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知られたくなかったこと
こちらにも解決しなければならない事があった。
シアは起き上がる。
豪快な寝相の二人を起こさないように外に出て、公園の花屋へ向かった。
女の子、ルルは店じまいをしている。

「ごめんね〜、遅くなって。」

「とんでもないです!あ、どうぞ、お掛け下さい。」

「どうも〜。」

公園のベンチに座った。
聞かれた質問に対して的確ではなかったが、知っているのだけを話す。
その情報は余りにも少ないと自分で思った。
セフィレイ大陸を旅していて、とあるきっかけで城に仕えていたらしいが、今は一緒に旅している、と。

「ニチカが旅を…。二年前、突然姿を消したんです。きっと、私との約束を叶えに来たんだわw」

「約束〜?」

「二人が15歳を過ぎたら結婚しようねって…。」

子供は何も考えず無責任な発言をするから。
成長して後悔する。
流石のシアもこの事実に多少動揺した。

「…ねぇ、ニチカの家ってどこ〜?」

「ご両親が居なくなってからは宿屋の裏部屋の一番奥に。でも、どういう訳か誰も入れてくれないんです。」

「あ〜……うん。何となく理由が分かった気がするようなしないような〜。」

「?」

「店じまいの邪魔したね〜。もう行くよ〜。」

「どうもありがとうございました。」

ルルよりもこちらの収穫のがあった。
シアの知るニチカからは想像できないファンシーな一面。

(なんだ、可愛らしい所もあるじゃないか〜。…行ってみようかな……。)

宿屋に戻り石の階段を上がると、大泣きする声が聞こえた。
寄ろうとしたが、口を出すのはお節介だろう。
一番奥の部屋のドアを開ける…が鍵が掛けられていた。

(…………?)

ノックをしてみるものの返事はない。
留守か居留守か。
探しに行こうとしたら、下からニチカと思われる声がした。
立ち聞きなんて趣味が悪いけど気になる気持ちが勝つ。
ドアに寄り掛かって聞く。


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