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そうは見えなかった
本の部屋を出るとカノンが走ってきた。
腕を強く掴まれる。

「……あの…?」

「…………っ、悪い。これからの事を話すのが最優先だ。来い。」

今度は彼の部屋に移動。
移動距離が長いのもあるけれど、それを関係なしに疲れてきた。
目眩もして、しゃがみ込む。

「待って下さい……。」

「どうした?」

「……すみません。…行きましょう。」

「あぁ。」

急に立ち上がったのが災いだった。
目の前が真っ暗になる。
世界が廻ってる…そんな感覚がして再びしゃがんだ。

「おい!」

「………すみま…せん。」

ミチルは深呼吸をした。
そして一呼吸おいて立ち上がる。

「ごめんなさい。行きましょう。」

「どこか悪いのか?」

「いいえ……大丈夫です。」

だだっ広い彼の部屋。
ソファーに座った。
向かい合わせはお互いに落ち着かない。

「……ここではオマエをクレフィスとは呼べないしそういった扱いも出来ない。一先ず俺の配下として身を預かる。近くに居てもらった方が好都合だ。いいな?」

「はい。」

「周りに怪しまれないように簡単な雑務はしてもらう。」

「…はい。」

説明を続けていたら返事が返って来なくなった。ずっと俯いていたからいつから寝ていたのかわからない。

「…おい。」

「……!!」

「具合が悪いんだろう?」

「…少しだけ。」

「ベットを貸す。立てるか?」

「………は…い。」

返事はしたものの、首がカクンと落ちた。
完全に眠った彼を抱き上げてベットに寝せると小さく寝息を立てる。
子供の可愛い寝顔に癒されるカノン。
何か特別なものを感じ取った気もする…。

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あきゅろす。
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