとおりきっかり4日だ。」

「まだ着いてないじゃん。」

「いいんだよ。ここもサンダーカウンティーのテリトリーだから着いたも同然なの-。」


「ふぅん。あっそ。」

マーシャはリオナのそっけない返答を気にもとめず、
カバンをあさりだす。


「あっやべーな。リオナ、食べるもんない。」

「俺別にいらな」
「ダメだ!!男たるもの食事を抜くべからずだぁ!!」

マーシャは食べ物の事になると熱い・・・・・というかウザい
と思いながらもリオナはハイハイと適当に相づちを打つ。

「じゃあどうする?」

「そりゃあ採集だよ。さ・い・しゅ・う。」

「木の実とか?」

「動物の肉とか。」

「ムリだから。」

「っつーかいないから。」



二人はそれぞれ森を探索し始めた。


リオナはとりあえず木の実がありそうな草むらへでる。


草をかき分けてみて、手当たり次第に探し回る。


すると手に何かがあたった。


―・・・??何だろう・・・


そっと手に取る。


恐る恐る持ち上げると
手のひらサイズのきれいな真っ赤な実だった。


リオナは周りを見渡すと、あたりに結構散らばっていた。


―おいしそう。


たくさん拾おうと他の実も拾っていく。


しかしリオナはこの真っ赤に輝く実を見て、あるものを思い出す。


―・・・・ローズ・ソウル・・・・



そしてポケットへ手を入れて、取り出したのは、

クリスマスの夜、
王宮から盗み出したキラキラ輝く玉。


背中にいやな汗をかく。


―・・・まさか・・・・ね・・・。


「おっ集まったかぁ?」

後ろから呑気にマーシャがやってくる。

リオナは急いで輝く玉をポケットにしまった。


「まぁね・・・!!みてよこの実。きれいでしょ?」

マーシャはリオナから実を受け取り、匂いをかぐ。


「・・・・・食えんのか?」

「知らない。」

「じゃあ食ってみろ。おいしいぞきっと。」

「・・・・・・そういって俺に毒味させる気でしょ。」

「あっバレた?ったくしゃーねーなぁ。せぇので食うぞ。」

しゃーねーのはどっちだよ


とリオナは心で呟く。


「いいよ。・・・・・じゃあいくよ?せーのっ」


二人は手にした実を一口かじる。

「・・・・・!」
「・・・!!!」

実はあっさりした甘さがあり、みずみずしくておいしい。

「なにこれウマいじゃん。」

「うん。すっごいおいしい。」

「あーあ、心配損だな。」

「・・・・・・・それこっちのセリフだから。」


二人はなんだかんだいいながらも、5個以上は食べた。









日も完全に沈み、
月きがかわりに顔を出した。


星は明かりの代わりのように、
キラキラと森を照らす。


二人は一気に下がった気温に負けないために、焚き火をしながらくつろいでいた。


「あっそうだ。マーシャ、この前の話の続きしてよ。」

「また?別にホームに帰ればイヤって言うほど聞かされるぜ?」

「今知りたいの。」


リオナに言いくるめられて、仕方なくマーシャは話し出す。

「なんでダーク・ホームができたかってところからだったよな。」

「うん。」


「それは昔にだな、神がローズ・ソウルに封印された時に、同時に神の宿敵であった悪魔が天から降りてきたんだ。何でかって言うと、神の代わりに世界の均衡を守るってのもあるけど、メインは神の復活を防ぐためだ。だけど悪魔には決定的な欠点があった。それは神のように世界の均衡を保つ能力がなかったんだ。だから悪魔は人間と手を組んで、世界の均衡を保ち始めた。それがダーク・ホームの始まり。」

リオナはうんうんとうなずき、話の続きを催促する。


「それからダーク・ホームはあらゆる仕事をやってきた。1つは国家同士の争いの鎮圧。2つめはこの前リオナを襲ったような化神の退治。3つめは、まぁ依頼された任務とかかなぁ。んで4つめがローズ・ソウルの管理だ。」


「へぇ・・・・。でもさ、光妖大帝国に奪われちゃったじゃん。」

マーシャはリオナの鋭いツッコミに少し調子を狂わす。

「あ・・・あれは予想外だったんだよ。まさかあんなことが起こるなんてだれも思わないっての。だから今残りの3つの国からローズソウルを回収するのにメンバーが飛び交ってるってわけ。でも残念ながら三カ国とも渡してくんなかったらしいけどな。」

「・・・??なんで?ダーク・ホームに預けたら安心じゃん。」

「あいつらは俺たちを犯人だって疑ってんだ。ローズ・ソウルについて一番知ってんのが俺らダーク・ホームだからな。」

「じゃあ残りの三つのローズ・ソウルはどうするの?」

「あっちが渡す気ねぇならどうしようもないさ。だから俺たちが三つの国を必死にバックアップするしかねぇよ。」

「・・・・・・・そっか。」


リオナは少しため息をつく。


―・・・・もう少し早くにそうしてほしかったな・・・・・・。

そうすれば大魔帝国も助かったかもしれないのに。


そんなリオナの思いを察してか、マーシャはリオナの頭をくしゃっとなでる。

「・・・・お前はこれから強くなるんだろ?強くなってお前みたいな人助けてやんな。」


「うん。」

リオナは顔を上げ、しっかりとうなずいた。


するとリオナはマーシャに尋ねる。


「マーシャがこの前、他に任務があるって言ってたじゃん?それってもしかして俺の国からローズソウルを回収することだった?」

マーシャは軽く笑って焚き火に木を追加する。

「いや・・・。俺があそこにいたのはタダの寄り道。大魔帝国は俺の故郷だから。」


リオナは驚きで目を丸くする。


「そうなの!?」

「あれー?言ってなかったっけぇ?てか見て分かれよ。俺ナイフ操ってたじゃん。」

「あーそういえば・・・・・」

たしかにマーシャのナイフの扱いは物質変化系魔法ならでは。


「なーんか時天大帝国が壊滅したって聞いてさぁー、心配で来てみたワケよ。まぁついでに王宮に行ってローズ・ソウルを渡してくれって頼んだけど追い返されてー。仕方なくオッサンにローズ・ソウルの管理を頼みに行ったぁってワケ。」


―・・・・・バルド・・・。


リオナははっとして、急いで今頭に浮かんだ名前を消し去る。

「そ・・・・そりゃあ、あんな真っ黒なコートで行ったら追い返されるよ。」

「あれは俺的制服だから仕方ないのー。まぁ結局大魔帝国のローズ・ソウルは行方知らずだがな。」

「・・・・!!光妖大帝国が奪ったんじゃないの!?」

突然声を張り上げるリオナにマーシャはビックリする。

「あ・・ああ。なんか光妖大帝国が到着したときにはすでに無かったとか。まぁ情報屋の話だから信用できるぜ。」

「そっか・・・・。」


リオナの右ポケットが熱くなる。


自分は大変なものを持ってきてしまった。


まさかあの玉がローズ・ソウルだったなんて。







リオナは深いため息をつく。


すると突然、さっきまで燃えていた火が一気に消えた。


「なっ何!?」

「えっ!リオナ消した?」

「俺じゃないよ!マーシャじゃないの?」

「まさか!あんなでかい火一気に消せるかっての!」

「じゃあどうして・・・・」


二人はビッタリくっ付いて、
辺りを見回す。


辺りには木が生い茂っているだけで、他は何もない。


しかし先ほどから何か変な雄叫びが聞こえる。


「・・・お・・おいリオナ・・・・なんか聞こえないか?」

「うん・・・・!!ウォーウォーって言ってる・・・!もしかして化神!?」

「いや・・・・化神だったら俺の中の悪魔が反応するはず・・・・・!」

二人は顔を見合う。

「・・・・どうする・・・?俺・・・・お化けとか信じねぇけど・・・ムリだから・・・・!」

「・・・マーシャがムリなら俺なんかもっとムリ!・・どうする・・・?・・・・・・・とりあえず・・・・」

「逃げるぞぉぉぉぉ!!」





二人は悲鳴を上げながら、物凄いスピードで森を走り抜けていった。

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