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完璧なツンデレ作り
「くしゅんっ。」

「大丈夫?…ほら、鼻水かんで。寒くない?」

「…ぅー。」

「ニチカはいいお嫁さんになれるね〜w」

「嫁かよ。まぁ…確かに嫁かw」

風邪をひいたみたい。
大したことはないけど、ニチカが優しく看病をしてくれた。
一部屋借りて濡れた服を乾かす。
メアエリスは本を開いて、さっきの1ページに手を重ねて読み取った。

「………セイレーン?…美しい歌声は聞くヒトを魅了してしまう魔力を持つ。子守歌は万物に癒しを与える?」

「さっきの魔物の事が書いてあるのか?」

「う…ん………。」

「メアエリス?…寝ちゃった。」

「あれだけ力使ったんだもの。仕方ないよ。」

ぐっすりと眠る彼を確認すると、カノンは上着を脱ぐ。
包帯が薄くじんわり血が滲んでいた。

「アサト、頼む。」

「任せとけ。相変わらずおまえん肌綺麗だなw」

「やめろ変態!」

背中に頬擦りすると、鉄拳制裁をくらった。
それでも嬉しそう。
渋々の動き、でも包帯を巻くのはお手の物だった。

「キツ過ぎねーか?」

「いや。」

「やっばぁいw生で崇める事ができるなんてーw」

「んだよ、男の上半身見んのが初めてって…意外とバージンなんか?」

「ち、違う!このっ、童貞忍者!」

「あははは〜w発情期の多いアサトが童貞か〜w」

「俺はサルかっ!」

「ちょっと、静かに。夜だし、船員に迷惑。」

「そうね。ワタシ等も寝よ寝よ。おやすみっ。」

ベットに眠るメアエリスの足元に大の字になったタレイアはあっと言う間に寝た。
一つしかないベット。
大人は子供に譲る。

「ニチカ、メアの隣で寝るといい。」

「ちょっと、子供扱いしないでよ。」

「…。」

「お子様は俺と寝るんだよね〜w」

頬を赤くしてそっぽを向くが、最後はしっかりとシアが広げて待つジャケットに包まって隠れた。
マットの上に寝る。

「カノンも寝とけ。不安なら俺が見張りしてっから。腹…痛むんだろ?」

「………すまない。」

「膝枕してやってもいいぜ?w」

「死ね………。」

堅そうな膝よりも、柔らかい膝に埋もれたい。
現実を言えば、彼…メアエリスの膝。
船はゆらりゆられ、朝昼晩、そして朝。
北上し、次第に霧が立ち込めた。
印しに沿って船が進んで行くと、急に霧が晴れる。
そして港に無事辿り着いた。
ここでスタークエイクの船とはお別れ。
一行は地に足を付けた。

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あきゅろす。
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