秘技 さらわれる
こちらも朝、仲間に散々責められた。
そして迫られる答え、メアエリスを探しに行くか、任務を遂行するか。
「…これ以上離されれば、情報が途絶える可能性大だ。」
「愛より仕事選んだぁ!」
「仕方ないだろう!…メアエリスの事も探す。」
「俺…探して来ようか?その辺に居るかもだし。」
「後でいい。」
決断、泥棒を追い掛ける。
雨が降ってきたが、ただひたすら歩き続けた。
平原が広がる。
「キリガ原にまで来ちゃったね〜。」
「雨降ってなければいい所だと思えるんだけど…。」
「超原っぱぁ。…ん?なぁに?」
狐がタレイアの耳元で耳打ちをした。
みんなにはただの狐で通っているから。
『曖昧だけどアルミストで嗅いだ覚えのある臭いがするの。メアエリスちゃんの匂いも混じってる。ルキュールの方。』
「手間が省けたじゃあんwメアちゃん、泥棒さんにさらわれたみたい。ルキュールですって。」
「水ん都市だろ?あんな所に魔晶石持ってってどうすんだ?」
「依託されてるんじゃないかな〜。急ごう。」
スピードを上げて匂いを辿った。
そして奴らを発見し、呼び止める。
集団とは聞いていたが、五人グループの荷車をひいた男達。
メアエリスの姿がなかった。
「止まれ。その荷車の中身を確認したい。」
「何だおまえ達?」
「正義のギルド、ファノルアカシックでぇす♪中にアルミストの魔晶石入ってんでしょ?ネタはあがってんのよ。」
荷車に乗っている木箱が突然騒ぎ出した。
ガタガタと揺れて、ヒトの声が。
『カノン!』
「この女の連れか。…魔晶石か女、どっちか一つ返してやるよw」
「無論、魔晶石だ。」
躊躇いのない返答。
冷めきった空気が広がる。
あの愛は一体何だったのだろうか。
せっかく愛という素晴らしい感情を知ったのに、崖から突き落とされたような気分を知ってしまった。
「ちょっと…何言ってんのさ!」
「本当に馬鹿だな〜。こういう時こそ権力を利用するでしょ〜。アストレイランド直属ステルメーク軍総帥、羅生刹カノン様に逆らうかい?」
「なっ!アストレイランド!!……。」
「ほら、逃げんのか?殺されんのか?てめぇらさっさと決断しろ。」
命は大切にしたい。
男達は荷車を置いて逃げて行った。
木箱を破壊して、メアエリスを助ける。
魔晶石はアサトに返しに行ってもらう、その間、ルキュールで待つことにした。
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