[通常モード] [URL送信]
風邪ですねぇ
外は夜。
周囲は森、向こうには山。
今日はもう移動が困難ということで、野宿をする。
ライターで火を起こす。
パチパチと薪が燃えていった。
アサト特製木の実のスープは意外に美味しく、温かくなる。

「これぇ…本当に食べられるんでしょおねぇ?」

「当たりめぇだっつうの!」

「さっき味見したけど大丈夫だった。はい、メアエリスの分。…これ、カノンさんに持って行ってあげて。」

「うん。」

向こうの大きな木の裏に行ったのは見ていた。
零さないよう、慎重にカップを持って行く。

「カノン、スープ………あれ?カノン?……………カノンどこ?」

「メアちゃん?どした?」

「カノン居ないの。」

「やっぱりか〜。きっとノエルの所に行ったんだろうね〜。」

あたかも知っているように話すシア。
18年間彼の成長を見てくれば、見通す事などたやすい。
入国管理局まではそんなに離れた距離ではないから、放っておいて問題ないと言った。
しかし、メアエリスはずっと気にしていて、みんなの隙を見て、一人、入国管理局を目指す。
震えながら暗い森を歩いた。
風で揺れる木の葉だと分かっていても怖い。

「ひうっ!……カノンー…どこなの?」

メアエリスは、辿り付けなかった。
歩き続けて朝を迎え、雨が降ってきてしまう。
後ろを振り返れば山が見え、前を見ると高原が広がっている。
森とまではいかないが、木々が並ぶ場所まで走り転び、大きな葉っぱの下になんとか雨宿りをした。
完璧に雨を凌げる訳もなく、メアエリスは凍える身体を縮こめる。

「カノン…どこなの?」

気候は暖かい。
だが、これだけ雨に濡れてしまえば寒いし、徹夜は眠かった。
しかし、眠気を覚ますような出来事が襲う。
メアエリスの目の前に男達の集団が現れた。

「これって…あれじゃないか?グランゲールの王が探してるっていう…。」

「似てるな。こいつもセットで依頼主に売り付けよう。高値が付くぜw」

「…やっ。」

「大人しくしてろよっw」

10センチ位の宝石と一緒に、正方形の木箱に投げ捨てられた。
真っ暗で揺れている。
隙間風に当たっていると、頭がボーッとしてきて意識を失った。
どうすることもできなくて。

【前n】/【章n】/【次n】

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!