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シア×ニチカ お祭り編
行くだけ行けばよかったと、ソファーに寝転びながら後悔したニチカ。
先読みした空気は余りにも居にくそうだった。
メアエリスはカノンとイチャイチャして、春臣と海璽も二人の世界、タレイアとアサトは何らかの展開がある気がする。
楽しい中で孤立するのは御免だ。
シアに通信を何度も試みたが、自警団の仕事優先しているらしく、音信不通。

「超むなしい………。」

せめて心は楽しく。
春臣が買ってきてくれた浴衣を羽織ってみた。
着こなしはタレイアのファッション雑誌を参考に。
窓ガラスに写る自分は我ながら綺麗に着こなせていると思う。
窓を開ければ活気に満ちるお祭り騒ぎが。

「暇だし、シアを探しに行こ………。」

通信を試みながら祭りに溶ける。
歩きながら何度も何度も通信をして、要約第一の願いが叶った。

『は〜い?』

「シアさんw俺です。」

『おれおれ詐欺さんだ〜w』

「ニチカ!!…仕事どう?これだけヒト居れば大変だよね。」

『まあね〜。ニチカはみんなと一緒に楽しくやってる〜?』

「いえ…。留守番してるつもりだったけどさ、来ちゃった。」

『一人で?今どこ〜?』

「え?…えっとー………図書館…かな。」

『近い近い〜wそのまま時計台の方に歩いて来て〜w』

「仕事は?」

『持ち場離れられないから〜、ニチカが来て。』

「うん。」

周囲に驚かれた目をされた。
通信機なんて一般人には掛け離れた道具。
羨ましがられる優越感に浸りながら言われた方向に歩く。
時計台に到着した。
一体どこまで歩かせる気だろうか。
草履が歩き難くて仕方がない。

『どこまで来た〜?』

「時計台。」

『行き過ぎ〜。どんな服着てる?』

「浴衣。」

『え〜?見たいな〜w』

「…。」

シアの目にどう映るか不安になった。
さっきまであった自信を見失う。
ヒトを掻き分けて何とか時計台のふもとへ行き、低く積み上がったレンガに座る。

『どこ居る?』

「時計のトコでちょっと休憩してる。…多分会えないね。このヒトゴミじゃあさ。」

『……何かごめん〜。』

「何謝ってんのさw祭りって見てるだけで楽しいし。じゃ、仕事頑張ってね。」

ため息混じりに通信を遮断。
今すぐ帰って着替えたい。
だが、またこのヒトゴミを歩くと考えると欝だ。
だから終わるまでここを動かないのがいいのかもしれない。
人間観察も悪くないから。

「居た〜っ!!」

「は?……シ、シア?!何で?仕事は?!」

「迷子探し〜wニチカ〜〜w会いたかった〜w」

「ちょっと、止め!恥ずかしいっての!/////」

嬉しい頬擦りを否定した。
春臣と海璽が来た日に少しだけ会話して、それから今日会うのは二週間ぶりだ。
お祭りの日だし、今日は特別甘えていいかな。
シアの手を握って俯く。

「ん〜?」

「変…かなぁ。浴衣…。」

「全然w可愛いじゃないか〜w」

「ホント?!」

「うんw……よし、仕事サボっちゃお〜。行こ〜ニチカ〜w」

「へ?だ、駄目だって!」

「いいのいいの〜。」

ニチカの腕を引っ張って、屋台を見て回る。
クマのお面を買って貰った。
それからわたあめやリンゴ飴やタコ焼きを食べた。

「あwねえ、コレやろうよ。射的♪」

「いいね〜w勝負しよ〜よ?負けた方が何でも言う事を聞く…どうだい?」

「ノったw」

射撃は双方が得意としている。
この距離ならば百発百中だ。
次々と景品を落としていく二人は周囲から注目されていた。
シアは最後の一発でライターを落として終わる。
自分もラスト、余裕…のはずだった。

『上手くなったねw』

「ぁ……。」

パンッと弾が出て、勝負あり。
唐突に出たコルクの弾は…。

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