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一番悪いのは誰?
暴風被害はフォビアのせい(?)で不発であった。
また手掛かりをなくしてしまう。
風ってぐらいだから風の都、風の民アネモイ族が住まう地方かもしれない。
だが、あそこへ行くには少々危険だ。
マルシャを置いて調査に行ってくると、タレイアはクリュティを借りて出ていく。
残ったマルシャはスイートルームでのんびりする。
ステルメーク城に行ってみようかな。
車イスで向かった。
博士なら壊れた足を治してくれるかもしれないと思ったのだが、博士に会えるだろうか。

「ミチル様…じゃなくて、マルシャ様。御一人ですか?」

「……ぅ?」

ウルタスに話し掛けられて振り返ると、エミルとあと2人偉そうな男も一緒だった。
これから、ギルドが出した答えを伝えにいくらしい。

「城に用事ですか?一緒に、行く?」

「行きたい。」

「では一緒に行きましょう。ウルタス、手を貸してあげて下さい。」

城の中に入って、マルシャは研究室に行くと行って道を別れた。
下へ降る。
博士に会うのもしばらくぶり。
ドキドキしながら覗いてみた。

「おぉ!マルシャではないかw」

「博士ー。マルシャの足、壊れたの。」

「すぐに見てあげよう。こちらへ来なさい。」

ベットに寝ると色んな機械に繋がれて見てもらったのだが、なんだか難しい顔をしている。
出来ることを試した結果、何も変わらず。
原因が見当たらなかったのだ。

「……博士?」

「私の力ではどうにもならないらしい。すまんな、マルシャ。ペルセウスならばどうにか出来るかもしれん。次に姿を見せたら言っておこう。」

「そっかー。博士、マルシャね、やっと自分が何なのかわかってきた。」

「…成長した証しだな。カノン様もきっとお慶びになるぞ。」

マルシャは確実に成長しているが、【器】が大分損傷してきていた。
壊れるのも時間の問題かもしれないな、博士の顔が曇る。
今日はもう帰りなさいと外まで見送ってもらって気が付いた。
カノン探すの忘れた!
今日はもう諦めて帰ろう、マルシャは1度部屋を見て、もう一度部屋を見てから帰った。
移送魔法で簡単に行けるけど、行けない。
怖くて。
いつか迎えに来てくれると信じて、今はスイートルームに帰った。

「お帰りぃ♪行ってみたけど手掛かりなかったわぁ…。てかぁ、あまり近付けなかったのぉ。あっちに行くには少し難しいかもねぇ。」

「独りじゃ、アリスには勝てない。」

「ロンモンドギニアスの力がやっぱり必要よねぇ。」

「博士の所、行ってきた。エミルが居た。」

「そうみたいねぇ。ギルドはステルメークの盾になることを断ったみたいじゃないのぉ。1波乱起きそうねぇ。」

「………誰が、ゆったの?……カノン?」

「たぶんアルカディルだと思うわぁ。あのヒトの事だしぃ、強行手段に出るかもしれないわねぇ。」

「エミルのとこ、行く。」

行動が早くなったのも成長の証し?
ギルド街に向かってみると、デモ活動が過激になっているようにも見えて、エミルの所へと急いだ。
会議中の部屋に飛びいる。
ギルドのリーダー達が集まっていた。
シン…とした部屋になった。

「…………あははぁw遅刻ぅ…しましたぁ。なんてぇw」

「ファノルアカシック!お前らギルドでありながらギルドを裏切るか!」

「まぁ待て。ここに来たということは、2人は同志ということだろう?」

「ぁ、当たり前じゃないのぉ!ワタシらだって突然辞められて超困ってんだからぁ。それにぃ、盾になれだなんてぇ、あんまりよぉ。」

そう、あんまりだ。
あんなバケモノにヒトが勝てるはずがない。
それを分かっていて道具として利用するなんて、やっぱり【偉いヒト】なのだろう。
会議に参加し、解散後にマルシャはエミルに声を掛けた。

「カノン、居た?」

「いえ。僕が会ったのはアルカディル将軍殿です。あの方がやっていることはボレアスとなんら変わりありません。それが嫌でこちらに渡ったのに…。生活支援の打ち切りとギルド制度の徹底制圧を命じられました。もはや、選択肢はないでしょう。……【はい】と言わざるを得なかったです。」

返す言葉がなかった。
誰が悪いのか。
ボレアス?アルカディル?ギルド?ステルメーク?わからない。

「……風と雷を探してるの。知らない?」

「風と、雷…ですか?風と言ったらカミューレ村ですね。雷は…ウルタス、知ってますか?」

「雷…昔の話ですが、ラステス付近の海域にある小島では常に雷が発生していたそうです。しかし、今はその小島が存在してるかすらわからないです。」

「なるほどぉ。マルシャちゃん、やっぱ行くしかないわねぇ。」

「…うん。」

アネモイ族領土へ行くことを知ったら、いい抜け道があると地図をくれた。
車椅子では困難かもしれないが、行くしかない。
今日もゆっくりスイートルームで寛いで、荷造りを済ませて十分過ぎる睡眠をとる。
フォビアで海沿いを飛び、霧の都アルミストに降り立った。


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