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白き都
プルグラス。
建物全てが白壁で設計されている。
街ビトは皆、爽やかな表情をしていた。
宿で解散して自由時間になったので、エリズィムは外に出てみた。
無性に果物が食べたくなったのだ。

「うおーい!リズちゃん!」

「おう。」

「俺も一緒していい?」

「いいヨ。…ちょうどいいな。おまえ、カノンが好きなフルーツ知らないか?」

「フルーツ?あいつあんまり食わねーんだよなー。マルシャちゃんが居た頃はイチゴとか食ってたなw」

「マルシャもイチゴ好きなのか?」

「好きかどうかはわかんねーけど、イチゴのショートケーキばっか食ってた。」

青果にやって来て、どれを食べようか迷いながら、イチゴを気にしていた。
これをカノンに見せたら、マルシャのことを思い出してしまうのではないだろうか。
彼が懸命に思い出そうとしていることは知っている。
それを邪魔することは、余計カノンに嫌われてしまうんじゃないだろうか。

「うー…。」

「ど、どうした?!」

「オレがカノンに捨てられたら、おまえはオレを拾ってくれるか?」

「もちろんw手、付けていいなら今すぐにでもw」

「キモい。おい、リズはイチゴが欲しいぞ!」

「ついでにみんなにも買っていってやろうぜ。」

バスケットいっぱいに果物を買って大満足のエリズィム。
宿屋ではやはり2部屋借りていて、男部屋に走っていく。
お見舞いに行くと言って別れたアサトから借りた鍵を使い、断りもなく部屋にはいると、ベットに仰向けで寝ているカノンに走り寄った。
何もしたくない、顔から滲み出ていた。

「おい。…寝てるのかヨ?」

「……どうした?」

「オマエ、何も食べてないから、食い物買ってきてやった。」

「いらねーよ。」

「そう言うと思って、【イチゴ】買ったぜ。これなら、食うんだろ?」

「……食わねーよ。」

そう言いつつ、バスケットからイチゴを一粒とって、じっと見つめる。
彼を見て、切なくて悲しい気持ちになった。
その表情が苦手だ。
自分の心がえぐれるような、変な痛みが伝わる。

「なぁ、カノン。オマエが探しているキオク…リズ、知ってるヨ。」

「…何の事だ?」

エリズィムが2枚の写真を差し出すと、カノンの瞳から、突然涙が一滴だけ流れ落ちた。
この反応に、嫌な予想がついてしまう。
メアエリスとマルシャには、敵わない。
彼のためになれるのならばと、知っている情報すべてを話すことにした。
みんなから聞いた2人のことを。

「メアエリスも、マルシャも、死んでない。カノンに会う前、リズは2人に会ってる。」

「…そうか。………俺、凄く大事なことを忘れていたんだな。」

「ホントは、言いたくなかったヨ。」

イチゴを口にする。
赤みの足りないイチゴはまだ酸っぱくて、気分が地面に張り付きそうだ。

「リズ、俺は2人を探さなければならない。そんな気がするんだ。でも…心配すんな。俺の心はそう簡単に動かねェ。愛してんのはオマエだけだから。」

「信じ…てるぜ、カノン。」

「あぁ。」

「ふあー!w何かモヤモヤがスッキリしたぜwなあ、メアエリスよりマルシャを探した方がいいぞ。肉体がないからリューシカが始まってるかもしれないってペルセウスから聞いた。」

「粒子化が?…エルネキア族のアルバーを探す前に、優先するべきだが、どうやって探せばいいんだ?」

「……リズが見たのはだいぶ前だヨ。」

手がかりは何一つなく、雲行きは怪しいが、お互いの謎が解消されたことらとても嬉しい。
エリズィムはもうひとつイチゴをかじった。
今度はとっても甘かった。


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あきゅろす。
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