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義の騎士団(エペ・ド・アブソル)
毎日手紙を見つめた。
読めないけれど、読んで貰った内容を曖昧に記憶している。
肌身離さず持ち歩く手紙を、今日も、バルコニーの椅子に座って読んでいる時の事だ。
突風に手紙を盗まれたミチル。

「うっ………あ!手紙がっっ!」

どこまでもどこまでも飛んで行った。
急いで部屋を出る途中、カノンとすれ違う。

「カノン、出掛けてきます!」

「あ、あぁ。…………って、待て!」

止めなければ。
しかし、最優先の公務が入っている。
周りに兵士は居なく、頼りのアサトもいない最悪な状況。
さっさと終わらせようと急いだ。
ミチルは門を出て手紙を追い掛ける。
途中で見失ったが飛んで行ったと思われる方角を辿ると、薄暗い路地、つまり裏路地に入ってしまう。

(さっきまでと…何か違う。なんだろ、ここ。)

好奇心で進んでみた。
人相の悪い男達が建物の前に座ってニヤニヤとコチラを見てくる。
流石に戻った方がいいなと出口を振り返ると二人の男が道を塞ぎ、後退りするともう二人の男に止められた。

「高貴な匂いがするなw」

「貴族さんよ、金目のモンを黙って置いてきゃ何にもしねぇ。」

「金目…?金目とは、何です?」

「そのセクシーな胸元についてる宝石をよこせっつってんだよ!」

「これ……取れないんです。」

「だったら切り落とせばいいのさ。」

両手を捕まれた。
前方の一人がナイフを向ける。

「嫌っ…嫌です!離して下さい!!」

「へへへw」

ナイフが近付く。
いつもならこんなピンチに遭遇すればドラゴンを召喚しているはずだが、念じても宝石がキラキラと輝くだけだった。
呼吸が短く強くなる。
後一歩で気絶して倒れるところだった、彼等が来るまでは。

「悪党、そこまでだ!」

「あん?……あ、ありゃ【義の騎士団(エペ・ド・アブソル)】!ずらかるぞ!!」

「奴らを追え!」

「「はっ!」」

手下と思われる騎士が奴らを追い掛けた。
安心すると、腰が抜けて地べたに座る。

「大丈夫?無闇にここへ近付いてはいけないよ。家まで送ろう。」

「ご、ごめんなさい。」

「立てる?さ、行こう。」

裏路地を抜けた。
家をどこか聞かれたのだが何と答えればいいのかわからない。
施設の名前もわからない。
わかる事はヒトの名前だけ。

「貴族街に住んでるのかい?」

「……カノン様のお部屋…にです。」

「殿下の?……貴族街に着いた。では、失礼するよ。」

騎士は行ってしまった。
結局手紙は見つからず、あしどりもわからない。
今日はもう帰ろう。
大きな建物を目指し、カノンの部屋に帰った。


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あきゅろす。
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