光は闇に飲まれて 「捕まえたぞコノヤロー!!」 「強制労働は違反ですよー!!」 逃げ回る彼女の両腕をガッチリ捕まえた。 狐がタレイアの肩で心配そうに見ている。 「へいへい。カノンが呼んでっから来いや。」 「マジ?wやっば!ドレスとか着た方がいいですよね?!」 「よかねーよ!カノン殿下に呼ばれたら口答えしねーで三分内に行くんがマナーだ。」 「後何分?!」 「……20秒。」 「えぇ?!何とかしてよぉ!」 「しゃーねぇ。」 抱えて三拍子でバルコニーに戻った。 5秒前。 カノンの前に到着した。 腕時計を見て動きが少々止まり、そして顔を上げる。 「心得てるな。…アサト。」 「御意。ミチルちゃん、俺と一緒にウンマイケーキ食いに行こうぜw」 「は、はいっ。」 ケーキに目がない、その弱点をついての手段だ。 これからミチルには話せないような事を聞くから。 居てもらっては困る。 「結婚式の日取りですかぁ?w」 「クレフィスっていうのは、何人も居るのか?」 「普通にスルーされたしぃ。一般のアネモイ族よりも能力が長けてて、治癒術に優れてて、【オラージュムワの預言】を神託するのが条件ね。」 「オラージュムワの預言?」 「風の神様が嵐の日をクレフィスに神託することを【オラージュムワの預言】って言うんですよぉ。教会で祈ってたらある日突然聞こえちゃうんです。だから、クレフィス要素があるヒトは結構居るかな。」 という事は、確率的に言えば強大な力も使えるヒトが結構居るという事か。 それは違った。 嵐と共にやって来たクレフィスに強大な力があるのは、単なる伝説だ。 ミチルにそんな力があるようには見えないし。 「ミチルは要素が当て嵌まっていない。治癒術に優れてはいるが、能力は低い方…天気だって本がないと予測できないんだ。」 「ボレアス王がそのことに気付いてない訳ないわ。…手元に置く理由があるのねん。」 「探れるか?」 「ワタシも気になるから、やれるとこまでやってみますよぉw」 「任せた。行ってもいい。」 「信頼ありがとうw」 本当はどこまでも自分で調べたい。 でもやらなければならない公務が山ほどある。 今だってうるさく言うヒトがいないからほったらかしているのに。 ミチルの為となると尚更。 カノンはミチルが持ってきたコーヒーを丁寧に啜った。 【前n】/【章n】/【次n】 |