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薄れていく消えていく
「朝だヨ!カノン、朝ー!」

「………うるせ。」

真横で叫ぶエリズィム。
ワクワクによりスーパー早起きをした。
そっぽ向いて寝ているカノンの隣に座って揺する。

「ハロ…ハ……行くぞー♪」

「ハロウィンな。…後10分……。」

「はうっ!?」

腕を強く引っ張って、胸にうるさい口を押し当てた。
抱き枕にして二度寝を始める。
ドキドキはしたが、それよりハロウィンを見たくて仕方がない。
じたばたを繰り返した。
あんまりにも暴れるため、寝てられる状況ではなくなり勢いよく起き上がる。

「あー!うるせェ!」

「行こうヨ♪」

「…準備するからちょい待て。」

「おう。リズは今日、何を着ようかなっ♪」

エリズィムはクローゼットを開けて候補を引っ張りだし、下着姿の身体にあてて鏡に映す。
カノンはシャワーを浴びてから髪の毛をセットした。
右側の若干の寝癖が非常に気になった為、ヘアピンで固定し、左側をワックスでキメる。
着替えて最後に香水を振りかければ完璧だ。

「……よし。できた。」

「かっこよ過ぎて、倒れそうだ。」

「バーカ。毎日見てんだろ。」

「毎日かっこいい!今日はイチダンとかっこいい!」

「直球で言われると…照れる。」

何より、エリズィムのワンピース姿を見て照れる。
それはそうと、暇なアサトを運転手として連れていき、城下まで車で送ってもらった。
羨ましげにいってらっしゃいませと言われた。
カノンが車から降りると街の女性は大パニック。
そんな人気者を独り占めしている気分は最高だ。

「みんなオモシロイ服着てるな♪」

「ハロウィンは仮想するもんなんだと。」

「アハッ♪ちいさいオバケがいっぱい!」

子供たちがオバケカボチャのバケツを持ってウロウロしていた。
それを見掛けたカノンは、運転手さんアサトを手招きして何やら命令をすると、5分内に城を往復してきて大きな袋を持ってくる。
中にはお菓子がいっぱい。
配るのだ。

「とりっくおあとりーと!おかしくれなきやまいたずらしちゃうぞー!」

「…フン!」

「ぎゃっ!」

いたずらと聞いたエリズィムは、喧嘩をしかけられたと勘違いして、男の子の頭を一発殴る。
うずくまって涙ぐんだ。

「バカか!何やってんだ!」

「いたずらはイケないだろ?」

「行事の一貫だっての!いきなり殴るヤツあるか。おい、男なら泣くな。菓子やるから泣き止め。」

「わーwありがとー♪」

カノンに群がる子供たち。
それを囲む人々。
とてもとても賑やかで、エリズィムはいてもたってもいられなくなり、カノンからお菓子を奪い取ると、宙を舞って無差別にばらまいた。

「みーんな楽しそうだなwおめーもだいぶ人望が厚くなったが、あいつには負けてるんじゃね?w」

「アレの笑顔に勝てるものなんかねェよ。」

「かもなwそれより、今日はハロウィンだが【day of the dad 】。忘れんなよ。」

「………あ、あぁ。忘れる訳ないだろ。」

「俺、車で待機してっから、また何かあったら呼べよな♪」

day of the dadは直訳して死者の日。
城前広場には祭壇があり、夜になると街の住民が集まって、お亡くなりになられた大切なヒトやペットの写真や物を置いてお祈りを捧げる。
去年もやった。
しかし、しかしだ。

「アハッ♪お菓子なくなっちったーw……カノン?」

「俺は……誰を…。」

「オイ、カノン!」

「……ん?」

「ん?じゃないヨ!シワがよってる!こんなに楽しいのに、なんでシワるんだよ。たるんでるんじゃねーか?それよりな、リズにもお菓子くれなきゃイタズラすっぞ♪」

「へェ。どんな悪戯すんの?」

「え?…蹴ったり?殴ったり?」

「それは困るな。何が欲しいんだ?」

「あまいもんがくいてー♪」

デートの時は城では食事をしない。
車に戻り、アサトに世界一旨い、甘い菓子屋に連れていけと無理難題を言い付けた。
即情報を取り寄せて、その店に向かう。
エリズィムはショーケースを叩いて喜んでいた。
ケーキが大好きらしい。
買って帰ると、城の前にある広場には綺麗に飾られた大きい祭壇があった。
夜にパーティがあるらしい。

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あきゅろす。
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